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プロジェクトの背景

本プロジェクトは、広島県が2018年より取り組んできた「ひろしまサンドボックス」の関連事業に位置付けられています。

広島県は、現知事の湯﨑氏就任後「イノベーション立県」を掲げ、持続可能な経済社会を実現するため、新たな価値やサービスが次々と沸き起こるイノベーション・エコシステムの構築に力を入れています。ひろしまサンドボックスは、その施策の1つとして、具体的な商品/サービスを創出するためのオープンな“実証実験の場”として2018年に開始。AIやIoTといったデジタル技術の利用と、それらを活用できる人材の育成に取り組み、県内外から多様な人材やノウハウの集積を図ってきました。

この動きに加え、広島県は、更なるイノベーションの好循環をつくるために、イノベーションの原動力となる「創造的なデザイン人材」を惹きつけ、広島の企業や行政等様々な主体が「デザイン」を活用していくことで、デザインの仕事などに関わる人材の活躍の場や、魅力的な都市環境(景観・まちづくりや街なかのモノ・空間など)を備えた「デザインあふれるまち」になることを目指しています。

広島が「デザインあふれるまち」を目指す。じゃあ広島のデザインって何だろう?

テーマ「ピースにするデザイン」

広島のデザインについて考えていくうえで、企業やクリエイター、そして何より広島に暮らす人々に大切にしてほしいキーワードを「ピース」としました。

原爆の投下から75年。広島県は壊滅的な状況から復興を成し遂げた平和を象徴する場所として世界中から認知されています。平和を英語でピース。そこから今回のプロジェクトテーマである「◯◯をピースにするデザイン」が生まれました。

本プロジェクトでは「ピースにする」を以下の3つの意味から成る言葉として定義しました。

  1. 小さな幸せをつくる(日常を少しずつ良くするデザイン)
  2. 人や社会を思いやる(人や社会への想像力を感じさせるデザイン)
  3. 毎日を楽しむ(未来を明るく楽しくするデザイン)

上図の「  」の中は、毎回状況に応じたテーマを設定していく想定です。月日を重ねて徐々に広島県のデザイン像が浮かび上がるように、「◯◯をピースにするデザイン」という考えで取り組んでいけたらと考えています。

少し先ですが戦後100年の頃には、「広島のデザインと言えば~」「広島県のデザインって~だね」というようなコミュニケーションが日常で行われているように。そして、このデザインによるコミュニケーションを通じて、誰もが改めて平和について考えるきっかけになるように。

「ピース (peace)」は「piece」でもあり、一人ひとり、一つひとつの製品やサービスを通じてどう世の中をピース(peace)にしていくかを考えてデザインすることで、将来的に大きな面となり、たくさんの人に届くことを期待しています。

ひろしまサンドボックスついて

ひろしまサンドボックスは、デジタル技術をみんなで試すことができる”共創”の砂場です。

「作ってはならし、みんなが集まって、創作を繰り返す、「砂場(サンドボックス)」のように何度も試行錯誤できる場」というコンセプトのもと、AI/IoT、ビッグデータ等の最新のテクノロジーを活用することにより、広島県内の企業が新たな付加価値の創出や生産効率化に取り組めるよう、技術やノウハウを保有する県内外の企業や人材を呼び込み、様々な産業・地域課題の解決をテーマとして共創で試行錯誤できるオープンな実証実験の場を構築します。


ひろしまサンドボックスについてはこちら

審査員長メッセージ

ピースという言葉から「平和」をイメージする人は多いと思います。広島から発せられるピースとなればなおさら平和や反戦といったイメージが強いかもしれません。しかし今回のデザインのテーマは「『街なか』をピースにするデザイン」ですからむしろ「デザインで住みやすく美しい街を作りましょうよ」という広島県からのメッセージにも聞こえてきます。

デザインという言葉も昨今では曖昧でポジティブな捉えられ方だけではなくネガティブに捉える人も少なくありません。自然の中にデザインされた人工物が置かれたりすると「何もしないでそのままがいいのに」とデザインされたものに眉をひそめる人も少なくありません。

この、広島の試みに賛同し参加していただく事業者やデザイナーの皆さんには、まずデザインありきからスタートせず、いい街にとって何が必要で何が不要なものか、から考えていただければよいのではないでしょうか。この街で営まれる生活の中で何が魅力的なモノ・ゴトで、何に人は違和感を感じているかを考えることからはじめてほしいと願っています。

「街なか」を考える上で大切なことが二つあると思います。一つは各々が創造したもの(建物や公共物を含む)双方がコンフリクト(対立)を起こしてしまうこと。よかれと思って作ったもの同士が対立して全体の調和を乱してしまうということです。もう一つは街や社会はインティグレート(統合)されたものでなければならないということです。全体(環境)から生活の部分を考える謙虚な姿勢が必要となります。「街なかの平和」にとって何が最適解かを導き出すことが今回のプロジェクトの鍵だと思います。

人は美しい方に向かって歩んでいく感性を持った動物だと思います。無意識に感じている幸せとは何かを自覚してこのプロジェクトに取り組んでほしいと思います。

深澤直人


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