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UrushiTronics
本作品は,漆内部に電子回路を埋め込んだユーザーインタフェースであり,漆が持つ美しさや心地よい手触りを楽しみつつインタラクティブな機能を提供し,人々の生活と心を豊かにするものである.
近年,ウェアラブルデバイス,コミュニケーションロボット,IoTデバイスに代表されるように,人とモノの関係性はより密接になっている.これらのデバイスは,過酷な環境に耐え,人に対して極めて安全であることが求められる.これに対して我々は,古くから人と直接触れ合うモノに利用されてきた「漆」を用いることを提案する.漆は工芸品としての美しさだけでなく,防水性,耐薬品性など様々な耐性を持ち,何千年も前の形状を保つほどの強靭さを備えている.また,硬化後は,アレルギー反応も起こらず,抗菌性を有しているため衛生的であるなど,人への安全性は極めて高い.さらには,現代社会が目指す持続可能な発展にとって重要な再生可能な天然資源でもある.
本作品では,漆が持つ多様な特徴の中でも特に漆の電気絶縁性に着目し,漆を絶縁基材および構造体として用いることによる強固な電子回路(以下,漆回路)を構築する.また,漆が持つ独特の美しさ,手触りの良さを活かした,回路自体を直接触れることができる漆のデバイス群「UrushiTronics」を提案する.本投稿では,「UrushiTronics」の1例として,「触れる」をテーマとした漆タッチインタフェースモジュールを制作した.
漆回路は,木,金属,プラスチックなど様々な素材に漆を塗布し,漆膜上に配線パタンや電子部品を印刷・接着し,漆で覆ったものである.配線パタンは小紋などの模様を組み込んで付加し,これまで漆芸で培ってきた蒔絵を彷彿とさせる表現を試みている.漆回路と電池ケースを組み合わせたモジュールの他,既存の机や壁などに漆回路を塗り込むことでも作られる.既存のモノを用いることで,モノの使い心地を変えることなく様々な機能と漆の質感を提供し,人とモノの密接化を促進する効果が期待できる.
本作品は,漆が培ってきた芸術的価値,歴史的価値,文化的価値から,先進技術に対して保守的な考えを持つ層に対して無理なく受け入れられるものとなり得る.漆に触れる機会の少ない若者層に対しても,インタラクティブなユーザーインタフェースである本作品を介して漆と直接触れ合うことで,漆の素晴らしさや内包する日本の伝統・文化の価値を見つめ直すきっかけとなり得る.世界的に漆器は「ジャパン」と呼ばれるほど価値が認められており,インタラクティブ性が付加された漆デバイスは「新たなジャパン」として再び世界から注目を集めることが期待される.
近年,ウェアラブルデバイス,コミュニケーションロボット,IoTデバイスに代表されるように,人とモノの関係性はより密接になっている.これらのデバイスは,過酷な環境に耐え,人に対して極めて安全であることが求められる.これに対して我々は,古くから人と直接触れ合うモノに利用されてきた「漆」を用いることを提案する.漆は工芸品としての美しさだけでなく,防水性,耐薬品性など様々な耐性を持ち,何千年も前の形状を保つほどの強靭さを備えている.また,硬化後は,アレルギー反応も起こらず,抗菌性を有しているため衛生的であるなど,人への安全性は極めて高い.さらには,現代社会が目指す持続可能な発展にとって重要な再生可能な天然資源でもある.
本作品では,漆が持つ多様な特徴の中でも特に漆の電気絶縁性に着目し,漆を絶縁基材および構造体として用いることによる強固な電子回路(以下,漆回路)を構築する.また,漆が持つ独特の美しさ,手触りの良さを活かした,回路自体を直接触れることができる漆のデバイス群「UrushiTronics」を提案する.本投稿では,「UrushiTronics」の1例として,「触れる」をテーマとした漆タッチインタフェースモジュールを制作した.
漆回路は,木,金属,プラスチックなど様々な素材に漆を塗布し,漆膜上に配線パタンや電子部品を印刷・接着し,漆で覆ったものである.配線パタンは小紋などの模様を組み込んで付加し,これまで漆芸で培ってきた蒔絵を彷彿とさせる表現を試みている.漆回路と電池ケースを組み合わせたモジュールの他,既存の机や壁などに漆回路を塗り込むことでも作られる.既存のモノを用いることで,モノの使い心地を変えることなく様々な機能と漆の質感を提供し,人とモノの密接化を促進する効果が期待できる.
本作品は,漆が培ってきた芸術的価値,歴史的価値,文化的価値から,先進技術に対して保守的な考えを持つ層に対して無理なく受け入れられるものとなり得る.漆に触れる機会の少ない若者層に対しても,インタラクティブなユーザーインタフェースである本作品を介して漆と直接触れ合うことで,漆の素晴らしさや内包する日本の伝統・文化の価値を見つめ直すきっかけとなり得る.世界的に漆器は「ジャパン」と呼ばれるほど価値が認められており,インタラクティブ性が付加された漆デバイスは「新たなジャパン」として再び世界から注目を集めることが期待される.