COMPETITION

Material Driven Innovation Award 2022

Material New Narrative / 素材の新たな価値を探るマテリアルアワード

結果発表 2022/01/25(火) - 2022/03/07(月)

Material Driven Innovation Award 2022 結果発表!!

素材の新たな価値を探るマテリアルアワード「Material Driven Innovation Award 2022(MDIA 2022)」は、「人の暮らしをWell-Beingにするマテリアル」をテーマに、人や地球環境の幸福に貢献する製品を生み出す可能性のある、革新的なマテリアル(素材)を募集しました。

約1ヶ月半の応募期間で102点の応募が世界中から集まりました。厳正なる審査のもと、大賞1点、ファイナリスト3点、奨励賞1点、渡邊淳司賞、堀内康広賞、井高久美子賞、小原和也(弁慶)賞の合計9点が選出されました。


大賞

100%土に還る、野菜や果物から作られた「Food Paper」

Food Paper

応募者 : 株式会社五十嵐製紙

受賞者コメント

この度は大変素晴らしい賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。
弊社は1919年創業の小さな越前和紙工房です。2019年にFoodPaperを立案し半年弱の短期間で発売開始させて頂きました。
息子の理科研究から始まったこのブランドは、次の世代を引き継ぐ子供たちの為皆様にとって少しでも過ごしやすい環境を維持できるよう廃棄される予定のものを使用しています。今回の名誉ある受賞を励みに今後もフードロスの廃棄を減らしながら、日本の紙漉き文化を次世代に繋げていくこと。適量の生産と消費、そして廃棄物を出来るだけ出さない循環型社会の実現を目指して活動してまいる所存でございます。最後にこのFoodPaperに関わって下さっている沢山の皆様に感謝申し上げます。

審査員コメント : 堀内 康広

ファイナリスト

Co-Obradoiro Galego

Co-Obradoiro Galego

応募者 : Individual in collaboration with Galician basket weavers.

受賞者コメント

Everyone who has taken part in "Co-Obradoiro Galego" has made it possible to achieve the finalist award for Material Driven Innovation. Thanks to this platform, we visualize the Galician basketry craft situation, plus share how biodesign can revive craft heritage.

<日本語訳>
「Co-Obradoiro Galego」を選んでくださった皆様のおかげで、Material Driven Innovationのファイナリスト賞を受賞することができました。このプラットフォームのおかげで、私たちはガリシアの籠細工の状況を可視化し、さらにバイオデザインによって工芸品の遺産をいかに蘇らせることができるかを共有することができました。

審査員コメント : 井高 久美子

ファイナリスト

TRF+H - Well-beingを叶える 3D プリント素材

TRF+H - Well-beingを叶える 3D プリント素材

応募者 : ファブラボ品川 / ユニチカ株式会社

受賞者コメント

私たちは、障害のあるなしに関わらず、誰もが暮らしをつくることを楽しめる環境づくりが、社会の健康と幸福につながると信じて活動を続けてきました。今回の受賞は、そんな想いの元開発した3Dプリント用フィラメント、TRF+Hが、人々のWell-beingを高める可能性に共感して頂けた結果であると感じ、非常に嬉しく思っています。

TRF+Hは、後加工を前提とすることで、3Dプリント時間や余分なサポート材の削減ができます。デシダルを活用しつつ、仕上げは手仕事での個別付加価値の付与ができます。この無限の可能性を秘めた素材を用いて、多くの皆様とワークショップが出来ることを楽しみにしております。

審査員コメント : 渡邊 淳司

ファイナリスト

ZEROカーボNソイル

ZEROカーボNソイル

応募者 : グリーン&ウォーター株式会社 環境開発事業部

受賞者コメント

この度は栄えある賞を頂き誠にありがとうございます。ZEROカーボNソイルは、これまでの一般的な土系舗装材では実現できなかったセメント不使用、CO2を吸着固定しながら高強度、高耐久を発揮する製品として誕生しました。本製品は天然由来の素材からできており、使用後は土に還すことが可能です。また、産業廃棄物の排出量削減、環境負荷の軽減にも繋がります。近年、問題視されている急速に進む地球温暖化。その原因とされる温室効果ガスの排出量の削減やCO2の吸着固定により、本製品がカーボンニュートラルに寄与するアイテムのひとつとしてお役に立てることを目指しています

