審査員
David Benjamin
The Living / 創業者兼プリンシパル、コロンビア大学大学院建築・計画・保存研究科准教授
生物学、計算法、デザインの交差地点に焦点を当て、生物を建築に活用するための3つのフレームワークであるバイオプロセシング・バイオセンシング・バイオマニュファクチャリングを明確化する活動を行っている。
The Livingは、多くのデザイン賞を受賞しており、Architectural LeagueのEmerging Voices Award、アメリカ建築家協会ニューヨーク支部のNew Practices Award、MoMAとMoMA PS1のYoung Architects Program Award、そしてHolcim Sustainability Awardが挙げられる。また近年のプロジェクトとしては、Princeton Architecture Laboratory(建設技術の研究を目的とする、プリンストン大学の新棟)、Pier 35 EcoPark(水質に応じて色が変化する長さ60mの浮桟橋)、Hy-Fi(新式の生分解性ブロックでニューヨーク近代美術館に造られた、分岐のある塔状のインスタレーション)などがある。
Cecilia Tham
Futurity Systems CEO兼共同創業者
起業家精神、テクノロジー、サイエンス、デザインが交差する分野で数十年の経験を持ち、Futurity Systemsの創業者兼CEOとして、「Future as a Service」を提供することで企業や組織がより良い未来を迅速に、協力して構築することに取り組んでいる。現在、イリノイ工科大学でデザイン・フューチャーズの博士論文を執筆中。
ハーバード大学でデザインを学んだデザイナーであり、ヨーロッパ初のムーンショット工場であるAlpha Telefonicaにおける元ソーシャル・テクノロジストであると同時に、Makers of Barcelona、FabCafe、allWomen.techなど複数の会社を設立した連続起業家でもある。 国連世界食糧計画X、SXSWのアドバイザーを務め、以前はバルセロナ市政府や他の民間企業でも活躍した。
AWS Global Disruptor Award 2022、WEDO Women Pioneer Award 2022の受賞者であり、Forbes Top 40 Futurists 2022、100 Most Influential Women Europe、100 Women of the Futureに選ばれている。Futurity Systems社は、ファスト・カンパニー・イノベーション・バイ・デザイン賞(2022年)、ラヴィ賞(2022年)を受賞している。
Gregory Constantine
Air Company CEO兼創業者
革新の精神を持ち、ビジネスとマーケティングの分野で世界をリードする起業家として認められており、2017年のForbes「30 Under 30」リストにも選出される。マーケティングや製品デザインをはじめ、企業戦略、運営、イノベーションの全てを指揮し、初期段階のスタートアップを世界で最も革新的な企業の一つへと成長させた。自社の技術について多くの収益性の高い応用を行なっており、例えば香水、蒸留酒、ロケットおよび航空燃料などを実現に導いている。シドニー大学での学士課程でアートへの造詣を育み、同時にハーバード・ビジネス・スクールのエグゼクティブ・プログラムで培った豊富なビジネスの知識も持ち合わせる。
Anni Korkman
Luovi Productions、Helsinki Design Week プログラムディレクター
Luovi Productionsのプログラムディレクター。Luovi Productionsは、父Kari Korkmanによって1995年に設立され、ヘルシンキを拠点にグローバルに活動する、キュレーション、プロデュース、コミュニケーションが専門のデザイン・エージェンシーである。同社は、北欧最大のデザイン・フェスティバルである Helsinki Design Weekや、独立系デザインメディア Helsinki Design Weeklyのプロデュースのほか、Fiskars Village Art & Design Biennaleやその他数々の文化的プロジェクトを創設・推進を行っていることでも知られている。ロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズで修士号を取得後、ライター、ディベーター、キュレーターとして、人々の日常生活にデザインと建築のリテラシーを加えていく活動に情熱を注いでいる。「私たちが身の回りのデザインを認識できるようになればなるほど、周囲の環境に対してより批判的になり、ゆくゆくは物理とデジタルの両方の意味において、より良い生活環境を求めるようになるでしょう。」
Renaud Haerlingen
建築家、Rotor元プリンシパル、Rotor Deconstruction 共同創業者
Rotorの元プリンシパル(2010年から2020年まで)、そしてRotor Deconstructionの共同創業者。また、ベルギーに拠点を置くこれらの協同組合において現在も連携メンバーとして活動中。Rotorでは、幅広いデザインプロジェクトの指導のほか、デザイン支援に関するコンサルタント業務や、不動産業界の著名な関係者との連携を主導してきた。
近年は、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート、TUデルフト、ETHチューリッヒ、ウィーン応用美術大学のソーシャルデザイン学科、ペルー・カトリック大学、タイのチュラロンコン大学などにおいて講義、スタジオ運営、複数のアカデミックワークショップを行っている。また2015年以降、スイスの主要機関との関係や現地の関係者とのつながりを通じて、スイスとの特別な関係を有しており、2023年にはジュネーブに移住している。
