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森の中の祝福

その他
ガス欠の音が、風に消えた。
ふたりはドレスと、スーツのまま、車を押している。
白い柔らかなドレスは小枝にひっかかり、
どこまでも緑の中。
振り返った彼女が、困り顔で笑った。
「なんなーん。あと少しでホテルやん。神様、何この仕打ち」
それに答えるように、ざわざわと風が強く吹いた。

花も音楽も、遠くに置いてきたけれど、
その笑い声が一番の祝福だった。
エンジンが止まっても、ふたりの道は、
まだ始まったばかり。

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