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日本における役割の性差―OECD各国との比較

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世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数において、日本の順位はいつも驚くほど低い。2022年は146か国中116位という結果で、ニュースを見た私のイギリスの同僚は「日本はいろいろ進んだ国という印象なのに、どういうこと?」と少なからず衝撃を受けていた。

あらためて思えば、内閣発足の集合写真で見る顔ぶれは毎回だいたいが男性だし、女性役員や管理職が少ないことも、具体的な数字は知らずとも十分に実感がある。性差をあらわすデータの見え方を工夫することで事実にはっきりとした輪郭を与え、更には「どういうこと?」という疑問にたいするヒントが見つけられるかも、という思いつきが今回の2枚のポスターのきっかけだった。

1枚目では政治、社会、家庭において男女が担っている役割の偏りを視覚化した。偏りを均衡状態からの振れ幅によって示すことで、崩れたバランスを直感的に伝えられるのではと考えた。また、女性の社会進出の程度だけに焦点を当てるのではなく、家庭での役割という指標を取り入れることで、家庭の内と外での役割の対照的な偏りを際立たせている。

2枚目では女性議員率を例に、時間の変化におけるバランスの改善度合いを視覚化した。視覚化することで見えた変化のある国とない国の顔ぶれには驚きもあり、また時間という次元を取り込むことで、1枚目であらわした国ごとの現状に文脈をつけている。

日本も含めて各社会における性差には、価値観や歴史的背景が関係していて、もちろんそのすべてをデータビジュアライゼーションだけで示すことは難しいとは思う。ただ、今回見せた日本の性差の現在位置は、その要因を探る一つの手がかりにはなるだろうか。

Cover - gender gap in Japan

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