それ以前は、中東でのプロジェクトにおいてデザイン開発に従事し、ブリュッセルの共同体「Boups」のメンバーとして、フリーパーティーの開催や公共イベントのデザインに携わった。1990年代後半には、妹島和世や伊東豊雄によるマスタークラスへの参加も経験しており、日本建築に対する感性も持ち合わせている。
Rotorは2005年に設立され、物質の流れー資源、廃棄物、使用および再利用などーに関心を持ち、取り組んでいる専門家グループである。Rotorのアプローチは、常に建築環境に対する人間の計画、監視、長期使用の影響に焦点を当てており、多くの場合視覚的な側面に注目する。また、2014年に設立された別のスピンオフ組織であるRotor Deconstructionの名の下で、解体および再販活動も並行して行っている。
廣末幸子 (Sachiko Hirosue)
株式会社大阪鉛錫精錬所 代表取締役社長
高度経済成長期の渦中である1970年に生まれ、アートとサイエンスの世界が滲み混ざる辺縁空間の表現に取り組む。人間の健康における環境の役割を提唱するべく、 DIY Open Scienceを通してグローバル連携を推進している。The Johns Hopkins Universityで理学士号、MIT/Harvard HST MEMPで生体医工学と化学工学の理学博士号を取得。Mount Sinai School of Medicineでは遺伝子治療に、EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)ではバイオ・ナノマテリアルに重点を置いたワクチン開発に従事。現在は、大阪鉛錫精錬所の4代目社長として、鉛・超硬再生の未来に取り組んでいる。
Maël Hénaff
セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)MAマテリアル・フューチャーズ課程主任
フランス出身のアーティスト、音楽プロデューサー、クリエイティブテクノロジスト。現在、ロンドンを拠点に活動。彼の多岐にわたる作品は、サウンドインスタレーション、フィジカルコンピューティング、映画製作、アクティビズムに及び、主にスペキュラティブデザインに焦点を当てている。物語を中心としたアプローチを通じて気候変動の文脈で新興技術を調査し、それらが文化的、社会的、倫理的にどのような影響を与えるかを探求している。 現在、セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)でMAマテリアル・フューチャーズの課程主任を務めており、MAリジェネラティブ・デザインの講師も担当。SuperfluxやUP Projectsをはじめとするさまざまなスタジオとコラボレーションしており、彼の研究はロンドンのデザインミュージアム、テート・モダン、ミラノデザインウィーク、ドバイデザインウィークといった著名な場所で展示されている。
彼の実践は、技術をハックして民主化することを目指しており、近未来のシナリオにおいて、技術がどのようにコミュニティに利益をもたらすことができるかについての批判的な議論を促進している。
Kalaya Kovidvisith
FabCafe Bangkok 共同創業者
FabCafe Bangkokの共同創業者であり、FABLAB Thailandのマネージング・ディレクター。マサチューセッツ工科大学(MIT)でデザインと計算の修士号を取得。デジタルファブリケーションとバイオテクノロジーがどのように産業界の関係の変化を強化し、次世代の新しいビジネスモデルを生み出すかを研究テーマとしている。2015年のGlobal Entrepreneur Summit Delegate、2016年のAsia Pacific Weeks Berlinに出席。
Gwyneth Jong
FabCafe Kuala Lumpur 共同創業者
2016年にクアラルンプールの伊勢丹ザ・ジャパン・ストア内に設立された、先駆的なメーカースペースFabspaceの共同創業者。2019年、FabspaceはFabCafe KLへと進化し、先進的なツール、知識、テクノロジーを使ってクリエイティブ・コミュニティに力を与えることに専念している。グウィネスのリーダーシップの下、FabCafe KLは段ボールだけで作られた革新的なAapeストアの”Alphaマネキン”をはじめとした、注目すべきプロジェクトを手がけてきた。また、マレーシア全土の大手企業向けに、サステナブルでアップサイクルなワークショップのデザインとキュレーションも得意としている。持続可能性にコミットするFabCafe KLは、環境に配慮した慣習を日々の業務に取り入れることを使命としており、環境への責任を推進しながら創造性を育むというグウィネスのビジョンを反映している。
浦野 奈美 (Nami Urano)
FabCafe Kyoto マーケティングリーダー、SPCSコミュニティマネージャー
大学卒業後ロフトワークに入社。渋谷オフィスにてビジネスイベントの企画運営や日本企業と海外大学の産学連携のコミュニティ運営を担当。2020年にはFabCafe Kyotoのレジデンスプログラム「COUNTERPOINT」の立ち上げと運営に従事。また、FabCafeのグローバルネットワークの活動の言語化や他拠点連携の土壌醸成にも奔走中。2022年からは、自然のアンコントローラビリティを探究するコミュニティ「SPCS」の立ち上げと企画運営を担当。大学で学んだ社会保障やデンマークのフォルケホイスコーレ、イスラエルのキブツでの生活、そして、かつて料理家の森本桃世さんと共催していた発酵部活などが原体験となって、場の中にカオスをつくることに興味がある。