採択作品・プロジェクト発表
ComoNeプログラムは、領域横断的なテーマを設け、世界中から作品やプロジェクトを集めて公開するコレクションです。
第3回となる今回のテーマは「in TOUCH-ふれられる距離で」。
49の作品・プロジェクトがエントリーされました。
画面越しに効率よく世界を理解できる現代、失われつつある現実の手触りや確かめる時間。
「ふれる」体験から世界を捉え直し、自ら確かめることで見えてくる新たな感覚や提示をもたらす10作品・プロジェクトが採択されました。
企画展「in TOUCH-ふれられる距離で」
採択された10作品・プロジェクトは、2026年10月1日(木)〜2027年3月19日(金)にCommon Nexus 地下1階 PASSAGEにてご覧いただけます。
展示情報
展示会期:2026年10月1日(木)〜2027年3月19日(金)
開館時間:平日 9:00-21:00 / 土曜 10:00-18:30(企画展示は開館時間中いつでもご覧いただけます。)
会場 :東海国立大学機構 Common Nexus
〒464-8601 愛知県名古屋市千種区不老町Common Nexus(名古屋市営地下鉄 名城線 名古屋大学駅 1番出口直通)
テーマオーナー
紀平真理子
(名古屋大学大学院 環境学研究科 社会環境学専攻 助教)

化学系メーカー、農業ライターなどを経て、2025年、名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了。博士(環境学)。同年より同研究科社会環境学専攻助教。専門は環境社会学・科学技術社会論。農業、漁業、環境をめぐる現場において、人と技術、自然、制度のあいだに生じる「ズレ」に注目し、映像やシミュレーションゲームを活用した方法論(Visual Problem Appraisal)や協働の状況を把握する手法(m-PULSP)の開発や実践に取り組む。著書に『ジャガイモ大事典』(分担執筆、農山漁村文化協会、2023年)など。2026年秋に博士論文をもとにした著書『カオスのままの協働デザイン——持続可能な農業に向けた技術開発の現場で——』(昭和堂)を刊行予定。
テーマオーナー総評
本プログラムでは、手触り感や身体性、ためらいも含めてふれる/ふれてみようとする作品を求めました。
今回選出された作品は、物理的にだけでなく、精神的にも、関係性にも「ふれる」ことを考えられるものです。さまざまな人や自然、人工物、動物、歴史といった関係にふれ、その境界を見つめ直したり、溶かしたりする可能性があります。そして、いろいろな「方法」や「体や心の場所」でふれられます。
ComoNeプログラム #03「in touch ふれられる距離で」が、ふれることから離れつつある私たちへ、そして作品に「ふれる」鑑賞者へ、何かひっかかるものとして、その経験や感覚が届くことを願っています。
齊藤弘久
(名古屋大学未来社会創造機構 Future Society Studio 教授/Co-Innovation University(CoIU) 共創学部 教授)

名古屋大学未来社会創造機構Future Society Studio教授兼Co-Innovation University(CoIU)共創学部教授。20年強の海外生活の後、CoIU設立に参画し、2022年に家族と共に岐阜県飛騨市に移住。科学技術社会論を専門とする社会学者として、マインドフルネスとデザイン思考を実践しながら、社会全体のウェルビーイングを高めるイノベーションを創発できる大学の在り方を探求している。ComoNe屋上のGREEN TERRACEで、そよ風、鳥の声、太陽、土と芝生を感じながら瞑想をするのが趣味。
テーマオーナー総評
今回の展示期間中のComoNeは、我々人間が「ふれる」という言葉で表現しようとしてきた様々な現象に出会い直すためのラボに変身します。
「ふれる」は、「触(さわ)る」よりも広がりを持つ行為です。我々は何かにふれるとき、触覚以外にも視覚や聴覚、身体感覚、直感、感情、記憶、想像力などを働かせています。今回は、多種多様なモダリティ(形式・様式)をもつ作品を一堂に展示しています。「ふれる」という言葉に日常的に紐づけられてきた概念や体験を揺さぶり、かき混ぜ、「自分」、「他者」、「世界」と出会い直す実験室を創りたいと思ったからです。
「in TOUCH」という実験に参加してComoNeの外に一歩出たとき、皆さんの体の感覚や心の状態、他者への眼差し、世界の見え方は、どのように変容しているでしょうか。実験結果をお聞きするのを楽しみにしています。
採択員
青木俊介
(ユカイ工学株式会社 代表取締役CEO)