審査員コメント : David Tena Vicente

<日本語訳>
ZEROカーボNソイルは、業界が気候変動にどのように適応しなければならないかを示す素晴らしい例です。道路や舗装は、社会のインフラとして欠かせないものであり、世界中のあらゆる場所で使用されています。これほど広く使用され、一見不変に見える素材をCO2吸収材にする方法を見つけたことは、世界中で大量に使用されている他の素材を気候変動に適した物質に変えるきっかけとなるはずです。古い材料やプロセスを見直すことで、いつも決まった方法で行われていることを省みない傾向がある世界の産業界に真の変化をもたらすことができるのです。審査員として、また科学者として、発表されたプロジェクトの化学的プロセスの具体的なデータを見ることができるのは、とても新鮮なことです。


追加の賞について

審査会での厳正なる審査の結果、当初設けていた賞に追加で、以下の賞を追加いたしました。
※これら賞につきましては、各審査員からのコメントのみとなります。

<追加枠>

  • 奨励賞
  • 渡邊 淳司 賞
  • 堀内 康広 賞
  • 井高 久美子 賞
  • 小原 和也 賞

奨励賞

日本の杉を使った国産天然繊維「KEETO」

日本の杉を使った国産天然繊維「KEETO」

応募者 : 合同会社すぎとやま

受賞者コメント

Material Driven Innovation Award 奨励賞を頂戴しありがとうござました。
KEETOは国内杉を使って森づくりのようにたくさんの手間と時間をかけて作られた木糸です。
国産木材の新たな利用方法、海外原材料調達に頼ることの多い繊維産業の素材、暮らしに寄りそう新たな自然繊維としてのポテンシャルは高いと思っております。今後も研究、改良を重ねてまいりますので、肌にも未来にも優しい素材「KEETO」をよろしくお願い申し上げます。
この賞に恥じないようにどんどん前に向いて進んでまいります。

審査員コメント : 小原 和也(弁慶)

渡邊 淳司賞

PAPIER BOARD

PAPIER BOARD

応募者 : コクヨ株式会社 YOHAK_DESIGN STUDIO

受賞者コメント

パピエボードは、深山・トライフがもつ特許技術のセロハン加工を知り、この技術を使えばコピー用紙のような存在のホワイトボードができるのではないかというアイデアから試作がスタートしました。検討を重ねる中で、竹尾が展開する色や質感豊かなファインペーパーを何度でも描き消すことができるようになったら、より豊かな描く体験が実現できるのではないかと、3社での共同開発に繋がりました。そのまま持ち歩いたり貼り出して描けるプロダクトでもありますが、新たなマテリアルとして、さらなる使い方の創造や発展が生まれることを願っています。

審査員コメント : 渡邊 淳司

堀内 康広賞

ForestBank

ForestBank

応募者 : STUDIO YUMAKANO

受賞者コメント

この度の堀内康広賞を頂戴し、誠にありがとうございます。このマテリアルを形作る前に、飛騨を訪れて山の状況や林業の現状などをリサーチするところからスタートしました。森の豊かさを最大限に引き出していく為の表情を模索し、無限にある森林素材の中から最適な形状やサイズのものを選別し、実験をし続けた結果たどり着いたマテリアルを評価して頂けたこと大変嬉しく思います。また、現在は建築家やインテリアデザイナーと共に、その空間設計ごとにその現場で出た廃材や土地由来の木材を配合し完全オリジナルForestBankを作るプロジェクトが進んでおり、様々な季節や土地でのForestBankを製作できればと思っています。

審査員コメント : 堀内 康広

井高 久美子賞

biomaterial

biomaterial

応募者 : 九州大学大学院 生物資源環境科学府 生命機能科学専攻 家蚕遺伝子資源学

受賞者コメント

「biomaterial」は、他者に思いを馳せながら製作してきました。思いを馳せるその対象は、人間だけではなく、あらゆる生物、環境も含みます。自分独自のアイディアや技術をマテリアルに落とし込むのではなく、他者とデザインすることで、非自己的なデザインが拡張し、また、他者と繋がることで、不思議と平穏な気持ちになります。受賞を機に、「well-being」の環を身近な存在だけでなく、あらゆる他者により平等により広げていけるマテリアルを目指していこうと思います。

