COMPETITION

商品の背景にあるストーリーに触れ、パッケージにその魅力を込める

まさに潮と潮がぶつかる豊かな潮目を象徴する「USIO」プロジェクト。石垣島や日本国内にとどまらず、台湾をはじめとした海外からも多数の応募があり、学生からプロのデザイナーまで幅広い応募者から、背景にあるストーリーや作り手の想いを表現した431点の作品が集まりました。

世界中から集結したデザインを異なる視点からジャッジ

どれも斬新で魅力的な作品ばかり。全審査員一致で即座に決定したデザインもあれば、最後まで意見が分かれ、「2つのデザインで試験的にどちらが売れるのか調査してもよいのでは」といった意見が出るほど選考に困難を極めたプロダクトもありました。

優れたデザインが多いだけに結論を出すのは容易ではありませんでしたが、地域×デザインの取り組みならではの一面も。「台湾から見た日本的なデザイン」「東京では生まれないデザイン」「石垣らしい民家にすれば」・・・と審査員それぞれの拠点フィールドからの視点やアイデアが交錯し、たいへん興味深い審査会となりました。

最終的に、石垣島の特徴を忠実に盛り込んだ表現力、国内外を見込んだターゲットへのプレゼンテーション力、製法や業者提示コストとのバランス、そして何より審査員をあっと言わせる際立つ個性が選出のポイントとなり、以下10点の採用が決定しました。

採用作品

Title: 01.石垣の塩

Creator: IDEA N DESIGNさん

Concept: 塩の結晶格子をモチーフにしました。海水塩も海産物であ ることから、「海っぽさ」や「浜っぽさ」を表現しました。外装 は高品質感を出すため、カマンベールチーズの箱のような 円柱の紙製で提案します。湿気対策が必要な場合は、箱内 で塩をビニル袋等で梱包します。

Judge's comment: 離島経済新聞 鯨本氏

どの島にも「塩」のお土産はある。なので、少なくとも「石垣島」であることが際立つことが非常に 重要で、かつ若い人に受けそうなデザインなのが良い。

Judge's comment: 台湾デザインセンター 陳氏

側面のパターンが浴衣に見え、和風に感じる。こういった塩のパッケージはあまりないのでインパ クトがあっていいと思う。モダンな感じを与える。

Judge's comment:スマイルズ 遠山氏

都市部の高級スーパーなどにも並びうる力がある高級感が良い。キッチンで料理するときに手元 に置いておきたくなるような良質なデザインに仕上がっている。

Judge's comment: ロフトワーク 林

すごくシンプルだけど使いやすそうだし自分でも欲しい。お土産で買って帰りたい。

Title:02.琉球泡盛「月虹」

Creator: 羽室 吉隆さん

Concept: 30日の月の周期の中で、空から海へ、海から島へ、そして 島から材料へそして泡盛(月虹)へと、すべてを凝縮してひ とつの泡盛が完成していく様子を表しています。

Judge's comment: 離島経済新聞鯨本氏

島にはあらゆる酒があるが、島焼酎とか琉球泡盛の中でも見たことがないデザインで印象的。パ ッケージの箱もよく見ると月の満ち欠けや波など細かなところもデザインされているのがすごく 面白い。