東京大学在学中にチームラボを設立、CTOに就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンのもと、「BOCCO emo」、「Qoobo」、「甘噛みハムハム」「mirumi」など、家庭向けのコミュニケーションロボットを数多く手がける。2015年よりグッドデザイン賞審査委員。2021年より武蔵野美術大学教授(特任)。
筧康明
(東京大学大学院 情報学環 教授)

研究者、アーティスト。東京大学大学院情報学環教授。博士(学際情報学)。素材質感を活かすインタフェースや即興的なものづくり手法に関する工学研究、デザイン、ものを介して身体や環境との関わりを探るアート表現を展開する。Ars Electronica Festival、ICC、LVMH Métiers d'Art La Main、AkeruEなどでの展示や、STARTS PRIZE 2022 Honorable Mention、第23回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞など受賞。
和田夏実
(研究者/デザイナー)

ろう者の両親のもとで日本手話と日本語を行き来しつつ育つ。ひとりひとりの頭や身体の中にある世界と感覚から引き出されるメディアの可能性を探求している。『Qualia』、たばたはやと+magnetとして触手話をもとにしたコミュニケーションゲーム『YUBIBO』『たっちまっち』などを開発。2023年よりミラノ工科大学デザイン学部博士課程に在籍し、欧州のリサーチプログラムHomedemにて認知症の方々のホームメイキングに関する研究を進める。東京大学研究員。2016年手話通訳士資格取得。
採択作品・プロジェクト(順不同)
ambient friendと過ごしてみる。(Mio Takeyama)

都市の街中では、カンカンと、車や信号機、工事などの硬い音が鳴り響く。目まぐるしく変化する都市の中で、私は、柔らかくただ隣に佇む存在が欲しかった。そうして生まれたのが架空の生命体《ambient friend》。
《ambient friend》、通称「フレンズ」は、地球の資源と戯れることを好み、人間が生み出した道具を遊び道具へと変えてしまう。そして「フレンズ」は人間には直接知覚できない電磁場を音へと変換する。本作品では、鑑賞者が「フレンズ」を介して家電製品へと近づけることで、普段私たちが便利な道具として使用する家電製品が音響オブジェクトとして立ち現れていく。同時に、その背後にある電気、技術、資源、生産、消費といった、日常生活の中で意識されにくい環境の存在も浮かび上がる。
Mio Takeyama

2020年岐阜大学大学院自然科学技術研究科 物質・ものづくり工学専攻 物質化学領域を修了。電子部品メーカーで技術職として勤務後、現在は情報科学芸術大学院大学[IAMAS]修士2年。架空の生命体《ambient friend》を用いて、人と環境との関係を問い直すメディア芸術実践をインスタレーション・パフォーマンスの形式で制作・発表する。また、DJ・ライブ活動を実践しながら、人が集まる場で生まれる現象を観察し、メディア芸術実践へと接続することを試みている。
On the web
https://www.instagram.com/mio.takeyama/
楯鱗タペストリー(吉田 ゆう/Yu YOSHIDA)

鮫皮は肉眼では確認できない細かな棘(楯鱗〈じゅんりん〉)が高密度に並んだものである。楯鱗は海中で生息するために重要な役割を果たしている。楯鱗にはいくつか異なる形状が存在し、それらを拡大し、シート化したものを繋ぎ合わせた。鮫肌と言われるざらざらした触感の正体を、視覚と触覚によって鮫の身体を知覚するために、また私がサメへとメタモルフォーゼするための装備のプロトタイプである。
吉田 ゆう/Yu YOSHIDA

