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Cabreter girl 

Cabreter girl (構想)
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オートバイと妖艶な女性を描く。
どうしようと思っている。
そうか、部品で表現するのも良いか?
ならば、ぼくは長い間、旧車にのっていて、一番関わりのあったのがキャブレターだったと思い至った。
アルミの部品は磨けば銀のような冷たい光に包まれる。
磨き込むように女性を描こう。
デコンプを押してガソリンを一瞬溢れださせる。
ガソリンはフロートチャンバーに目一杯になる。
チョークを引っ張る(混合の割合を空気を少なくしてガソリンを濃くする)(首を絞めるというのにも使う言葉)
体を跳ね上げて硬いキックを振り下ろす。
ちょっとやそっとでかかるわけはない。
数回、十数回と繰り返し、アクセルの開度をこれぐらいか?いやもう少しか?と問うている。
ん?と思った時、シリンダーを突き上げるピストンが妙な反応を示す。
彼女は少し高まってきている。
それからもうひとうち、キックを押し下げる。
ばばばっば!!
今までの押しころし耐えてきた感情が爆発するようにエンジンは吠える。
アクセルを開く、股間でシュシュシュシュとため息を聞いている。
少しアクセルをひねって鼓動が安定するまで待っている。
ようやく、スタンバイ。
チョークを戻し、クラッチをにぎり、ギヤーをいれる。
そっとつなぐと彼女は荘厳に動き出す。
パパパパッ。乾いた音が周囲のビルにこだまする。
彼女の振動がず〜っと腰に響く。
ちょっと首をあげると、ぼくは浮き上がって空気の中を地面と並行移動しているように感じる。
どこまでいっても爆発音はヘルメットの中を乱反射して恍惚感に満たされる。
うん、オートバイトはかくも卑猥な乗り物なのだな。

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