CREATIVES

ハンドメイド・データセットで身体を再びつくる

その他
このプロジェクトは、「データ」をわたし(→あなた)に取り戻すためのハンドメイド・データセットの実践プロジェクトです。

「データ」を、一方的に与えられるものだけではなく、自分の手で集めることに焦点をあてて、AI・インターネット時代に日常的に当たり前になっている「データ」に対する見方をズラし、組み替えること、取り戻すことを目指します。
その一つの題材として、身近な「身体」のデータを集めて機械学習によって再構成し、3DプリンターやCNCフライス盤(デジタルファブリケーション)を用いて想像的な身体を共同で作り出します。

たとえば「手」の画像を自らの手(ハンドメイド)で写真を撮ったり、見つけたりしてたくさん集め、それをもとに新たな「手」を作り、「足」をたくさん集め、それをもとに新たな「足」を作り、「耳」をたくさん集め、新たな「耳」を作る。そこで作られたデータ(2D画像データ、3Dモデルデータ等)をもとに自らの手(ハンドメイド)で組みあげていきます。
これをワークショップとして行い、最終的に作られた部位を組み合わせて想像的な身体として展示します。

これを通して、
1.「データ」というものの収集に時間をかけて自分から向き合うことによる別の見方の再発見(いろんな「手」を集めることが手への意識を変えてしまう)

2.基礎的な機械学習の過程を通じた現代の生成AIの仕組みを支えるデータセットのあり方のひとつを理解すること(データ解析、抽出、クリーニング、表現など)

3.デジタルファブリケーション(3DプリンターやCNCフライス盤等)を通した自らの手で作りあげるモノづくりの体験

を目的とします。

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そもそもなぜ「データ」に着目するかには、いま「わたし」について再構成することを通じて考え直したいというのがあります(「わたし」とはもちろん私(=企画者)のことに限りません)。

現代の生成AI / LLMも膨大なデータセットの学習によって出来ているのと同じように、「わたし」(という社会的なアイデンティティ)もいままで見聞きしたり、やったり受けたりしてきた具体的な膨大な広い意味でのデータセットのなかで多かれ少なかれ構成されています。そういったAI / LLMや「わたし」を支えたりするデータは、ふだん意識することなくあり、ある種のブラックボックスになっています。

そしてこのことがときには、デジタル上の収集された匿名的なデータセットを戦略的に用いたプラットフォーマーによる囲い込みやアルゴリズミックなマーケット戦略が巧妙に組み合わさり、ユーザーを能動的な人間から草を食む羊(刈り取られる羊)へとかえてしまっています。

その問題意識への応答として、AI / LLMを過敏に否定することや過剰に肯定することなしに、手づから「集める」ことでデータに介入し、生活のなかでどういうものを抜き出すかという人間の観点からこだわりや個性を掘り出すこと、そしてそのデータを組み合わせるような形で手づから「編む」ことで別へと開き、そこに時間をかけることで、「速さ」ではなく「遅さ」でAI / LLMと向き合っていく仕方の探求をします。

これまでには、自らの手で12年以上書き続けた「日記」をもとに学習させた自分の分身としてのAI(ローカルLLM)「oupe ec」をつくりあげ、それをもとに自分自身とのメタ・コミュニケーションを記録した映像・メディアインタラクション作品を制作しました。12年以上かけて集めた「データ」にさらに1年間自ら向き合って編みつづけることで、「わたし」というものに対する別の仕方の内省や、ある日の不具合により起きた「データ」=「わたし」の死に対して切実な感情を開いてきました。

今回は、データとAI / LLMとわたしの関係を考えることを扱う題材として身近であることの理由で「身体」をテーマに行いますが、このプロジェクトを通じてそれらの観点自体を探求して広げていくことも含まれます。

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