耐えて咲く　松の花なら　せめておや　紅き色香の　 芽吹きを見んや

松・第３作、
いたずら心からエスキースに以前描いた典型的花図を重ねてみたけど、意外と面白いと思った。
絵面として面白いのはもちろんだけど、
松の地味さとの対比で松をさらに良く言い表しているんじゃないかと思えた。
公園の松は、栄養が悪いのか、歳をとっているのか、松食い虫にやられるのか、あるいは風雪の厳しさに耐えているのか、歯を食いしばって立って居る感じ。
♬ 耐えて咲く　松の花なら　せめておや　紅き色香の　 芽吹きを見んや

＊和紙パネル 86×115cm　墨、顔彩、アクリル

（追記）
描き始める時の思いが明確すぎて、それに併せようと少し焦っておりました。
そのために、出来上がった時に余り良くないかもしれないという思いに覆われていました。
今朝の明るい日差しの中、再び見てすこしづつ視野が安定してきました。
松のここかしこに古典的な松の表現が在ります。
そことの対角線上に花の表現が在ります。

丁度、NHK日曜美術館は古田織部をやっておりました。
彼の死後、３００年か２５０年してから、パウルクレーやモンドリアンが近代の抽象画を作ったのです。
織部の置かれた戦国の世、権力の安定し切れていなかった時代を思えば、彼の戦国大名の立場はどうだっただろうか？
その中での茶の美を追った人物です。
誠に敬意をもってその美の追求を拝せざろうえません。
利休一番弟子として、師の侘び茶の確立を越えねばなりません。
アヴァンギャルドの極みでありながら、決しておちゃらけではない。
すべての行為に作為を感じない。無がなした形をして、禅の根本に沿っている。茶の本質に沿っている。

僕の中にいる古田織部はまだまだ修行の細道。

＊販売済み