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廻転する不在

《廻転する不在》は、14台の自転車を組み合わせて制作した大型作品です。6台の自転車で作った大きな車輪を人力で漕いで回すことができる装置と、その動きに連動してライトを点滅させ、ペダルが動く8台の自転車の複合装置です。
この作品で用いられているのはすべて、取手市で廃棄された放置自転車です。放置自転車には、形状的な記憶だけが残されています。駐輪場・学校・自転車屋のステッカー、錆びたチェイン、傷や凹み、鍵に取り付けられた鈴、ロープ。私は、形や物質としての記憶は残っていながら、持ち主の姿がないのは空き家的であると感じます。同時に、これらが「放置」という決断によって、その瞬間から時間や記憶が静止してしまっている存在であることから、それはとても不安定であり、「宙ぶらりん」な存在であるというように感じます。
回転の動きを時計の動きになぞらえ、自転車を実際に宙に浮かせ、私自身の力でもう一度動かすことで、「放置」されることによって止まってしまった時間を、もう一度動かすことはできないだろうか、ということを想像しながら制作しました。

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