画面を通して拡張現実された世界を見続けた後、画面を通さずに世界を見ると「あ、仮想だった」と我に帰ることがある。
本作は拡張現実上で、触れるとそこにあったはずのオブジェクトが消えてしまうという体験を通して、リアルとバーチャルの境界を再認識する作品である。
現実世界の表現を拡張現実上で模倣し、リアルとバーチャルの境界が溶かされていく一方、スマートフォンで体験するような、視覚と聴覚で主に表現される拡張現実は、どこまで行ってもそこには実体が無いという儚さを感じる。その儚さを、息を吹きかけると飛んでいってしまうようなたんぽぽの綿毛をモチーフに表現した。