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説明文
人とのつながりが重視される社会において、記憶は常に「整合性」を求められ、「正しい」か「間違い」の二択でしか判断されません。
記憶が苦手な人もいれば、その曖昧さを利用して評価される人もいるでしょう。
けれど、間違いの評価が続けば、そこには制裁があり、心や身体が歪むのは自然なことだと思います。
そうした中で、記憶の正確さよりも、他者との整合性にどう配慮するかという視点から、「記憶の新たな定義」を表現しようと考えました。
その思考を形成するうえで、モーリス・アルブヴァクスの「過去とは現在の中で意味づけられ、再構築されるものだ」という言葉、そしてキリスト教・イザヤ書55章8節にある「わたしの思いは、あなたがたの思いと異なり、わたしの道は、あなたがたの道と異なる」という聖句が手がかりとなりました。
また、美術史においてリアリズムから印象派へと表現が移り変わったように、私も「現実をそのまま写す」のではなく、明確ではない線を描くことを目指しました。
作品を設置したサイトでは、アクセスするたびに配置が変化する、記憶のような仕組みを取り入れています。PC版では、52枚のカードが52週を、+1枚のジョーカーが1日を表し、1年という時間を象徴しています。
https://yudainakaya.com/artworks/memory/
https://youtu.be/JcNpWWHLChs?si=evC4gLsMUrbOV5Fq -
制作物の柔軟性(Flexibility)についてご記入ください。
この作品では、トランプのカードがめくられ、数字が見えるとすぐに消えていくという仕組みを通して、一瞬の記憶の儚さを象徴的に表現しています。
揃っても揃わなくても、同じように消えていく様子は、物事の結果や意味にとらわれず、時の流れとともに移ろう記憶の繊細さを映し出します。
個々の整合性にこだわるのではなく、全体の流れに身を委ねることで生まれる、柔らかくしなやかな美しさを描きました。
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Memory
カードが揃っても揃わなくても、それはやがて変化し、やがて消えていく
モーリス・アルブヴァクスは、過去とは現在の中で意味づけられ、再構築されるものだと述べた
またキリスト教には、人の理解の限界と、それを超える導きの教えがある
「わたしの思いは、あなたがたの思いと異なり、わたしの道は、あなたがたの道と異なる」(イザヤ書55:8)
これは、個々の整合性にこだわるよりも、やがて一つの大きな流れに結びついていくことにこそ意味があるのかもしれない
まだ私たちは、記憶の水面で輪郭を描いている。ジヴェルニーに浮かぶ睡蓮のように
モーリス・アルブヴァクスは、過去とは現在の中で意味づけられ、再構築されるものだと述べた
またキリスト教には、人の理解の限界と、それを超える導きの教えがある
「わたしの思いは、あなたがたの思いと異なり、わたしの道は、あなたがたの道と異なる」(イザヤ書55:8)
これは、個々の整合性にこだわるよりも、やがて一つの大きな流れに結びついていくことにこそ意味があるのかもしれない
まだ私たちは、記憶の水面で輪郭を描いている。ジヴェルニーに浮かぶ睡蓮のように

