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蟲筆 -般若心経-

ゴキブリの自然な行動を電気刺激によって誘導し般若心経を書き上げる作品。
禅とは我々がみている論理や言語で分節された世界を解体し、無分節世界を見ることを一つの到達点におく。「無我の境地」とい うように、我を忘れ没頭することが理想的な状態である。この点において禅は主客を 解体し、万物と一体化することを可能にさせる。
ゴキブリを制御し書を行う作業は、禅的活動であるとも考えうる。ゴキブリの自発的な動きに呼応し私が電気刺激を与える。また、私の電気刺激によってゴキブリは移動方向を変化させる。まるで、私とゴキブリの主客は解体されていくようだった。意識が混ざり合いまどろんでいく感覚も得られた。
環世界という言葉があるように、ゴキブリは人間と異なった認知によって分節された世界をみている。この世界を言語によって説明しようとすると、たちまち人間の分節世界にひきづりこまれ、語ることができなくなってしまう。 であれば、言語や論理などの知的作用に頼らずに禅などの直観的なメソッドで理解できないだろうか。

筆をもち文字を書くゴキブリ

サイボーグゴキブリと書いた般若心経の全文

ゴキブリが文字を書き上げていく様子

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