オレンジ色に熟して破裂するまで

ゴーヤがどんどんなる。成長具合をみているが、まだまだと思っていたら少し変色し、翌日には全身これ以上ない美しいオレンジ色に熟す。
そして一寸でも触ると破裂して中からこれまたこれ以上の赤というものはないと思われる赤に包まれた種がはじけ出す。
これは成長の変化だから、この実は喰えないので残念だけど、すっきりした思いになる。
古くからあるアイディア集のメモスケッチからこの絵を昨日に描いた。
何の気無しに描いたメモだけど、墨を落として大きな絵に仕上げる途中で、このメモを描いた理由が少し解ったような気がする。
その中身は「時」だ。少しだって待ってはくれない時のことだ。
真ん中の女性の上半身にもともとは樹の枝葉が茂っていた。
少し思い直して、熟れて弾けたゴーヤを枝葉の代わりに描いた。
美しい女性も熟れ切った盛りにはオレンジ色のゴーヤと同じくあやしい美しさを放つ。
そう、中三日でその美しさは終わってしまう。
子孫を残す経過に於ける美しさ。
はかないのだろうか？
ゴーヤに重ねたエロスを思っていた。
＊色をさすかもしれないが、墨一色としてアップしておく。
＊和紙パネル　60×90センチ。墨。