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作品タイトル(日本語)
仮設の龍
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作品タイトル(英語)
Temporary Dragon
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制作物のコンセプトを記載してください。
東関東大震災より10年。お亡くなりになりました方々に、心より哀悼の意を表します。
私はアートの力を社会に還元するため、ボランティアを続けてきました。東日本大震災では、岩手県大槌町の似顔絵ボランティアにはじまり、福島県いわき市仮設住民へのフェイスペインティングなどです。中でも記憶に残るのは、宮城県石巻市の仮設住宅の壁を彩る活動でした。
いまでも印象に残るのは、殺風景な仮設住宅です。実際に足を運ぶと無気力になりやすく、パートナーや家族を失った家族は鬱病や自殺を誘発しやすい環境でした。物資の次は「心の治療」だと思い、仮設住宅の人・子供達と一緒に絵を描きました。
やがてボランティア参加者は100名程にもなり、宮城県石巻市糠塚前団地の壁には、花札の中を泳ぐ龍の絵が完成しました。8棟の壁をキャンバスに見立てた絵は、全体で長さ約70mという大作でした。デザインは住民の要望をまとめ、花札の中を泳ぐ龍のデザインとしています。(カモメや波を連想するものは避ける)1年を通じて花を見たいという声があり、花札の図柄を採用しアヤメ・サクラ・ボタンも一緒に描きました。
当時の自治会長である小野孝雄氏は完成当時「龍の勢いのように早く復興して、自分たちも前に進みたい。ここからが出発点なので、壁画を見ることで前を向く力になればと思う」とコメントを残し、完成後に癌により他界されました。私はこの出来事を一生忘れません。 -
制作物のコンセプトを記載してください。(英語)
We volunteered to paint the walls of temporary houses in Miyagi prefecture (the place most damaged by 3.11 earthquake). The residents joined us as well and this project was recognized as an activity which unites the residents in the area and also helps them to shift the dark image of life in temporary houses into a fun & memorable one. I’m supporting the project from the beginning and it’s coming to the end in Sept. and it’s great to see smiles in this area… We’ll have one more visit to complete the picture!!
I showed my Flower project exhibition in Tokyo midtown gallery.
Flower Project is a volunteer group that supports areas affected by disaster through art. Many people in Japan lost their homes in the Great East Japan Earthquake of 2011. Mr. Arai began his support for survivors of the earthquake and tsunami by volunteering to paint portraits of people living in temporary housing. He has since gone on to lead a team of volunteers that offers support through artistic activities.
The survivors of the disaster who lost their photo albums in the tsunami deeply appreciate the chance to have their portraits drawn. In another project to empower the survivors through art, in 2012 Mr. Arai used the wall of a temporary housing complex as a canvas on which he painted a 70-m mural of a dragon together with volunteers and temporary housing residents.
The Flower Project exhibition details these volunteer activities through the artwork that has been created and features other works of art by Fuzuki Arai. We look forward to seeing everyone there. -
作品の素材・仕様
7560 × 240 cm 仮設住宅8棟
仮設住宅の壁にミッチャクロン、アクリル、ペンキ -
作品の素材・仕様(英語)
7560 x 240 cm (8 temporary housing)
Mitchacron, acrylic, paint on the walls of temporary housing -
作品のリファレンスURL
http://araifuzuki.com/en/flowerproject/
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作品の映像URL
https://youtu.be/TU8iO0MFliw
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公式サイト、もしくはSNSのURL
https://araifuzuki.com/
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特別賞のテーマにどう作品が関連しているか説明文を記載
2021年、物理学の観点では宇宙はたった17種類の素粒子で構成されています。この先、より根源的な物質が発見される可能性も充分にありえますが、同じ素材として広大な銀河と「わたし」に境界はなく、すべてはひとつに繋がっているともいえます。
私はつながりを求め、ボランティア活動として壁画や似顔絵を描きはじめました。そこから東日本大震災をきっかけに芸術支援団体「フラワープロジェクト」を発足することになります。そこで生まれた不思議なご縁から、被災地に住まう現地の人々と一緒に絵を描くことを決めました。ただ当時仮設住宅の人々は、どんな奴が描くのだと部外者の私に不信感を抱いていたように、通常は仮設の壁に絵を描くこと自体、実現が困難です。それでも突き動かされるように被災地に入り、何度も住民と対話し、ただコミュニケーションをとるために何度も足を運びました。
そのおかげで7回目くらいになると「新井さんが描くなら何でもいいよ」と言われるほどになりました。それからボランティアと一緒に制作する日々を続けていきます。皆が筆を走らせると、毎回わたしの想像力を越えた表現が生まれました。
当初、私はボランティアというのは与える行為だと思って勘違いしていました。それがスタートしてみると、額に汗をかきながら一緒に絵を描くことは、笑顔・喜び・笑い・充実感など素晴らしい感動をもらえることに気づきました。
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フラワープロジェクト
フラワープロジェクトは東日本大震災により建てられた仮設住宅を彩るアート活動です。震災後に多くみられた物資を送るボランティアと違い、仮設住宅の人・子供達と一緒に絵を描き希望ある空間を創造するのが特徴です。2011年当時、建てられた仮設住宅の生活期間が延長されてしまう現状から、生活の無機質な空間を明るくする目的で結成されました。