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一蓮托生

美術
運命や行動を共にすること。 また、死後に生まれ変わって極楽浄土で同じ蓮華の上に生まれ変わること。

私の勝手な解釈ですが、この「同じ蓮華の上」というのは人間世界のことをさしているのだとおもいます。

野生の動物世界は弱肉強食で、強いものが弱いものを捕食し命をつないでいきます。一般には捕食される(弱い)動物は多産で繁殖力が強く、逆に(強い)猛獣などは一度に数頭しか子供を産みません。
なので、残酷なようですがこのシステムによって多様な生物の種の全体バランス保たれています。

しかし知能が発達し、様々な気候風土で生きる人間に限っては、このような弱肉強食システムより、強いものが弱いものを助け、足りないものを補い合うといった、相補扶助のシステムのほうが効率よく種を維持できるのではないかとかんがえられます。

人間も動物のように多種多様な人種や個性があります。絵の中の動物は人間を様々な動物に置き換えて描いています。

また背景の布は「世界」を表しています。  
本来、世界ひとつの連続体で、部分部分で常態の変化があったものの、それぞに区別はありませんでした(色即是空)
のちに人が世界を認識するようになってそれぞれの部分を名前で呼ぶようになってしまいました。地上の盛り上がった部分を「山」とよんだり、水に満ちたところを「海」と名ずけたり、本来は区別が無かったものを色々と定義ずけしました。それからは人は、名称で物事を区別するようになり、世界はバラバラに認識されるようになりました。さらに時代時代に認識も変化し、破れた布をつくろうように世界は縫い直され、継ぎ接ぎだらけになってしまいました。

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