想い出食堂 Memory Diner - Concept visualisation / コンセプトビジュアル
Diner in operation / 営業中の食堂
Endangered Space: Grave yard / 絶滅危惧空間: 墓地
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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
管理者を失った墓所が増え続ける、墓地全般。とりわけ公営墓地内で、後継者の不在により雑草が生い茂り、墓石が傾いたまま撤去も進まない「無縁墓」区画を中心に扱う。かつて家族や地域とともにあった場所が、今では誰も足を運ばない空間として、都市や町の中心に静かに広がり続けている。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
墓地はRED SPACEが定める絶滅危惧空間の一つであり、少子高齢化・家族観の多様化を背景に、将来的な減少・変質が予測されている。全国には約87万区域の墓地があり、うち地方公共団体が経営する公営墓地は約3万区域を占める。日本では2005年に死亡数が出生数を初めて上回り、2007年以降その差は年々拡大、死亡数は2040年に約168万人でピークを迎え、2053年には人口が1億人を下回ると予測される。これに伴い無縁墓は増加し、公営墓地を持つ市町村の58%が無縁墓を抱え、相続人の連絡先を事前に把握できているのはわずか10%。過去5年間で無縁改葬を実際に行えた市町村は6%に留まるが、今後実施意向があると答えた市町村は22.1%に上り、課題認識自体は広がりつつある)。これは日本固有の課題ではなく、少子高齢化が進む韓国・中国・欧州各国も同じ局面を迎える。一方で、お盆や彼岸に故人の好物を墓前に供え、家族で共に食すという習慣は今も息づいている。本提案は、この既存の文化的習慣を、空き続ける墓地空間の建築的活用へと発展させるものである。
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どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
「想い出食堂(Memory Diner)」は、荒廃した墓地区画の一角に、光の入る小さな食堂を設ける。存命中や逝去後に、故人ならではの一皿や好きだった食べ方を登録しておくと、季節や月命日に合わせてその味が食堂で再現され、誰でも食べられる一品として地域に還っていく。家族に代々伝わる料理に限らず、その人だけの食習慣でもよい。これは単なる飲食提供ではなく、複数の価値を同時に生む装置である。第一に、味や匂いは今のところデジタルでは伝えられず、この場所に足を運ばなければ得られない体験を提供する。第二に、地域の食文化に関心を持つ来訪者、これまで墓参り以外の理由でこの土地を訪れることのなかった人々を呼び込み、墓地周辺に新たな人の流れと収益をもたらし、それが運営や墓地全体の維持費用の一部を支える。第三に、消えかけている家庭や個人の味そのものを記録し、将来的に地域の冊子や出版物としてまとめることで、商業的にも価値を持つ文化的アーカイブへと育てていく。第四に、死を遠ざけず日常の延長として学ぶ場となり、悲しみを隠さずに済む空間として機能する。運営は宗派を限定しない公営墓地、すでに無縁化が確認された区画から始め、食品衛生法に基づく許可、自治体・宗教法人との連携、地域のNPOや住民ボランティアによる運営を前提に、小規模な試験運用から段階的に展開する。