女子美術大学大学院修了。サメをモチーフに、自身がサメへとメタモルフォーゼしていくプロセスを作品化。魚類の食文化や水産資源を対象にフィールドワークを行い、サメへの探究から人間と生物、環境との関係性を捉え直す。その関係性を立体、映像、インスタレーションによって空間にインストールする。主な活動に「黄金町バザール2019」(神奈川)、ファンダメンタルズ プログラム(2022–23)、大村文子基金 国際芸術都市派遣研究員(パリ, 2023–24)、個展「第一章:morphologie」gallery N(名古屋, 2025)。
On the Web
https://www.instagram.com/yuyoshida_shark/
Human Tools(竹村 明奈)

Human Toolsは、身体性を伴ったツールとして、自由な発想や直感的な創作の手助けを目指したプロダクトのシリーズです。 普段は手元で扱う文房具を、手のひら・指先・足といった身体の動きと結びつけることで、描くための「道具」から、身体を動かす「体験」へと発想を広げます。 「何を描くか」ではなく、「どう動くか」から創作が始まる。回る、跳ねる、なぞる、歩くといった誰もが知っている身体の動きが、思いがけないあそびとなって紙の上に現れます。身体の癖や揺らぎ、重心の変化までもが表現となり、一人ひとり異なる軌跡を生み出します。
竹村 明奈

2023年に武蔵野美術大学基礎デザイン学科を卒業後、デザイン会社に勤務。
大学在学中から現在まで、創作を通して人の新たな発見や自由な創造を引き出し、そこから自身にも新たな発見が返ってくることに面白さを感じ、プロダクトの制作やワークショップを行う。
あそびや創作を介して、人と人、人とものの間にコミュニケーションが生まれることを目指している。
On the Web
https://www.instagram.com/humantools_/
心音ピアノ Heart tone piano : Revivify 236283(野口 桃江)

「触れること」と「心拍」は、すべての人に共通する根源的な身体性に根ざしています。鍵盤に灯る光にそっと指をかざすと、触れた人の脈が、音となって響きはじめます。楽器本来のメカニクスを残したまま自動演奏装置を組み込むことで、機械と人間の演奏が一つの楽器の中で共存します。
譜面台には「言葉の楽譜」(日/英/点字)が置かれています。深い呼吸と共に、自身の脈と、空間の音に耳を澄ましながら、内と外が響き合う音を探してみてください。
使用しているのは、名古屋市内で廃棄寸前だったピアノです。触れられなくなった楽器は、固く閉じられ、まるで眠っているようです。本作は、楽器をより多様な人に開かれた形で場に戻し、触れられるなかで「再生(Revivify)」していく試みでもあります。楽器の循環的な在り方を問いかけています。
野口 桃江

アーティスト。人と無機物の間に新たな関係をむすぶこと、即興をひらくこと、多感覚などをテーマに、作曲、即興演奏、体験型インスタレーションの創作を行う。日欧各地で作品を発表するほか、福祉施設や学校など多様な現場での実践や協働プロジェクトにも取り組む。主な作品に『QUENELLE 感覚つながる小型EV』『Harmonia Natura 自然と調和するためのオルガン』、共著に『演劇と音楽の創作ワークショップ』。桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科卒業。ハーグ王立音楽院 ArtScience科修士課程修了。
On the Web
SNOP!(イグチ コウタ)

私には、祖父と「遊んだ記憶」がありません。
祖父は緑内障を患い、視力を失っていきました。幼い頃から一緒に遊ぶ機会はほとんどなく、家族とのコミュニケーションも「話すこと」が中心でした。「見える/見えない」という違いによって、同じ遊びを共有できない。その小さな違和感が、この作品の出発点です。
SNOP!は、視覚障害者と健常者が同じ条件で楽しめる体験玩具型のコミュニケーションツールです。やわらかなパイル生地の棒を、触覚と「パチン」という音を手がかりにつなぎ、自由に形をつくります。
見ることではなく、触れることから相手の感覚を想像する。触れられる距離にいる人と、同じ遊びを共有し、心と肌でつながる時間をつくることを目指しました。
イグチ コウタ

