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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案では、兵庫県加古川市のベルデモール商店街の入り口に位置する時計台とその周辺空間を絶滅危惧空間として扱う。時計台は商店街のランドマークとして多くの人の目に触れる存在であるが、現在その周辺は自動販売機や灰皿が置かれ、人々が滞在することなく通過する空間となっている。その結果、時計台が持つ都市の目印としての役割や、人々が立ち止まり空間を共有する機能は失われつつある。本提案では、この時計台を地域の記憶を継承する存在として捉え直し、新たな交流を生み出す拠点へと再生する。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
私がこの時計台を絶滅危惧空間として扱う理由は、人々が立ち止まり交流する都市の風景が失われつつあると感じたためである。かつての都市では、井戸端会議に代表されるように、道端や広場で人々が自然に集まり会話を交わす風景が日常的に見られた。しかし現代では、移動の効率化やライフスタイルの変化により、都市空間は滞在する場所から通過する場所へと変化し、人と人が偶然出会い交流する機会は減少している。対象地であるベルデモール商店街の時計台周辺も、多くの人が行き交う立地でありながら、自動販売機や灰皿が置かれた通過空間となっている。時計台は本来、時間を共有し、人々の居場所や待ち合わせの目印となる都市の装置である。しかし現在は、その周辺に立ち止まる理由や滞在する場が乏しく、時計台が持つ人々を結びつける役割は失われつつある。私はこの状況を、時計台という都市の記憶と交流の拠点が絶滅の危機に瀕している状態だと捉えた。そのため時計台を保存しながら新たな滞在の場を生み出し、人々が再び集い交流できる空間へ再生したいと考えた。
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どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案では、通過空間となっている時計台周辺に、多様な高さと大きさを持つ段差を立体的に挿入することで、時計台を交流の拠点へと変異させる。従来のベンチのように用途を限定するのではなく、座る、寄りかかる、立つ、見上げる、待つといった様々な行為を受け止める段差を積層することで、人々が自由に居場所を選択できる空間を目指した。設計にあたり、人が居心地よく感じる距離感や居場所のあり方について考察した。人は必ずしも広い空間を求めるわけではなく、ときには少し囲まれた場所や、人との適度な距離を保てる場所に安心感を覚える。そこで段差を細かく分節し、高さや大きさを変化させながら立体的に配置することで、一人で静かに過ごしたい人から複数人で会話を楽しみたい人まで、多様な居場所を生み出した。また、上下方向への広がりによって視線の交差や偶発的な出会いを誘発し、人々が自然と互いの存在を認識できる環境をつくり出している。構造は単管足場と木製床板による軽やかな架構とした。既存の時計台を保存しながら最小限の介入で設置することができ、部材の交換や増設も容易である。そのため利用状況や地域の要望に応じて柔軟に更新できるだけでなく、地域住民や商店街関係者が設置や改修に参加することも可能である。自らの手で空間をつくり上げる経験は場所への愛着を生み、利用者を単なる利用者ではなく空間の担い手へと変化させる。社会実装された際には、失われつつある「立ち止まる風景」を都市の中に取り戻すことが期待される。人々が待ち合わせをしたり、会話をしたり、ただ時間を過ごしたりする行為が日常的に生まれることで、時計台は再び人々が集う都市の目印として機能し始める。そして、その小さな滞在や交流の積み重ねが商店街へと人の流れを生み出し、地域の活気を支える新たな拠点となる。さらに、地域住民が主体的に関わりながら空間を育てていくことで、時計台は単なるランドマークから、人々の記憶と活動が蓄積される地域の共有財産へと変異していく。
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段差で生まれる交流の場
敷地に残る時計台は、かつて人々が待ち合わせをし、商店街へと足を運ぶための目印として親しまれてきた。しかし近年、その周辺空間は人が滞在する場所としての役割を失いつつある。本提案では、この地域の記憶を宿す時計台を保存し、その周囲に多様な高さの段差空間を挿入することで、人々が思い思いに座り、立ち話をし、待ち合わせをすることのできる新たな交流の場へと変異させる。段差は単なる移動のための装置ではなく、人々の滞在や偶発的な出会いを誘発する舞台となる。時計台を中心に再び人の流れと賑わいを生み出し、この場所から商店街全体へと活気を波及させることを目指した。
