CREATIVES

  • 32

QUENELLE 感覚つながる小型EV

車を運転するとき、車がまるで自分の身体の一部になったかのように感じられることがある。
身体の感覚が拡張し、その延長線上に機械が存在するような状態――いわば「身体拡張」である。
もしこの身体拡張が、より感覚的で、相互的なものになったとしたらどうだろうか。

感覚を介した反応がほとんど遅延なく往復し、
人と車とのあいだに、まるで共感覚のようなコミュニケーションが立ち上がるとしたら?

――そうした発想から生まれたのが、
アーティストとエンジニアが共同開発したEV 《QUENELLE(くねる)》である。


管楽器のようなフォルムをもつQUENELLEは、
乗る人の鼓動を検出し、それを音・光・振動へと変換してドライバーへ送り返す。

同時に、車両の状態や変化も感覚的なフィードバックとして提示され、
ドライバーは数値や警告ではなく、身体感覚をとおして車と関わることになる。
人の身体と機械のあいだに、双方向的な感覚の回路をつくることが、作品の中核にある。


このプロジェクトは2019年より「とよたデカスプロジェクト」の助成を受け、
体験型展示や試乗会、音づくりのワークショップなどを通して、
車を媒介に人と人との関係性を育む実践を重ねてきた。
個人の運転体験にとどまらず、場をひらき、他者と感覚を共有することもまた、
QUENELLEの重要な要素である。

また、2024–25年には「SUBARU×ART OTA CITY」に参加し、
自動車工場でのフィールドレコーディングから制作した走行音を搭載して巡回展示を行った。
走行音という、これまで一部の主体に委ねられてきた感覚を編集・共有することで、
音をおとおした車との新しい関係性を模索してきた。


QUENELLEは、生命を象徴する「脈」を車にうつすことで、
人間と無機物のあいだに生じる新しい関係性を探る作品であり、
多様な人々のもとへ「会いに行く」移動型の社会実験でもある。

現在も車体のアップデートや新たなシステム開発を行いながら、その可能性を拡張し続けている。

豊田市美術館庭園

Indonesia Friendship day

Escola Alegria de Saber Toyota

前へ