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日本においてMobility as a Serviceは「移動のDX」の夢を見るか?

欧州の公共交通サービス提供で中心概念の一つとなっているMobility as a Serviceは、国土交通省の定義によれば「出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに一つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念」である。一方で、解決しうる課題によって分類される「日本型MaaS」という政策用語の登場で、この概念が既存の業界構造の内部に押し込められ、業界構造自体が変革する兆しは見られないように映る。結果としてMaaSという概念は、本来予想された分野横断的な広がりを見せず、社会へ大きな衝撃を与えるに至っていない。
この「問い」は、日本において交通業界に幽閉されたMaaSが夢見る「移動のDX(デジタルトランスフォーメーション)」の正体を突き止め、以って領域を横断した移動の共創・創発へと接続することを目的とする。MaaSの根本的なアイデアを学びつつ、単なるデジタル化に留まらないこの概念の貢献について考え、世に送り出していく。

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