COMPETITION

FabCafe Tokyo Creative Residency vol.3 参加アーティスト募集

デジタルとアナログを横断しながら、既存のジャンルにとらわれない表現に挑戦するアーティストを支援する「FabCafe Tokyo Creative Residency」第3回目のプログラムに参加するアーティストを募集。「AI-ダダ」をテーマに、多彩なコミュニティとの交流やデジタルファブリケーションを通して、新たな表現を探究する場を提供します。

結果発表 2026/02/11(水) - 2026/03/01(日)

FabCafe Tokyo Creative Residency Vol.3 採択作品発表

FabCafe Tokyoが運営するアーティストインレジデンスプログラム、FabCafe Tokyo Creative Residency の第3回募集結果を発表します。

表現ジャンルの境界線を超え、デジタルとアナログを横断する次世代によるイノベーション創出を支援する本プログラム。
2025-2026年通年の活動テーマを「AI-ダダ」として、東京・渋谷を拠点とするFabCafe Tokyoのグローバルコミュニティや設備を介して、
参加アーティストの新たな挑戦や表現方法を探究する場を設けます。

第3回となる今回、17の作品・プロジェクトがエントリーされました。
審査においては、「AI-ダダ」のテーマのもとに、渋谷という街の風景・環境を再解釈しながら、これからの時代をささやかに更新しようとする4つの作品とアーティストを採択しました。

採択された作品は、2026年5月初旬にFabCafe Tokyoにて展示されます。

採択作品

DONG WENJUN 《data cafe》

ダダが意味を解体したあと、私たちは理解されないまま生成される言葉やイメージに囲まれています。AIは味覚を持ちません。それでも分析し、語り、音へと変換できます。
本作では、カフェという日常的な形式を通して、その生成の構造を立ち上げます。注文という行為を起点に、言語と音が結びつき、身体的な体験へと接続されます。
そこにあるのは、人間的理解に基づかない関係性です。それでも私たちは、その出力を意味あるものとして受け取ってしまいます。意味は崩壊したのではなく、自動的に補充され続けています。その状況を体験として可視化する試みです。

DONG WENJUN

ファッションや劇場表現の背景を起点に、空間や物語の演出を横断する制作を行っている。衣服と身体の親密な関係から培ってきた感覚的なアプローチを、展示空間やワークショップ、インタラクティブな装置へと展開し、人と人、人と場所のあいだに生まれる関係性を「場」として立ち上げる実践へと発展させてきた。素材を用いたインスタレーションや参与型の試みを通して、個人の記憶や経験が交差し共有されるプロセスそのものを作品として提示している。

佐野 翠 《仮): Modulation³_flow_Shibuya — Resources: Real / Hallucinated》

「実在と幻覚」——渋谷の資源を、人間とAIがそれぞれ標本にする。渋谷エリアの滞在人口CSVとOpenStreetMapの地理データを素材に、実際に渋谷を歩き、人と交流し、この場所を身体で経験した作家が手で編集した結晶彫刻と、同じデータだけを与えられたAIが幻覚(hallucinate)した造形を並置するプロジェクト。「渋谷」の地名は鉄分を含む赤錆色の川に由来する。かつて水が満ちた谷に、今は人流とデータが流れ込んでいる。土地を踏んだ者と、純なデータのAI——同じ入力から異なる出力を返す二つの造形の差異のなかに、渋谷という場所の輪郭が浮かび上がる。

佐野 翠

1993年東京生まれ、広島在住。広島市立大学大学院博士課程2年。「変調(modulation)³」を核に、オープンデータを鉱物・結晶の形態に編集し3Dプリントで彫刻化する。窓ガラスやモニター越しの知覚が常態化した自身と現代社会において、データと物質のあいだを結晶として定義して取り出す試みを行う。AFAF AWARD登竜門2025選出、KYOTO Gathering 2025等。

 

 

YUKI MORITA 《What We See》

FabCafe Tokyoの窓の外に見える渋谷は、2034年まで続く再開発の只中にある。いま見えているビル群も首都高速も、やがて消え、別のものへと置き換わっていく。消えていったものはどこへ行ったのか。そして「消す」という行為とは何か。着目するのは、都市と生成AIに共通する「潜在する多様体から何かが選び取られる構造」である。都市には、土地の履歴、過去の計画、人々の記憶、まだ現れていない将来像が潜在し
ている。再開発とは、その複数の可能性の中から一つの姿が選ばれ、現実として固定されていくプロセスだ。生成AIも同じく、内部に潜在空間を持ち、人間はそこから出力を選び取り続ける。選ぶことと消すことは表裏一体であり、都市もAIも、潜在していた可能性の中から一つを選び取り、残りを不可視にするプロセスである。
AIの画像編集技術は、画像の不要な部分を自然な背景へ置き換え、最初からそこに存在しなかったかのように見せる。これは便利な編集機能であると同時に、写真の記録性を内部から書き換える破壊の道具でもある。本展はこの道具を反転させる。整った像をつくるために消すのではなく、消されてきたもの、選ばれなかったものを再び出現させるために。

森田祐輝

ラグビーの怪我を機に脳神経科学を経てメディアアートへ転換。テクノロジーによる社会の 急速な再編成のなかで、何が「当たり前」かを問い直す制作を、芸術と科学の交差点から行 っている。スポーツがもたらす規範と関係性を主題に映像・インスタレーションを制作する ほか、近年はDIG SHIBUYA 2026への参加など渋谷の都市変容をテーマとした作品も展開。 第29回岡本太郎現代芸術賞入選。東京藝術大学大学院在籍。

門田健嗣 《human as landscape》

本作は、生活環境における人間の立ち位置を「環境の一部」として再定義する試みです。家具内に設置されたカメラが捉える室内風景を、AIを用いてリアルタイムに「外部の風景」へと変換、出力します。

これまで人間は、家具や建築を使う「主体」でした。しかし、本作は家具に設けた窓越しにAIによって再構成された風景を眺めるという体験を作り、その主従関係を解体します。これにより、見慣れた生活の断片やそこに介在する人間の存在は、街のビル肌や大自然の地層と同じく、環境を構成する物質あるいは現象へと還元されます。窓というフレームを通すことで室内で起きている動きや人影、その他住環境の状況は対象化され、外部環境のテクスチャへと翻訳されるのです。

この変換プロセスを経て、鑑賞者は自らが環境を構成する要素(component)であることを再認識し、人間が環境へ溶け込んでいくような視座を体験することになります。

門田健嗣

映像と建築の共生をテーマにプロダクトデザインや空間設計などを行う。建築の映像性やメディア性に興味があり、設計業務で学んだ環境と人の関係を調整する建築的手法を軸に、映像に接続するための構法の実験や映像のための小さなスケールの建築・インテリアデザインを展開してきた。本レジデンシーでは、人間を環境化する存在としてAIを捉え、制作に取り組む。第27回空間デザイン・コンペティション最優秀賞受賞。

 

今後のスケジュール

採択された4つのプロジェクトは、FabCafe Tokyoの設備やコミュニティを活用した滞在制作を経て、2026年5月初旬に同会場にて展示・発表されます。
効率や正解を求めるAIの潮流に対し、彼らがどのような「ダダ」的実践で応えるのか。
渋谷の風景がどう書き換えられるのか。どうぞご期待ください。

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