京都芸術大学 空間演出デザイン学科 空間デザインコースに所属。 建築や展示空間をはじめ、グラフィック、Web、プロダクトなど 幅広い分野のデザインに取り組んでいます。 中でもグラフィックデザインを得意とし、モノやコトの魅力を最大限に引き出す表現を日々探求しています。 常に他者視点を意識し、見た目だけでなく背景にあるストーリーや コンセプトから考えることを大切にしています。
On the Web
https://www.instagram.com/iguchikota
ふれ合い、失い合う(桝井 孝暢)

レシートは、私たちが日々おこなう買い物の物理的な痕跡です。ただし感熱紙の印字は、熱と摩擦で剥がれ、薄れていきます。 本作は、街から匿名に拾い集めたレシートを、小型モーターで不規則に動かし、擦れ合わせる作品です。モーターの動きにはあえて規則を持たせていません。消費が起きるタイミングを私たちが予測できないように、レシートが動き、ふれ合う瞬間もまた定まりません。記録と記録がこすれるたび、かすかな音が不規則に鳴り、摩擦によって印字された履歴そのものを少しずつ見えなくしていきます。 ふれ合う場所も回数も一定でないため、かすれ方はレシートごとに異なり、会期が進むほど印字は薄れ、同じ表情を見ることはありません。 痕跡が、見られながら失われていく——その脆さだけが残ります。
桝井 孝暢

身の回りにある、意識的に見ようとしないものや誰かの痕跡が残されたものを素材として拾い上げ、3DCGやデジタルファブリケーション、センサーやアルゴリズムといったコンピュータを用いた手法によって、別の文脈へと接続し直すことを試みている。
2017年 坂茂建築設計
2023年~2024年 IAMAS RCIC(情報科学芸術大学院大学 産業文化研究センター)
2026年~現在 静岡文化芸術大学特任助手
On the Web
https://www.instagram.com/nobu_mas
Breathing Currents(Meika Mizuno / Yufei Wu)

私たちは、目で見た印象から物の質感や性質を無意識に想像している。しかし、実際に触れた瞬間、その印象は大きく揺らぐことがある。
本作品は、鮮やかな色彩と柔らかな身体、多様な突起をもつウミウシから着想を得て、その感覚を新たな触覚へと翻訳する試みである。温かみのある編み物と、滑らかで人工的なシリコン製インフレータブル構造を組み合わせることで、「心地よさ」と「異物感」を一つの身体に共存させている。また、名古屋の潮の満ち引きのリズムを反映して膨張と収縮を繰り返し、触れる手を押し返しながら輪郭を変えていく。鑑賞者は、触れ、触れ返される体験を通して、生命と人工物、親しみと違和感のあいだを往復する。見るだけでは捉えきれない存在に自ら触れ、その違和感や変化を身体で確かめるための触覚的な場である。
Meika Mizuno / Yufei Wu

xlabに所属し、HCIやマテリアルエクスペリエンスデザインを専門とする2名による制作チーム。編み物を用いた造形やテキスタイル表現を得意とするメンバーと、柔らかな素材を変形させるインフレータブル構造およびソフトロボティクスを得意とするメンバーが、それぞれの専門性を持ち寄り共同制作を行う。編み物の温かみや親しみやすさと、シリコンの人工的で触れ慣れない質感を組み合わせることで、人と人工物の間に生まれる感覚や関係性を探究している。2026年には「東京大学制作展2026 Beginning」にて本作品を発表した。
On the Web
https://www.instagram.com/breathing.currents
重い荷物(坂井存 + TIAR)

この作品は、誰もが抱える「人生の重み」を可視化した、カラダで感じる作品(インスタレーション・パフォーマンス)です。素材にはゴムチューブを使います。私は気が向くと作品を背負って(押し車を押して)街を歩きます。すると、通行人と作品を通した会話が生まれます。今まで世界中でパフォーマンスを行なっていますが、このような反応は国や人種、風俗習慣の違いを越えて起きるのです。予期しないこと、普段は起こりえないこと。アートを介したこのような経験は、見知らぬ人との間に橋をかけ、場を育み、世界は安心、信頼できるものだと私たちに教えてくれます。あなたも⼈⽣の《重い荷物》を背負ってみませんか?背負ったあと、世界は少し変わって⾒えるかもしれません。
坂井存 + TIAR

