COMPETITION

YouFab 2013

“紙”ってこんなに面白い!歴史ある身近な素材、“紙”を使った、新しい「遊び」「コミュニケーション」「驚き」のデザインを募集します。

レポート 2013/05/15(水) - 2013/07/15(月)

レーザーカッターで広がる紙の可能性。「遊び」「コミュニケーション」「驚き」の作品を一挙発表!

レーザーカッターでつくるデザインを募集するコンテスト「You Fab」。昨年に続き第二回目となる今年は、「紙」を素材にデザインアイデアを募集しました。募集期間の5月15日〜7月15日の間、世界中から集まった作品は78作品。ご応募頂いた皆さん、本当にありがとうございました。

先日行われた審査会では、デザイナーの太刀川英輔(NOSIGNER)さん、株式会社竹尾の竹尾有一さんが東京渋谷のロフトワークに集合。アーティストでライターのJohnny StrategyさんとFabCafe台北共同創業者のTim Wongさんがいるニューヨークと台北を中継して、審査が行われました。審査では次の観点からディスカッションが行われ、受賞作品が選ばれました。

・オリジナルで刺激的なアイデアであること
・デザイン性が高いこと
・紙という素材をクリエイティブにハックしていること
・Fab(デジタルものづくり)と紙の面白さを伝えていること
・レーザーカッターで作成可能な作品であること

本ページでは、審査会で選ばれた受賞作品と審査員のコメントを部門ごとにご紹介します。ユニークなアイデアをご覧ください。

*特別賞は各部門1作品の予定でしたが、優れた作品が多くあったため、審査員の推薦により複数点選出しました。

部門A:おもちゃ “遊び”


優秀賞


クリエイター名:小倉亮一作品名:hanabi

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コンセプト規則的なパターンを複数重ねると、パターン同士が干渉しあってモアレ現象がおきます。そこに浮かび上がる思いがけない色や形を、夏の花火に例えて子供から大人まで楽しめるおもちゃを考えてみました。5色の紙をサイズの異なるドットパターンでレーザーカット。5枚の円盤中央をハトメで台紙に固定します。それぞれの円盤を指で回すとパターンがずれて色が混ざり合い、さまざまな模様が表れるという仕掛けです。ゆっくりと回転させれば、アニメーションのような動きになります。

審査員からのコメント

Johnny Strategy
とてもアナログなのに、コンピューターで作られるような秩序だった動きがみられるところがとても面白いですね。動くととてもきれいだと思います。

太刀川英輔(NOSIGNER)
平面の紙を切ることで、映像としての動きが表現されるところが面白そうですね。ぜひ見てみたいと思いました。

竹尾有一
印刷ではなく紙の色でモアレ現象を発生させるのが何とも綺麗ですね。色の組み合わせもポップです。

Tim Wong
シンプルなデザインのようにみえますが、スマートでインタラクティブなデザインです。使い手は、面白いパターンを作り出すのに夢中になりますね。

特別賞 (3点)


クリエイター名:julien wulff  作品名: Paper Kaito

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コンセプト
Ecologic paper kite. This form can be applicate on every type of papers with the condition that’s a paper not too fine. If the person want his own design, she can use old posters for exemple.

審査員からのコメント

太刀川英輔 (NOSIGNER)
絵では分かりにくいのですが、実際に作ると楽しいおもちゃになりそうですし、同時に美しいオブジェクトになるのではないでしょうか。スケールの大きいものを作るとさらに楽しそうですね。

Tim Wong
伝統的な美しさを持ったデザインでありがながら、デジタルファブリケーションの技術で作られるデザイン。ぜひ実物を作ってほしいです。

クリエイター名:horirium 作品名: 多面体タイル

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コンセプト
誰でも手で簡単に組み合わせて、多面体やドームなどを作ることができる紙のタイルです。多角形の各辺は同じ長さで、全く同じオーダーの突起が構成されており、簡単に繋いだり外したりすることができます。糊もボタンも使いません。硬質な素材ではできないような形でも、紙の特性である柔軟性が歪みを吸収してくれ、作れたりします。もちろん、普通の紙素材ではジョイント部がすぐに破れてしまうでしょう。ここでは紙の選択が重要になります。試作品は厚さ約1mmのジーンズのラベル素材を使用しました。大きさには素材の剛性などが影響します。今回は1辺の長さ74mmで設計しました。

