"いつかはじけ飛ぶように仕組まれた平版”

"いつかはじけ飛ぶように仕組まれた平版”
　　
この絵を描きながら、ふと現在について考えていた。
この絵は厚さ20センチ程の立体を作る為の下絵から取っている。
初めは平たい立方体だけが目の前に在る事を想像した。
やがて、突然、内部にあるバネ状のエナジーの歯止めが崩壊して平面を突き破って来るのが見えた。
今の地球や社会はこの状態だと思った。
環境、政治、機構、ビジネス、戦争、飢餓、気象、健康、etc.‥‥‥‥
長い間、”常識”とか言ったもので、物事は変化しないものだと思い込んでいた。
ところが、あらゆる地球のバランスは外れかけている。
なのに、それに新たな方策を施すのに消極的だ。
原子力にまだ頼ろうとしている。
何の利益をもたらすのかまったく不明のまま戦争を繰り広げているし、
一部の有り余る金持ちががさらに金を支配している。
世界中にこうした現象は増殖し続けている。
そうした不均衡が突然予想を超えた不幸をもたらす。
何時もは平穏な目の前の白いスクリーンがぼく達の前に平和に存在している。
ある時、波打って中の押さえ込まれたバネが弾け飛ぶ。
そうしたことは、これからの事ではない、もう始まっているし、もっともっと弾け飛ぶ事だろう。
この絵の発想は最初に言ったように、単なる立体作のエスキースだ。
しかし、ぼくの深層心理が、この何も意図を考えなかったエスキース
を描いた時には既に、今までに申し上げた”警告”を知っていたと、描きながら思った。
＊現代ではこの弾け飛ぶ現象は止められないだろう。
しかし、弾け飛ばされた後、あらかじめ用意された時代を切り開くアイディアが混乱の世を改めるだろう。
そうして、やっと、21世紀がやってくる。

＊ベニヤ板パネル、砥の粉をジェッソで練り上げたものを下地に。　60×90cm　　アクリル