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SAND PRODUCT 『OUTLINE』

その他
現代社会では、製法や技術の進歩により、様々な工業製品が生産され、私たちの生活を支えています。
その一例が砂型鋳造です。砂から砂型を作り、溶けた金属を流し込むことで金属製品や部品を大量生産する技術です。
この砂型は製品生産時に使用され、消費者の目に触れることはありません。そこで私たちは、砂型を単なるものづくりの道具として捉えるのではなく、砂型成型の技術と砂という素材として捉える直すことで新たな価値を与えられないかと考えこのプロジェクトが始まりました。

私たちが着目したのは、航空機や自動車などの金属部品の中空部を形成する際に用いられる「中子型」です。中子型は砂型鋳造において、金属部品の空洞を形成するために不可欠なものです。金属が冷えて固まった後、振動によって中子型を取り外すことで、最終製品の成形が行われます。しかし、中子型は製造工程中に炭化して黒砂となり、使用後は廃棄されてしまいます。その廃棄されてしまう黒砂と砂型成型の技術をかけ合わせることで既存技術の再構築や新しい砂の活用方法を検討し、普段当たり前に存在する砂の魅力を引き出した製品、SAND PRODUCTを制作しました。

SAND PRODUCTの「OUTLINE」は、世の中に存在する製品の輪郭をトレースしたプロダクトシリーズです。砂型として製品の形状を生み出してきた素材にお風呂の浴槽、キッチンボウル、試験管など身近な製品の輪郭をトレースすることで現れた造形に新たな機能が生まれ、黒く重厚感のある素材は異質な存在感を放ちます。家具と日用品に展開することで、人々の日常生活を"黒く彩る"デザインです。


製品の特長について
黒砂について
SAND PRODUCTの特徴である黒砂は、微細なガラス粒子の輝きと、黒色の特徴を持っています。鋳物を作るための砂型として利用するために、黒鉛や炭素系の材料を混ぜ黒色となっています。黒色となった砂で成型した砂型に溶けた鉄を注ぎ込み、凝固した後、鋳物製品を型から取り出します。製品を取り出した砂型は、再利用するための工程を経ます。しかし、製品に付着してしまった砂は、除去する際に砂と金属材が混ざってしまうためこれまで捨てられてきました。この捨てられてきた砂から大きな金属材を除去した砂を"黒砂"と呼びます。

中子とは鋳物製品の空洞部分を作るための砂型です。
砂の粒子の表面に樹脂を付着させ樹脂同士を繋げるため、鋳物製品に合わせた樹脂を砂に混ぜこみ、木型に詰めることで砂型を成型しています。中子の硬化方法は様々で、熱で硬化させるもの、ガスを注入し化学反応で硬化させるもの、型に砂を入れたまま自然硬化させるものなどがあり、SAND PRODUCT は既存の中子成型の技術を用いて、自然硬化を利用しています。

O-Clock φ300/φ200

Circular process

Table/Stool

Flower Vase/Accessory Tray φ130/Pen stand

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