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漆から空間へ ― アイリーン・グレイの造形思想における〈表層〉と身体性 ―
本プロジェクトは、20世紀を代表するデザイナー・建築家アイリーン・グレイの造形思想を手がかりに、〈表層〉と身体性を主題とした実践的研究である。漆・ワーロン紙(樹脂加工和紙)・3Dプリントという異なる素材を横断しながら、表層が構造・身体・空間といかに関係するかを探り、近代建築の思想と日本の伝統素材が交差する地点に新たな造形の言語を見出すことを目指す。
2026年1月、パリ国際大学都市日本館(Maison du Japon)の大サロンにて作品「生と還りの環(わ)/Cercle de Vie et de Retour」を発表した。藤田嗣治氏の大作が展示される空間に、ワーロン紙と漆を組み合わせた大型インスタレーションを設置した。パリ滞在中、彫刻家ザッキンの美術館を訪れた際、アイリーン・グレイと漆職人・菅原精造氏との出会いを紹介する展示に偶然出会った。漆という素材を起点にデザインから建築へと思想を展開したグレイの軌跡に、自身の制作との深い共鳴を覚えた。さらに、グレイと菅原をつないだのが藤田嗣治氏であったという事実を知り、自らが作品を発表した空間との思いがけない接点に強い衝撃を受けた。この経験を契機にグレイへの関心が生まれ、彼女の著作を通して、その空間的思考の展開を探究したいという思いが本プロジェクトの出発点となっている。
筆者は乾漆彫刻家として、フィンランドやパリでの滞在制作・展示を通して素材と身体、空間の関係を探究してきた。名古屋市芸術奨励賞を受賞するなど国内外で実績を積み、現在は教育現場において造形表現の指導にも携わっている。
ねのね第1期では「Urushi³D」として、フィンランドでの制作体験を基盤に3Dプリンターと乾漆を組み合わせた彫刻作品を制作し、現地で出会った音楽家との共同展示として発表した。その経験と人とのつながりが、2026年1月のパリ国際大学都市日本館での展示へと直接つながっている。ねのねでの活動は、制作にとどまらず、国内外をつなぐ実践の連鎖として展開されてきた。
近年、自身の制作は立体そのものから空間との関係を問うインスタレーションへと広がりつつある。その変化の中に、グレイが漆から建築へと思想を展開させた軌跡との共鳴を見出している。パリ展示で用いたワーロン紙は、光を透過する〈表層〉として空間に独自の作用をもたらす素材であり、漆との組み合わせに大きな可能性を感じている。2026年9月には、パリ11区のショールーム「Paris KUMI」にてワーロン紙と漆を用いたワークショップを実施予定であり、建築・デザイン分野に向けて日本の伝統素材の新たな可能性を提示することを目指している。
ComoNeでは、アイリーン・グレイの造形思想を手がかりに、漆とワーロン紙を〈表層〉として捉え、光や触覚を通じて身体と空間の関係を探る実験的な制作を行う。漆という素材が持つ深みと質感、そしてワーロン紙の光を透過する表層としての特性を活かしながら、FABスペースの3Dプリンターを用いた構造実験も重ねつつ、素材を通じて感じる感覚の変化に着目し、制作のプロセスも含めて公開していく。
2026年1月、パリ国際大学都市日本館(Maison du Japon)の大サロンにて作品「生と還りの環(わ)/Cercle de Vie et de Retour」を発表した。藤田嗣治氏の大作が展示される空間に、ワーロン紙と漆を組み合わせた大型インスタレーションを設置した。パリ滞在中、彫刻家ザッキンの美術館を訪れた際、アイリーン・グレイと漆職人・菅原精造氏との出会いを紹介する展示に偶然出会った。漆という素材を起点にデザインから建築へと思想を展開したグレイの軌跡に、自身の制作との深い共鳴を覚えた。さらに、グレイと菅原をつないだのが藤田嗣治氏であったという事実を知り、自らが作品を発表した空間との思いがけない接点に強い衝撃を受けた。この経験を契機にグレイへの関心が生まれ、彼女の著作を通して、その空間的思考の展開を探究したいという思いが本プロジェクトの出発点となっている。
筆者は乾漆彫刻家として、フィンランドやパリでの滞在制作・展示を通して素材と身体、空間の関係を探究してきた。名古屋市芸術奨励賞を受賞するなど国内外で実績を積み、現在は教育現場において造形表現の指導にも携わっている。
ねのね第1期では「Urushi³D」として、フィンランドでの制作体験を基盤に3Dプリンターと乾漆を組み合わせた彫刻作品を制作し、現地で出会った音楽家との共同展示として発表した。その経験と人とのつながりが、2026年1月のパリ国際大学都市日本館での展示へと直接つながっている。ねのねでの活動は、制作にとどまらず、国内外をつなぐ実践の連鎖として展開されてきた。
近年、自身の制作は立体そのものから空間との関係を問うインスタレーションへと広がりつつある。その変化の中に、グレイが漆から建築へと思想を展開させた軌跡との共鳴を見出している。パリ展示で用いたワーロン紙は、光を透過する〈表層〉として空間に独自の作用をもたらす素材であり、漆との組み合わせに大きな可能性を感じている。2026年9月には、パリ11区のショールーム「Paris KUMI」にてワーロン紙と漆を用いたワークショップを実施予定であり、建築・デザイン分野に向けて日本の伝統素材の新たな可能性を提示することを目指している。
ComoNeでは、アイリーン・グレイの造形思想を手がかりに、漆とワーロン紙を〈表層〉として捉え、光や触覚を通じて身体と空間の関係を探る実験的な制作を行う。漆という素材が持つ深みと質感、そしてワーロン紙の光を透過する表層としての特性を活かしながら、FABスペースの3Dプリンターを用いた構造実験も重ねつつ、素材を通じて感じる感覚の変化に着目し、制作のプロセスも含めて公開していく。