日本の典型的な団塊世代ビジネスマンとして働くかたわら作家活動を開始。1996年よりゴムチューブ巨大彫刻を美術館やギャラリーで発表。1999年より作品を背負い各所を訪れる《重い荷物》ストリートパフォーマンスを開始。国内・世界各所でパフォーマンスを行う。2020年より田主丸藝術研究所(TIAR)に参加。世代/年齢、身体、ビジネス、環境問題、生活者視点等、多様な切り口で表現活動を行う。最近は「坂井存の日常芸術、あるいは実存美術」をテーマに誰もが持つ創造性を引き出す参加型プロジェクトに力を注いでいる。
On the Web
https://www.instagram.com/sakaizon/
TOUCH LOG 現代煩悩標本室(曹流寺)

こころが動いたとき、からだには何が起きているのか。本作は、その変化を「標本」として可視化した作品です。
私たちは参禅者から、感情が動いた瞬間とからだに現れた反応を採集し、カードに記録しました。鑑賞者はその痕跡にふれ、からだに生じた変化をQRコードから匿名で「二次接触ログ」として残します。
本作では「ふれられる距離」に「可能」の意味だけでなく、こころの動きに、からだが「ふれられている」という「受動」の意味も重ねました。それは、自分のこころの動きが自分のからだに届く距離、さらに、知らない誰かの感情の痕跡が、自分のからだをわずかに動かす距離でもあります。
誰かのこころが、その人のからだにふれた痕跡にふれる。その瞬間、自分のこころが、自分のからだにふれはじめる。そんな接触の連鎖をひらく試みです。
曹流寺

檀信徒の先祖供養を行うとともに、定期的に坐禅会や摂心(宿泊型坐禅修行)を開催し、坐禅や瞑想に関心の高い人々が全国から集まる寺院です。住職の堀部遊民と、僧侶で茶道宗和流師範の平間遊心は、YouTubeやTikTok、Instagram、ポッドキャストで「仏教徒ちゃん界隈」として発信。異なる専門性や実践知を持つ僧侶や在家のメンバーが、領域の垣根を越えて関わっています。欲や怒り、迷いといった煩悩を耳障りのいい綺麗な教訓に加工せず、自らもその渦中にいる一人として、現代の生活と地続きの坐禅実践の可能性を探り続けています。
On the Web
Touched (Skin)(西村 祐馬)

本作では鑑賞者は写真にさわることができる。パンデミックを境にさわることが憚られ、ふれあうことを躊躇するのが当たり前となり、Touch starvation ( 接触不足=身体的接触の不足によるストレスや孤独感 ) の感情が一般的となった。それにより幼少期に積極的な接触を頻繁に経験できない事が発達に影響を与える可能性もある。さわる、ふれられるという接触体験は人類の存続に必要不可欠なのである。しかしながら、多くの写真作品はさわることは許されておらずその行為自体をタブーとしている。だからこそ本作では鑑賞者にふれさせ体感・記憶させることで、このメディアと身体との物理的な境界を取り払い、人類が忘れてはいけない親と子、愛する人々とふれあう感覚を写真として遺す。
西村 祐馬

西村祐馬は1995年生まれ。2018年日本大学芸術学部デザイン学科を卒業。個人の存在を未来まで遺すことをコンセプトに制作を続ける。ケビン・ケリーやレイ・カーツワイルなどの未来学者に影響を受け、人類の進歩とテクノロジーの進化が及ぼすメリットとデメリットを漠然とした未来像から写真を通して日常の光景へと現像する。外身と中身の構造を考察することで、人類がクローンやAIなどによって精神と肉体の関係から解放された次の人類の在り方を観るものに訴える。
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