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木陰葺の東屋 -名勝・縮景園事務所棟東トイレ-

建築
広島の名勝・縮景園に佇む新たなトイレを、広島県が「ひろしま建築学生チャレンジコンペ2019」で公募し、その最優秀案かつ2021年に竣工した建築です。計画では庭園内の自然に呼応しながら多様に点在する東屋の文脈を尊重し、対象敷地でも土地の美しさを眺める場を目指しました。そこで、平面的な開放性が難しいトイレ建築に対して、上下方向への開放性が必然的に求められる中で、私達は日中木陰が落ち、鬱蒼とした敷地の陰りの特徴を拾い上げ、半透明な屋根に木陰が揺らぎ自然との繋がりが感じ取れる空間を考えました。その屋根によって職員空間やトイレ以外の安らいも受け入れる広い軒下空間をつくり、異なる過ごし方が共存する場所を計画しました。同時に伝統的な格子を発展し、通風・プライバシー性を持ちながら、夜間は行灯のような佇まいを目指しました。
この「木陰葺」という形式により、敷地の静寂な美しさと利用者とを木陰を介して繋ぐ普遍的な関係を生み出せたのではないかと考えています。

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