協働製作メンバーの、蚕、クロトゲアリ、コスチュームデザイナーのARAKI SHIROさん、九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの村上貴弘先生、制作の協力をしてくださった九州大学芸術工学部バイオ・フードラボの皆様に感謝の意を表します。

審査員コメント : 井高 久美子

小原 和也賞

廃蛍光灯リサイクルガラス

廃蛍光灯ガラス

応募者 : STUDIO RELIGHT

受賞者コメント

この度は【小原 和也(弁慶) 賞】を授与していただき、誠にありがとうございます。
大変光栄に思うのと同時に、今後の【持続可能なものづくり】を発展させていくことへ、より一層身の引き締まる思いです。
廃蛍光灯リサイクルガラスがマテリアルの姿になるまでの道のりは長く、多くの方々のご協力があってこそ私たちはものづくりを続けていくことができます。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
ものづくりにおける「Well-beingの実現」とは、製品はもちろん、背景にあるマテリアルストーリーを知ることからはじまるのだと思います。
私たちは、これからもリサイクルガラスの可能性を信じて、新たな挑戦を続けて参ります。そして、これからの時代を生きる人々の心と暮らしが豊かになることを何よりも願っています。

審査員コメント : 小原 和也


総評コメント

渡邊 淳司

私は審査では、素材としての持続可能性だけでなく、その機能によってどれほど深く人の心を充足させ、どれほど広く社会的なつながりをつくり出すことができているのか、という点を重視しました。革新的なマテリアルは人と人、人と社会、人と自然の関係を劇的に変える力があります。だからこそ、これからのWell-beingのデザインは、マテリアルから考えていく必要があるでしょう。第1回MDIAがその端緒となればと思いますし、これからさらに人・社会・自然をつなぐマテリアルの在り方が探求されていくことを望みます。

堀内 康広

新しい素材、新しいテクノロジーは日々何百と生まれています。そんな中、新たなマテリアルが必要なのかと考えた時に、自然と生み出される材料や、社会問題、そこにアイデアやイノベーションが加わり、使い方や使う人のことを考えたマテリアルこそWell-beingなのだと考えています。モノを作ることに使われるエネルギーが使われることで循環するマテリアルこそ、現代に求められているイノベーションなのかもしれません。年を追うごとに技術は進化していくので、次なるマテリアルが多くのプロダクトに代わり、多くの人の生活で使われるモノになることを期待しています。

井高 久美子

応募全体を通してみると、環境配慮やサステイナビリティの観点から開発された「素材」や、それにまつわるプロダクトが傾向として多かったのですが、環境配慮にとどまらず、未完成でもWell-beingの定義自体を拡張性をさせられるようなプロジェクトを評価したいと思いました。素材は経済活動のみならず、文化や思想、また時に倫理の問題と結びつく重要な題材であると思います。今後MDIAを通じて、素材を経済活動の中だけで捉えるだけではなく、これからの生き方について、さまざまな視座をもたらすモチーフとして発信できるような、より多様なプロジェクトが展開されていくことを願っています。

David Tena Vicente

I am greatly inspired by the projects presented to the MDIA awards, all participants have shown us really great approaches on how to innovate in the sector of materials, ranging from sustainable to socially impactful. I am looking forward to seeing them scale and evolve and how they impact the world of materials.

<日本語訳>
MDIAアワードに応募されたプロジェクトは、サステナブルなものから社会的なインパクトのあるものまで、素材の分野を革新するための実に素晴らしいアプローチを見せてくれました。これらのプロジェクトがどのように発展し、素材の世界にどのようなインパクトを与えるのか、楽しみにしています。

小原 和也(弁慶)

人間が文明をもち、社会的な生活を営む上で、常にそのそばには「マテリアル」が存在してきました。 またそのマテリアルは、人間や地球環境の置かれた状況によって、常に高い要求が行われてきました。 今回この文脈の中に、Well-beingという観点から、みなさんと一緒に考えさていただきました。 私たちとって「よい状態」をともにつくりあう方法としてあるWell-beingという観点と私たちの暮らしに「よい状態」を生み出し続けてくれたマテリアルが、これからの社会において、よりよい状態や関係性を紡ぐ可能性を探求するプロジェクトがさらに多く生まれていくことを期待しています。

お問い合わせ

お問い合わせは、Material Driven Innovation Award 運営事務局
mdia@loftwork.com
までお寄せください。

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