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説明文
AMOC PROJECTは、陶芸におけるろくろ成形の過程で粘土が見せる刹那の表情を切り取れ、FDM(熱溶解積層)3Dプリントでかたちにしています。一般的にはノイズとされる積層痕を、回転する粘土の風合いとして捉え、あえてポジティブな跡として活かしています。
職人の手によって偶発的に生まれたかたちを客観的に記録する姿勢を大切にし、意図的な創作の介入は極力控えています。あくまで未完成の状態に焦点を当てることで、普段は見過ごされる瞬間の造形や質感を、生活空間に取り込むことを目指しています。
花瓶や小物入れ、植木鉢、ペットボウルなど幅広いプロダクトとして展開しながら、クラフトとデジタル、手仕事と機械、それぞれの特性を掛け合わせることで、これからのモノづくりに新しい視点を提案しています。
作品URL:https://www.instagram.com/amocproject/ -
制作物の柔軟性(Flexibility)についてご記入ください。
技術面では、FDM方式3Dプリントにおける特徴的な積層痕を、ノイズとして排除するのではなく、ろくろで回転する粘土の風合いとして積極的に取り入れています。従来の価値観を否定するのではなく、やわらかく再解釈するような姿勢が、このプロジェクトの柔軟性を表しています。
素材面では、3Dプリントにおける素材選択の高い自由度を活かし、試作を重ねた末に、市販のPLAフィラメントの中から、実際のろくろ成形で使われる粘土に近い5色(白土・黄土・赤土・黒土・テラコッタ)を選定しました。すべての制作物は、この5色から自由にカスタムが可能です。また、PLAは植物由来の生分解性プラスチックで、粘と同様に自然から生まれ、自然に還るという特性を持つことから、持続可能なものづくりにもつながっています。
機能面では、造形物は、花瓶にもなり、ペン立てにもなり、小物入れにもなるような開かれた形態をしています。用途に依存しない抽象性を保ちつつ、使う人や周りの環境によって意味づけが変わる、柔らかく余白のある表現も、この作品における柔軟性のひとつです。
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AMOC PROJECT
A moment of clay

