幻樹 ~Alchemy of fantasy~

左手をかざすと葉が生え、右手をかざすと葉を落とす。人の意志に合わせて形を自在に変える未来の植物。
（動画リンク：https://www.youtube.com/shorts/eSMETv70L9Q）


「妄想」。これは我々人類が日常のように行う行為である。実際に起こりそうな想像もあれば非現実的な空想もあるだろう。人類はこれまでの歴史の中で、様々な妄想をし続けてきた。
一方、妄想はただ頭の中に留めておくのではもったいない。文化や技術の発達によって妄想の幅が広がるのと同時に、「妄想を伝える」手法もまた大きく進化してきた。
古代「文字・絵」であったものが、近代に入って「写真、映像、CG」により妄想をよりリアリティ高く描けるようになり、近年では「AR・VR」のように半分実世界的な空間の中でユーザー自身が妄想を体験できるようになった。「生成AI」の登場により、妄想をイメージングするのにもはや技術すら必要なくなりつつある。工作の世界でも「3Dプリンター」によって、誰もが自分で考えたものを作れるようになった。

では、「妄想を伝える」手法の未来の姿とは何か？
私たちの答えは、「自分が存在するその場で」、「思いついたその時に」、「頭の中がありのままに形になる」ことだと考えている。言い換えるならその場で周囲の環境が自分の妄想通りに変貌する状況ではないだろうか。
こと自然物に対して、このことをより明確にいうなら「身のまわりの物質を分子レベルで状態を操作し、妄想の通りに自在に操っている世界」ではないか。いわば魔法のような技術、「瞬間錬金術」　”Realtime alchemy”である。「我々が新たに作った世界」、ではなく、「我々が元から存在していた世界」の中で、環境が私たちに呼応する世界を私たちは目指したい。

本作品は、そんな「未来世界での妄想実現」を少しでも体験できることを目指した。