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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
ここでは〈配水塔〉に着目し,ケーススタディとして兵庫県の〈野田配水塔〉の変異を提案する.
配水塔とは,浄水場で作られた水を一時的に蓄え、自然流下やポンプによって給水区域へ安定した水圧と水量で届ける大型貯水施設である。地域ごとの需要変動の緩和や、災害時の非常用水瓶としての役割を担う。国内の現存数は全国の団地給水塔を含めて約800〜900基と推定され、昭和の中期に最盛期を迎えた。現在は、送水技術の向上や施設の老朽化に伴い全国的に減少傾向にあるが、一部は耐震補強を経て現役で稼働を続けている。
また,野田配水塔は地域のシンボルとして親しまれていると同時に,役目を終えた配水塔としてこれからどうあるべきか,という問いに直面している. -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
私はかねてより,光を渇望する人間のふるまいに疑問を抱いてきた.都会の夜は昼よりも明るい.いや,実際には明るくないのだが,明るく感じる.林立する街灯,カラフルに点滅する電光掲示板,自動車のテールランプ,そして,特筆すべきは人々が手にしているスマートフォンである.スマホの場面をめがけてズンズン歩くその姿は,飛んで火にいる夏の虫さながらである.
都会の夜には,文字通り星の数ほど(人工的な)光源がある.安全のため,治安維持のため,そういった理由で都市は明るくなってきた.それが今では,人の目を引くことが目的となり,まるで光源同士が明るさ勝負をしているかのような感じがする.
そんな時,野田配水塔を取り上げた神戸新聞の記事を目にした.建築というには中途半端なスケール感を持つその塔は,直感的に,空に向かって伸びる巨大な望遠鏡のようにも見えた.それと同時に,もし本当に大きな望遠鏡のように夜空を眺める場となれば,どんな空間になるだろうかという問いが浮かんだ.
以上の通り,理由や根拠は極めて主観的なものではあるが,この例に限らず変異のきっかけはいつでも主観的な気付きにあると思う.私なりの気付きが,配水塔という一つの絶滅危惧空間の位置づけを転換するきっかけになればと思う. -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
【水を蓄え,届ける生活インフラとしての〈配水塔〉から,人と夜空を接続する内省の場としての〈宵の塔〉への変異】を提案する.変異の手法は,配水塔内部に,人の居場所となるような場を設計することである.かなり抽象的な手法ではあるが,ここで大切なのは,様々な敷地に,様々な形で,様々な位置づけの配水塔が存在しており,具体的な設計手法は対象とする配水塔によって異なるということである.今回はケーススタディとして野田配水塔を扱うこととした.層状に積み上がったボリュームを,スラブを挿入することで分割し,「エントランス」や「見上げの空間」に分節した.また,「見上げの空間」では夜空の自然光以外は極力排除するため高さを十分に取り,開口は設けていない.
「見上げの空間」では,資料二枚目のパースのように,「夜空の窓」からぼうっと光が入り込み,壁面をなぞりながらグラデ―ショナルに明暗が遷移する.一度この空間を体験したら,きっと夜空の解像度が上がるだろう.塔の外に出たとしても,資料一枚目のように,しんしんと私たちを照らす,かそけき光が知覚できるようになるのではないだろうか.
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光かそけき、宵の塔─配水塔の変異が夜空をひらく─
月明り、星明り。私たちを静かに照らす、かすかな光。
〈配水塔〉は、「私」と「光」を繋ぐ媒介となる。
都市の明るさの中で失われた夜空との関係を取り戻し、
人が再び夜空を見上げるきっかけを生み出す。
あなたは、最後に夜空を見上げた夜を覚えていますか。
〈配水塔〉は、「私」と「光」を繋ぐ媒介となる。
都市の明るさの中で失われた夜空との関係を取り戻し、
人が再び夜空を見上げるきっかけを生み出す。
あなたは、最後に夜空を見上げた夜を覚えていますか。
