間伐材の定期物流 with 高山市行政
-
応募プロジェクト・アイデアのタイトル
飛騨高山の山林資源活用による、循環経済モデルの実践
-
応募プロジェクト・アイデアのタイトル(英語)
Practicing a circular economy model by utilizing forest resources in Hida Takayama
-
応募プロジェクト・アイデア紹介動画URL(5分以内)
-
応募プロジェクト・アイデアの説明
採集した間伐材や未利用材等の地域資源を有効に運搬・利活用するため定期物流を構築し、その売上対価を地域通貨として発行、参加者へ還元することで、地域資源による経済圏を形成している。岐阜県高山市は日本一面積の大きい市(東京都とほぼ同じ面積)であり、その92%を山林が占める。このような豊富な森林資源が目前にあるにも関わらず、人口8.8万人の小さな同市では、化石燃料購入のために多額の金を費やし、海外へ流出しているという現実があった(例:灯油の消費量は毎年24億円)。また、間伐施業で搬出される森林資源は地元でうまく活用されず、地産の木工品や建築物の材料には、外国産材が多く使われている流れとなっていた。このような非効率な流れを変えようと、私たちが運営するNPO法人活エネルギーアカデミーでは、「間伐材の定期物流システム」と「間伐で生まれた価値を地域通貨として循環させる経済モデル」を構築し、実践している。
-
応募プロジェクト・アイデアの説明(英語)
An economic zone based on local resources is formed by issuing the sales consideration as a local currency and returning it to the participants, with establishing regular logistics to effectively transport and utilize local resources such as collected thinned lumber and unused lumber. Takayama city, Gifu Prefecture, is the largest city in Japan (almost the same area as Tokyo), and 92% of it is occupied by forests. Despite the abundant forest resources, the small population of 88,000 was spending a lot of money to buy fossil fuels and flowing overseas (eg : Kerosene consumption is 2.4 billion yen every year). In addition, the forest resources carried out by thinning are not utilized well locally, and foreign timber is often used as the material for locally produced woodwork and buildings. In order to change this inefficient flow, the NPO Katsu Energy Academy, which we operate, has built a "regular logistic system for thinned wood" and an "economic model that circulates the value created by thinning woods as a local currency."
-
応募プロジェクト・アイデアの詳細説明
<定期物流が刻む山を中心とした生活リズム>
荒れていく山を何とかしたいという声はあれど、なかなか手入れが進まないという現状があった。そこで効率的な集材のため、高山市と協働で間伐材の定期物流「積まマイカー」を周回することで、間伐活動が生活リズムに組み込まれていった。その結果、活動参加者は100名を超え、材の集積場は市内13カ所に増加、年間伐採量は900トンを超えた。参加者は60代以上の定年退職後のシニア層が中心であるが、山仕事により健康状態が改善されたと皆口を揃えて言う。少子高齢化社会にあって「高齢者が輝く場」となっている。昨年からのコロナ禍にあっても、風通しの良い森での三密回避が追い風となり、集伐量は例年より増加傾向にある。また、集伐量増加に伴い、地域通貨発行額は年間480万円を超えた。使用された通貨は金融機関(飛騨信用組合)にて現金決済できる協力体制となっており、森林資源が地域経済の活性化と安定につながる結果となっている。
<金融機関で決済できる地域通貨>
定期物流トラックが集材し、地元の木材加工業者へ出荷した売上を、間伐作業者へ搬出対価(6,000円/t相当)を地域通貨Enepoで発行している。Enepoは木材圧縮技術を活用したスギ薄板のアナログ紙幣の地域通貨であり、1枚が500Enepo (500円相当)で市内74店舗ある協賛店で現金と同様に使用でき、協賛店では、受け取ったEnepoを地元金融機関の飛騨信用組合で現金決済ができる。金融機関がアナログ地域通貨を対価交換してくれる仕組みも全国初と聞く。
<間伐資源が地域経済を潤す>
Enepoは昨年より、飛騨信用組合が発行するデジタル地域通貨「さるぼぼコイン」と提携したことで、等価交換が可能となり、飛騨圏内に1500店舗以上ある「さるぼぼコイン」加盟店でも使用できることとなった。より一層利便性が向上したことで、森林資源と市民生活を結ぶものに発展してきている。
<山の木を砂金のような価値に>
伐採した木材は幹の部分のみならず、枝葉まで余すところなく活用している。細い幹や枝は、NPOの仲間達で炭や薪を製造し販売している他、一般的に山に廃棄される葉は、採取し市内の業者に販売され、アロマオイルや農業用の土壌改良剤へと生まれ変わる。こうした様々な利用を通じ、森林資源の地域内循環を確立しようとしている。
<木質燃料が化石燃料に代わることで日本が豊かに>
日本は生活に必要なエネルギーを化石燃料として海外から輸入している。ここに費やしている燃料代を木質燃料へ置き換えていくことで、海外へ流れていくお金を地域へ還元できるだけでなく、化石燃料を海外から運搬するエネルギーも省くことができる。地球の地表面上の二酸化炭素の総量は一定であるため、木質燃料は使用しても基本的にカーボンニュートラルと言える。地元資源を使うことで山林の整備が進むだけでなく、雇用の創出や人口増加にも繋がり、林業の復興は地方が抱える過疎化問題の解決の糸口にもなる。
<5.5kmの距離内で構築される産業連関>
間伐材の多くは木質燃料として利用するが、中には立派なものも採れる。それらを建材として利活用するため、私の設計事務所で建材を作り、設計案件で活用している。活動拠点(設計事務所と木材集積場)から半径5km以内の近隣の製材所や加工施設と協力体制を作り、製材・乾燥・2次加工など有償で依頼し、様々な製品に仕立てている。また、製材し天然乾燥した状態、人工乾燥まで仕上げた状態、羽目板に2次加工した状態等、利用する業者の希望に都合に合わせることで、同業種の建設業者が利用し易い体制を整えている。これらのことが材の付加価値を高めることにつながり、それが放置林の価値を高め、ひいては自ずと人が山に入りたくなる状況をつくり出すと期待している。 -
応募プロジェクト・アイデアの詳細説明(英語)
-
応募プロジェクト・アイデアのWebサイトがありましたら、URLをご記入ください。
https://www.enepo-takayama.com