審査員からのコメント

竹尾有一
子供の頃の記憶を呼び覚ます作品。革をイメージした「コルドバ」というファインペーパーを使うと、すごくいいプロダクトになると思います。

クリエイター名:Kevin DeBoer 作品名:Forest in a box

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コンセプト
The box is hand made from reclaimed White Oak. Each tree is laser cut from matte paper and painted, before being assembled into the fold out forest. Each tree is connected by accordion fold paper at the base and a string of thread through the middle. A tree silhouette is laser etched on the cover of the box.

There are over 23,000 different species of tree in the world. Trees are the largest living organisms on earth and the oldest living organisms of all time. Trees and forests are extremely important for the health and survival of humans and animals. Not to mention, they are absolutely beautiful!

審査員からのコメント

Johnny Strategy
美しい作品ですね。森を入れて持ち運べるというアイデアもいいし、コンセプトが素敵な作品です。

部門B: グリーティングカード “コミュニケーション”


優秀賞


クリエイター名:岡賢俊 作品名:Celestial Greeting Card

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コンセプト
「紙」は色々な特性を持っていますが、その中で今回私が注目したのは、「折る」と「書く(描く)」です。カットを加えることで、いかに折るようにできるか、そしてその出来上がったカタチに合うように(または合わないように)、書き込んでいける楽しいものを目指しました。
半円形のカットが2本ずつ、少しずつ角度を変えて連なっているので、真ん中から順番に折り曲げていくと、天球儀のような、立体的な同心円の連なりが姿を表します。カットを行に見立てて、一行おきに文章をかけば、上部で空を飛ぶ文章と、読みやすい下部の文章が出来たり、上に持ち上がる部分に星を書き込んで太陽系の模型のようなものを作ったり、ちょっとしたアイデアで様々な使い方が出来ると思います。

審査員からのコメント

太刀川英輔 (NOSIGNER)
建築家としては、この幾何学的な物体を巨大化して内側を歩いたときの体験が面白そうで、興味があります。星を配置したりすると、天球儀ができて面白いかもしれません。

Johnny Strategy
二次元の小さな紙が、宇宙のように大きなものに組み立てられるなんて、詩的ですね。折った箇所にメッセージを書けるのもいい。グリーティングカードなので重要です。

Tim Wong
エレガントで、空間的な広がりがいいですね。作品の主題もクリエイティブです。

竹尾有一
「書く」「切る」「折る」と、まさに紙の特性を活かしたプロダクト。シンプルですが、試行錯誤が楽しめそうです。

特別賞 (3点)


クリエイター名:ささおまこと
作品名:おめでとうの箱カード、ありがとうの箱カード

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コンセプト
リバーシブルの紙で作ります。カードの状態でも、なんとなく、「おめでとう」「ありがとう」と読めますが、組み立てて立方体にすると、はっきりと、文字が浮かびあがってきます。カードのまま送るだけでなく、立方体にして、中に小さなプレゼントを入れて送ることも。

審査員からのコメント

太刀川英輔 (NOSIGNER)
「ありがとう」と「おめでとう」と劇画的なタッチで立体化していて、外国人が考える日本らしい作品ですね。タイポグラフィを立体にするという概念が面白いです。

Johnny Strategy
文字が、箱の一部になっている様に感心しました。機能的で、持ち運びができる点もいいです。文字の影もきれいでしょうね。

クリエイター名:たしかゆい  作品名:FOR BOOK CARD

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コンセプト
いつの間にやら時代は図書券から図書カードへ。形は変わっても、贈ってくれた人の気持ちは同じ。「たくさん本を読んで、素敵な世界をたくさん吸収してほしい。」そんな贈り物が味気ない紙の袋に入っているのも退屈なので、こんな具合にしてみました。本棚の後ろに隠れている女の子とシロクマさん。カードを開くと本棚の裏には図書カードとメッセージ。女の子の肘はぐいっと本棚の前まで出てきます。

審査員からのコメント

竹尾有一
図書カードを送るのにぴったりですね。紙ならではの心が温かくなるデザインです。欲しい!