Judge's comment: 台湾デザインセンター 陳氏

台湾に原住民族がいるが、その民族柄に似ている。こういったパターンは伝統的なイメージが強 くていいと思う

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

東京ではなかなか生まれないデザイン。

Judge's comment: ロフトワーク 林

審査員メンバー全員の意見が一致した。たくさんの応募作品の中でも際立っていた証拠。

Title:03.石垣島のパインアップル

Creator :いしがみ あきよし(Graphika Inc.)さん

Concept: 石垣島産のパインアップルとしてパッケージを含め広く認 知されていけるように心がけデザインしました。他の産地と 差別化しあえてパインアップルの写真やイラストなどは使 わず、果実そのものの個性を生かしたパッケージとして、見 た人に印象づけられればと思います。デザインシンボルと して丸の中にパインアップルの漢字「鳳梨」の「原」の文字 を置き、産地である石垣島のシルエットをポイントでサイド に配置しています。 島の果実を持って帰ってもらえる様に、1つ入りのパッケー ジは冠芽(上部緑部分)をそのまま出し果実を大切に覆う パッケージにし、果実(冠芽)込みでのデザインにしており ます。冠芽部分に二つ折りの紙タグ(外・窓色/中面・黄 色)を付属でつけ、石垣島のパインアップルの歴史や甘く ておいしい理由、生産者の思いを記せればと思います。2 つ入り箱はケーキのような止め方の段ボールにし、サイド には手持ちの穴をあけています。 採れたての「島の果実」を、明るい黄色のストライプとシン ボルロゴでブランディングと知名度向上をはかり、お土産 としても島内外の方が持って帰ってもらえるデザインを目 指しました。

Judge's comment: 離島経済新聞 鯨本氏

かわいいし、構造としてパインを守ってくれそうな感じがあるので持ち帰りにも傷まなくて良いのでは。

Judge's comment: 台湾デザインセンター陳氏

パインアップルは台湾や東南アジアにもたくさんあるためその差別化が必要で、地域の特徴に加 えて日本のイメージを加えるのがいいのでは、台湾では漢字を丸囲みしたタイポグラフィを「日本 的」と感じるのでとても良い。また石垣のパインは葉の部分が整っていてきれいだと感じるので、 それを活かせるデザインなのでは。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

オシャレ過ぎないし面白いと思う。持ち帰りやすいよう、紐をつけるなど機能的な部分さえクリアすればお土産として渡したときに「おお」っていう感じもあるし、売れそうな気がする。

Judge's comment: ロフトワーク 林

個装から飛び出る葉の部分が、パイナップルであることは一目瞭然。それでいて、お土産としての ワクワク感や品質感が足されており、シンプルだけど効果的な個装に仕上がっている。

Title: 04.油みそ「あんまぁーのアンダーミシュ」

Creator: 本田篤司さん

Concept: 人の手で作られている部分が強い商品なので、パッケージ としても「紙で包み紐止め」という人の手が感じられる作り を考えました。また、容器が以外と小さいので包み袋に商 品名を記載し、日本語の組み方で、今後の展開にも対応で きる様デザインしています。

Judge's comment: 離島経済新聞鯨本氏

油みそは他の地域にもいっぱいあるので、八重山諸島とか石垣にある他のみその違いがはっき りとわかる差別化は必要。

Judge's comment: 台湾デザインセンター陳氏

「みそ」という字は、台湾人もよく知っているので、このデザインだと分かりやすい。高級感もある。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

元々のみそ壷のようなイメージでよい。この文字が甘い印象を与える。紙包装は最初に取るとなく なるので、肌がどういう状態か、キャップにするか、調整は必要かも。

Title: 05.本当に真面目なツナフレークス

Creator: 黄孝忠さん

Concept: 消費者に商品を覚えてもらいやすいよう名前を短縮し、 「100%」を付け足しました。このデザインの最も重要なメッ セージは新鮮さ。マグロの皮膚についた水滴は、新鮮な魚 市場を彷彿とさせます。よりリアル感を出すためパッケー ジ下部に写真を入れ、中身は何が入っているか一目で分 かるようにしています。木箱のようなものに入れられたイメ ージを出すため、魚の皮や肉は木目調のパターンで囲み ました。このツナフレークがいかにナチュラルで特別なも のかを表現しています。

Judge's comment: 台湾デザインセンター陳氏

中身が分かるようなデザインで新鮮さが出ていて良いと思う。高級感もある。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

宇宙のような印象を与える不思議なデザイン。高級感があるので高級スーパーにも置きやすいか もしれない。

Judge's comment: ロフトワーク 林

魚の肌を表現したあたりは、もう少しグロテスクさを調整したほうがいいかもしれない。ただ、このデザインはリアルさを保ちつつ、ぎりぎり気持ち悪くせず、魚であることを表現できていると思う。 今回はレトルトパウチという製法上、実現可能性も重視した。ブラッシュアップ版を楽しみにして いる。

