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薬瓶の涸れ菊

薬瓶の涸れ菊

こういう、細かな形の絵は、ついつい細部に目がいって描いてしまう。
この花弁の右隣は斜め上39度の角度でどれだけ競り上がり、その隣の花弁とはどのくらいの空間があって‥‥‥。
そんな事どうでもいいだろう!
そういって、自分の頭を切り替える。
時にでたらめに筆を動かす。

ありゃ、これでいいじゃない。手前の花の奥なんて、必死に追いかけることはない。

色にしてもそう。対象物と同じ色を出そうとする。
まったく。

枯れた、涸れた花なんて汚いものだと思っていた。最近はぼくも涸れた状況になりかけている。
だからかどうなんだか、こうした花がいとおしく思う。
良いとこ取りの人生を送って、それが幸せとか、成功者だとか、美しいなんて世間では言うけれど、ぼくはそれに素直に同調出来ない。

人間でも動物でも植物でも傷ついて過ごして来なかったらあんまり美しいとは思わない。
金を持ったとき人はいい気になる。
気取る。
ぼくもかつて月に1000万ほど稼いでいた時には厭な奴だった。
瘋癲が稼ぎを得ると底の薄い成り上がりものにすぎない。

経済的に転落してから本当の姿を見ようとする事が出来た。
本当に人が求めるべきものは何だ。

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