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充実感を急ぐ20歳代
20歳代最後(大分過去)に転職が決まり、区切りとして村上龍の音楽の影響があってキューバ旅行に行ってみた。首都ハバナでは長い直線の道を真夜中タクシー移動した。マイケルボルトンの力強い曲が流れた清潔なタクシーだった。不思議と後部座席から見上げた夜空は真っ暗なはずなのに、記憶には青白い夜空が残った。私にはこれがとても印象的でこの実在しない青白い夜空を何らかの形で絵に表現してみたかった。
絵を遠目に見ると2つの目を持ち、長い顔だか胴体を持つ(抽象的)緑の龍が、青白い空間が光る宇宙を不器用に飛んでいる。龍は長いので20歳代の時間の流れに見立てる事ができそうだとして描いた。暗黒の宇宙は右も左も分からない社会を表現している。
一方、絵を近目に見ると龍の目の箇所に緑の人間2人が見えてくる。この人間は20歳代で何かを掴みたいと思っている人間だ。転んでも(プライベートや仕事でエラーしても)耐えている人間と、本を携えて無機質な時間の流れ(龍の長い部分)に爪痕(仕事でトライ)を残そうとしている人間だ。
結局この人間2人は、20歳代の自身の活動からしっかりとした何かを掴むことはできなかった。やっぱりダメだという焦りが生まれる。しかし、ひとまず転職できるくらいの力はついたのだからという自分への諦めにも似た前向きな心で、今までの爪痕を充実感に押し込もうとする。充実感を押し込もうとする絵の表現は、爪痕の痕跡という時間の流れ(龍の長い部分)を青白い光という充実部分に不器用に向かわせる事で描いた。
見知らぬハバナの真っ直ぐな道を真夜中に走り続けている緊張と、マイケルボルトンの力強い声が、タクシー空間を人工的な青白い光に包んだようなコンサートホールにしてくれた。そして充実感を押し込んでいる事はとても上等な結果だとマイケルボルトンの声が言っているように思えた。これでいいんだと。この意図しなかったハバナの真夜中のタクシーでの高揚感が夜空を青白く記憶させたのかもしれないと思った。
20歳代の緊張ある懐かしい心境を思い巡らし、青白い色の整理をしながら絵を描けた事が楽しかった。また、この色を他の人はどう使っているのか確認したくて、いろいろ絵や写真を見てみた。青白い色は有名画家が扱っていたり、村上龍の限りなく透明に近いブルーとも似た色なので、色を通して繋がりを感じられて嬉しかった。
絵を遠目に見ると2つの目を持ち、長い顔だか胴体を持つ(抽象的)緑の龍が、青白い空間が光る宇宙を不器用に飛んでいる。龍は長いので20歳代の時間の流れに見立てる事ができそうだとして描いた。暗黒の宇宙は右も左も分からない社会を表現している。
一方、絵を近目に見ると龍の目の箇所に緑の人間2人が見えてくる。この人間は20歳代で何かを掴みたいと思っている人間だ。転んでも(プライベートや仕事でエラーしても)耐えている人間と、本を携えて無機質な時間の流れ(龍の長い部分)に爪痕(仕事でトライ)を残そうとしている人間だ。
結局この人間2人は、20歳代の自身の活動からしっかりとした何かを掴むことはできなかった。やっぱりダメだという焦りが生まれる。しかし、ひとまず転職できるくらいの力はついたのだからという自分への諦めにも似た前向きな心で、今までの爪痕を充実感に押し込もうとする。充実感を押し込もうとする絵の表現は、爪痕の痕跡という時間の流れ(龍の長い部分)を青白い光という充実部分に不器用に向かわせる事で描いた。
見知らぬハバナの真っ直ぐな道を真夜中に走り続けている緊張と、マイケルボルトンの力強い声が、タクシー空間を人工的な青白い光に包んだようなコンサートホールにしてくれた。そして充実感を押し込んでいる事はとても上等な結果だとマイケルボルトンの声が言っているように思えた。これでいいんだと。この意図しなかったハバナの真夜中のタクシーでの高揚感が夜空を青白く記憶させたのかもしれないと思った。
20歳代の緊張ある懐かしい心境を思い巡らし、青白い色の整理をしながら絵を描けた事が楽しかった。また、この色を他の人はどう使っているのか確認したくて、いろいろ絵や写真を見てみた。青白い色は有名画家が扱っていたり、村上龍の限りなく透明に近いブルーとも似た色なので、色を通して繋がりを感じられて嬉しかった。