Title: 06.玄米乳

Creator: 本田 篤司さん

Concept: ラインで構成した線画で、玄米を象徴した稲穂・石垣の海 と太陽を表し、どこか懐かしく感じる佇まいと八徳屋さんの 玄米乳だと分かるブランドを表す商品名兼ブランドロゴと してアピールすればと思いデザインしました。

Judge's comment: 台湾デザインセンター陳氏

伝統的な製法を強調できるデザイン。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

初めて飲んで、まず『美味しいなー』とその味にびっくりし、東京でも是非とも味わいたいと思っ た。そういう観点から、高級感があって東京でも馴染めるようなデザインに仕上がっているこのデ ザインを選んだ。

Judge's comment: ロフトワーク 林

素材の素朴さと、単色刷りというデザイン的な制約を上手に活かし、高級感を出せている点が良い。

Title: 07.白保の島ハーブティー

Creator: 平野 達郎さん

Concept :民家の庭先に多種多様なハーブが育っていて、それを健 康茶として昔から飲んでいる。というのは、とても豊かなこ とであり、他のどの商品にも無いような強いオリジナリティ ーだと思いました。 そこで、ネーミングはストレートに『庭のハーブティー』。『庭 ハーブティー』ではなく、あえて接続詞の『の』を入れて話し 言葉のようにする事で生産者を身近に感じられるようにな るのではないかと考えました。パッケージは家の形です。お 茶の種類によって屋根の色が違い、複数個並べる事で、 家々で多種多様なお茶がある石垣島の文化を表現してい ます。

Judge's comment: 離島経済新聞 鯨本氏

売れるデザイン。おばあちゃんたちの手で丁寧に作られているということなので、せっかくだから この屋根だったり横のだったりを白保集落の住宅らしいデザインにブラッシュアップしてもら えれば、より個性的でここにしかないものになると思う。

Judge's comment: 台湾デザインセンター陳氏

「庭から摘んだ」というのがとってもいいストーリーなので、そのイメージがある作品がいい。お茶 はたくさん商品があり、ほかの作品は今出ているものと大差ないが、これは物語があるようで飲 んでみようと思わせるのでは。

Judge's comment:スマイルズ 遠山氏

これはプレゼントになる良いデザイン。

Title: 08.ゆきさんの黒糖ジンジャーシロップ

Creator:中川 義朗さん

Concept: 本体ラベルは、可愛いらしい飾りや曲線のカットで女性に 好まれるデザインにしました。ラベルは暖かい風合いの紙 を想定しています。全体的に暖色系のカラーリングで美味 しそうで気持ちがほっこりするような優しい印象を与え、商 品名がすぐ目に飛び込んでくるよう日本語表記のタイトル をシンプルに配置しました。また、カードを付ける事 で、「にごり」の美味しさ”や“こだわりの手作り製法”という 事を丁寧に分かりやすく消費者の方に伝えられるように考 えました。

Judge's comment: 離島経済新聞鯨本氏

ストーリーがラベルの形でついているのは、「気をひく」良い仕掛け。細かい情報や物語は、わりと 女性に好まれるので、リピートされるとも思う。素直にもらったらうれしいし、プレゼントとしても喜 ばれるのでは。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

ホットケーキにかけたくなるような、スイーツ向きの印象で良い。

Judge's comment: ロフトワーク 林

女性がお土産で買って帰るイメージがわく。女性は情報があるもの好きだと思う。現行の別ライン 商品とやや印象が近いので、「にごり」独自の差別化ポイントは検討してほしい。

Title :09.紅芋パイ

Creator:慶本 俊輔さん

Concept: この商品の最大の魅力である「イモそのものの美味しさ」 を訴求しました。切り口までキレイな紫色をした沖夢紫の 姿は、それだけで人を引きつけます。また、お土産用のパッ ケージでは「とっておきたくなる」「とっておける」という要 素が非常に重要だと思うため、紙や箱ではなく缶の使用を 提案します。お菓子としてだけではなく、芋そのものにも焦 点があたるデザインを心がけました。

