Case Study

芸術祭 ハッカソン エンタープライズ

地域性とテクノロジーを融合させたアート作品を生み出す 国内芸術祭初のアートハッカソン

2019/11/19(火)

ハッカソン

主催:茨城県北芸術祭実行委員会 企画・運営:株式会社ロフトワーク

  

製造品出荷額などで全国8位を誇る茨城県。一方で同時に急激な少子高齢化による人口減少やこれから迎える第四次産業などの社会が取り巻く環境の変化などにより、製造業・商業縮小への課題も抱えていました。そうしたなか、新たな県の特徴を活かした産業振興を図るため、茨城県はは、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」の開催を決定。ロフトワークは、ソーシャルプログラムのひとつとして開催したハッカソンの企画運営を担当しました。それが今回紹介するプロジェクト「KENPOKU Art Hack Day」です。

・プロジェクト期間:2015年6月1日~2015年12月17日 (約7ヶ月間)

・採用作品数/参加人数:3点/55名(13チーム)

主な成果

・受賞3チームは、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」公式アーティストとして芸術祭に招聘

・プロジェクトのプロセスを公開したFacebookのフォロー数:315ユーザー(2019年10月現在)

プロジェクトページ

http://www.kenpoku-arthackday.com/

受賞作品

アーティスト、エンジニア、研究者、デザイナー、伝統工芸職人など、幅広いバックグラウンドの参加者55名(全13チーム)が集まりました。その中から選ばれたのがこちらの3作品です。

『干渉する浮遊体』 アーティスト:甲斐 桜、佐藤 大基、水落 大、橋本 次郎、Mafumi Hishida(菱田 真史)、柳澤 佑磨、アビル ショウゴ
  
『A Wonder Lasts but Nine Days 〜友子の噂〜』 アーティスト:Kanako Saito、加藤 誠洋、岩沢 卓、増田 拓哉 
  
『Vide Infra』 アーティスト:吉岡 裕記、金岡 大輝、砂山 タイチ、御幸 朋寿、三桶 シモン
  

審査員

本プロジェクトは、従来の枠組みにとらわれないハッカソンというカタチで新しいアートを生み出すだすという、国内の芸術祭において初の試みでした。「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」へ向けての作品制作であるという軸はそのままに、その地域に根ざしたアート表現を多様な視点を取り入れて審査したいと考えました。そこで審査員は、本芸術祭のディレクターをはじめ、テクノロジー、デザイン、編集など、さまざまな分野の第一線で活躍されてきた方々の参加を依頼しました。

クライアントの課題と背景

芸術祭の会場である茨城県の北部(茨城県北地域6市町)は、風光明媚な海浜部と自然豊かな山間部の双方が複合したエリアです。これらの地域では、昔くから炭鉱が開かれ、日立周辺は銅鉱山、工業・産業が発展し、明治以後の日本の近代化を支えた地域でもあります。一方、北茨城の五浦はアジアの美学の重要性を唱えた岡倉天心や横山大観らが居を定め、日本近代美術の発展と深い関わりを持ったことでも知られています。

近年では、アーティストのクリストが常陸太田にアンブレラ・プロジェクトを実現し、先進的なアートの発信地として話題になりました。他にも、県内には筑波大学や研究所等が所在し、「科学万博−つくば’85」の開催地になった経緯もあり、茨城県は日本のアートと科学技術発展の拠点にもなっています。そこで本プロジェクトは、茨城の持つこのような先進性にも注目し、自然との対話と同時に、最先端の科学技術を使った、ここでなければ生まれてこない独自の作品をハッカソンによって誕生させるべくスタートしました。

なぜハッカソンを選択したのか

ハッカソンとは、参加者がテーマに対して決められた時間で各々のスキルを使い、アウトプットを生み出す参加型イベントです。短い時間のなかでブラッシュアップを重ね、ギャップを減らし、実現可能なアウトプット目指す行為は、創造の刺激となることはもちろん、コミュニケーションスキルを向上させる環境としても最適です。

ロフトワークは、これまで数々のハッカソンを成功へと導いてきた実績があります。茨城県北地域ならではの地域性に、テクノロジーを融合させる作品づくりには、さまざまな属性を持つ人々が、ともに参加しコミュニケーションを重ねながら表現活動を行うハッカソンが有効と考え、国内の芸術祭では初めてのアート作品の制作方法としてハッカソンを実施しました。

プロジェクトで行ったこと

プロジェクトは、新たな価値を創造するとともに地域の活性化に結びつけるねらいがありました。

1.新しい芸術表現を生み出す

2.企業のイノベーションを促す

3.地域を活性化するコミュニティの形成

上記テーマのもと、ハッカソンの企画からノベルティや、プロモーション用リーフレットなど、クリエイティブ全般を担うほか、WEBを中心とした応募のプロモーションの実施や参加者を募りフィールドリサーチを開催して、アイデアソンからアウトプットのサポートまでを行いました。

  

ノベルティや、プロモーション用リーフレットなど、クリエイティブ全般を制作

  

オンラインで公募・コンテンツを発信

プロセス

ハッカソンをどう成功に導いたのか

多様な属性を巻き込む

さまざまな領域で活躍している人々が出会うと、思いもかけない化学反応が生まれます。それゆえ、企業の新規事業や新商品開発の際にもハッカソンはしばしば取り入れられています。本プロジェクトでは、アーティスト、エンジニア、デザイナー、伝統工芸職人、建築家、研究者などの多様な属性のクリエイター55名を13チームに分け、4日に分けてハッカソンを行いました。

全13チーム

  

DAY1&DAY2のレポート
https://loftwork.com/jp/event/20151106_kenpoku_art_hack_day_12


DAY3&DAY4のレポート
https://loftwork.com/jp/event/20151111_kenpku_art_hack_day_34

質の高いアウトプットを生み出す仕組みをつくる

質の高いアウトプットを出すためには、優秀なクリエイターであることはもちろんですが、チームワーク、地域への深い理解など、さまざまな要因が絡んできます。そのためハッカソンも1日ではなく、期間を保ちながら4日に設定し、フィールドリサーチからアイデア出し、プロトタイピング、プレゼンテーションまでを行いました。

茨城県北への理解を深める

作品制作のためのアイデアのインスピレーションを得ることを目的に、参加者にむけて「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」の会場である茨城県北フィールドリサーチを開催。日鉱記念館、天心記念五浦美術館、六角堂など巡りながら県北の特徴的な自然や文化・歴史を知ることにより、地域がどのようにアートに接続できるのか、可能性を探りアイデアのブラッシュアップを行いました。

  

     

モチベーション醸成:

時間が限られているハッカソンでは、初めて会う人たちといかに関係性を構築するかが大きな鍵になります。運営側は、積極的にコミュニケーションをはかるよう参加者たちを促したり、テーマに関連する分野で活躍するゲストを招いたプレゼンテーションを行うなど、参加者のモチベーションに繋がる施策を実行しました。


産業技術総合研究所主任研究員 メディアアーティスト ニコニコ学会β実行委員会委員長・江渡 浩一郎氏によるプレゼンテーション

受賞後の展示にむけたサポート

ハッカソン終了は、8カ月の準備と制作を経て、国際舞台で活躍する作品となります。ロフトワークは採択された作品の最後のブラッシュアップに向けてのサポートも行い。「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」成功への一躍を担いました。



KENPOKU Art Hack Day WEBサイトへ

KENPOKU Art Hack Day

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