クリエイター名:K 作品名: Sakura card

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コンセプト
花は気持ちや状況をとえて表現することによく使われます。つぼみ(開花)は始まりや努力の実り、満開(花盛り)は全盛期、花が散ることは失敗や敗北。花が咲けばうれしく散れば悲しい。このカードは花びらと葉の形にミシン目の切り込みが入れてあり、剥がしとっていくことで好きなように桜を咲かすことができます。状況や季節に応じて、自分の気持ちを表現することができるグリーティングカードです。

審査員からのコメント

Tim Wong
受け取った人が、木の葉をデザインし続けられるのがいいですね。季節の移り変わりを詩的に表現できます。

部門C:パーティーウェア、またはアクセサリー “驚き”


優秀賞


クリエイター名:西垣内 作品名:KATSURA

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コンセプト
『KATSURA』は紙で作るウィッグです。紙は「リバーシブルマーメイド」を使用し、レーザーカッターで伝統的なレースモチーフを彫刻します。

審査員からのコメント

竹尾有一
これは楽しい!リバーシブルマーメイドという紙のチョイスも、いいですね!

Johnny Strategy
このカツラを被ってパーティーにでる人がいたら、一気に人気者になりますね。パーティーウェア以上の存在です!

Tim Wong
Johnnyさんもいっているように、このカツラを被れば大人気間違いなしです。オリジナリティがあります。

太刀川英輔 (NOSIGNER)
見た目のインパクトが圧倒的ですね。ある意味、ヤンキーも日本の文化かもしれない。誰でも人気者になれるパーティーウェアですね。

特別賞(1点)

クリエイター名:小倉 亮一 作品名:Skin Jewelry

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コンセプト
紫外線を浴びず安全に小麦色になれるタンニングスプレーを使って、肌そのものをアクセサリーに変えるシートを考えてみました。レーザーカットした型紙の裏面には粘着糊がつき、腕や背中など自由にコラージュすることができます。タンニングスプレーを吹いて乾いたところでシートをめくると、そこに肌色のアクセサリー浮かび上がるという仕掛けです。太陽で日焼けするよりも短時間でしっかりとシルエットを描くことができ、ひと夏だけのパーティーアクセサリーとなります。

審査員からのコメント

Tim Wong
タンニングスプレーで模様をつけるために、紙を受動的に使った面白い作品だと思います。

太刀川英輔 (NOSIGNER)
ペーパークラフト作品ではなく、紙のレーザーカットを使って「日焼け」という別の効果を得るパーティーウェアという発想がいいですね。ペーパーアクセサリーとしても使えそうです。

Johnny Strategy
スクリーンを直接あてて使い、そして外すというアイデアがいいと思います。ユニークですね。

全体への講評

竹尾有一
たくさんの素晴らしいアイデアとハックマインドがありました。アナログな紙と、デジタルテクノロジーとのコラボレーションに愉しみと可能性を感じました。

Johnny Strategy
応募者が紙やレーザーカッターをハックしていて励まされました。皆さんのクリエイティブなアイデアに、レーザーカッターの未来は明るいと思いました。ユニークで、決まりきった考えにとらわれていないのがよかったです。

太刀川英輔 (NOSIGNER)
YOUFABの応募者を見ると、このコンテストがデザイナーだけではなく、開かれたものであったことを嬉しく思います。特別な職業の人でなくても、Illustrator 等のツールが使えれば、誰でもデザイナーになれる。一人一人が持つ様々なスキルをクリエイティブに活かすことができれば未来は明るいと思います。

Tim Wong
このコンテストを通じて、オープンデザインの未来はとても明るいと感じました。日常生活からインスピレーションを受け、クリエイティブハックを実践している作品がたくさんありましたね。デザイナーや一般の人たちが自分たちのクリエイティブを作れるという前向きな証だと思います。

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▲審査会風景:(写真上)太刀川さん、竹尾さん、ファシリテーター役のロフトワーク林。(写真左下)ニューヨークから参加したStrategyさん(写真右下)台湾より参加したTim Wongさん。

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