Judge's comment: 離島経済新聞鯨本氏

あとで何かに使えそうな感じ、ありそうでなかったデザインがユニーク。

Judge's comment: 台湾デザインセンター 陳氏

発想が非常に面白い。説明はいらないし、高級感もあってよい。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

せっかくだからあとでモノ入れにできるようにシンプルに印刷はなるべくしないでシールをき れいにはがせるようにして、机の上にずっとこの石垣の記憶を残しておく...などその後の使い方 までイメージできるパッケージ。

Judge's comment: ロフトワーク林

この紅芋を切ったようなストレートで、デザインとしての切り口がいい。

Title: 10.花織みんさ

Creator: いしがみ あきよし(Graphika Inc.)さん

Concept: 日常の生活の中に「花織みんさ」として、普段何気なく使っ ているテープに応用できればと思い制作しました。そのテ ープの中でも、ポリエチレン繊維で織られ、幅広い用途で 使用される養生テープにみんさ柄のプリントを施せればと 考えました。縦横に織られた元々のテープの特徴を生か し、プリントをしても織物の質感を損なう事無く引っ越しや 荷造りなど、老若男女問わず幅広い層に「みんさ」の魅力 を楽しんでもらえればと思います。テープを入れる巾着と 合わせて販売できればと思っております。

Judge's comment: 離島経済新聞鯨本氏

地元の人や石垣の中にあるおしゃれなお店がそこのパッケージでちょろっと使える。裾野を広げ る点でユニークなアイデア。

Judge's comment: 台湾デザインセンター 陳氏

台湾の博物院で昔の朱印の文字をプリントテープにしたオリジナルグッズがあり、それが今1カ月 に何万個も売れるほどブームになっている。このテープもそうしたストーリーが愛されるのでは。

Judge's comment: スマイルズ 遠山氏

すごく面白い。

Judge's comment: ロフトワーク 林

本物のみんさー織ではないものの、「みんさー」のブランディングという意味では面白いアプロー チ。このテープがきっかけで、みんさー織そのものが人気になれば、価格面で新製品開発が難し い織物全般のニーズを高める手法として可能性を感じる。

審査員講評

台湾から見た「石垣島」や東京から見た「島らしさ」など、石垣を色んな方向から見た作品があって非常に面白かった。さまざまな角度から見て作られたものがあって、石垣の方にも喜ばれるのではないかと思う。(離島経済新聞 鯨本氏)

いい試みだと感じた。東京や都会のデザインとはまた違う、石垣島という離島の良さを生かしたものがちゃんと集まり、現実的なよいものができ上がっていくと思う。それぞれの売り上げも上がるのでは。(スマイルズ 遠山氏)

石垣の伝統のある特産物をテーマに、東京・台湾やさまざまな地域からデザイナーの提案があり、新しいものが出来上がるのはとても面白い取り組みだと思う。今回の審査では作品の完成度が高いものがたくさんあり、デザイナーの皆さんが離島のことに関心をもってデザインに参加したということは非常に意味のあることで、我々にとっても勉強になったし同様のものを台湾でもできたらと思う。今回の審査はあくまで中間段階であって、選ばれたデザインをさらにデザイナーに磨いてもらい、メーカーと実際に交渉・調整することによってさらに素晴らしいデザインが生まれることが期待できる。(台湾デザインセンター 陳氏)

海外の審査員も含めて、日本の名産品の審査を行うのは今回初めてだったが、自分の良さは周りに指摘されないと分からないのと同じで、どこが日本らしいのかというのは案外自分たちでは分からないものだと感じた。今回、石垣の魅力を外の視点から見直すことを意識的に行ったが、その過程で「東京から見た石垣の視点」というものもあったし、「日本じゃない国から見たときの日本の魅力」というものも審査を通じて発見できた。日本のさまざまなエリアや台湾からの作品が選ばれたが、実際彼らが集まったときに彼ら自身がどんな会話をするのだろうとか、これから石垣と触れ合い、どんな形でデザインが洗練されていくのかとても楽しみ。(ロフトワーク 林)

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