

この30年でガソリンスタンドは46%、電話ボックスは14%まで減少している。※1
20世紀の時代に同一規格で大量生産されたインフラ空間(空間種)は、あらゆるニーズとサービスを繋げ、世界の近代化を実現した。しかし、莫大な富と時間をかけて作られた空間は、技術革新、人口減少といった大きな社会変動により、絶滅の危機に瀕している。
我々はこれらの空間を”RED SPACE=絶滅危惧空間”と呼び、空間種の収集と評価を行ってきた。
本アワードでは絶滅危惧空間の持つ形態・仕組み・社会変化を読み取り、これからの時代において価値を生み出す「変異」の提案を集めたい。多くの課題が複雑に絡み合う、絶滅危惧空間を変えるには、設計者、起業家、企画者、法律家、技術者など様々なプレイヤーからのアイデアが必要だ。
絶滅危惧空間は、同一規格で大量に生産された空間であるがゆえに、ひとつの変異が社会全体へと波及し、新しいインフラへと作りかえる可能性を秘めている。ほとんどの空間が絶滅してしまうこの四半世紀が新しいインフラを創造できる最後のチャンスになるかもしれない。
絶滅の危機に瀕する空間を救え。
※1) 石油連盟 SS数の推移 / 総務省 令和6年度 情報通信白書 20. NTT東西における公衆電話施設構成の推移
募集概要

本アワードでは、絶滅危惧空間に新たな価値を与える「変異計画」を募集します。
RED SPACE WEBSITEに掲載されている空間の中から一つを選び、その空間を次の時代に適応させるための提案を行ってください。WEBSITEのリストにない空間でも、提案可能です。
提案は建築デザインに限りません。ビジネスモデル、テクノロジー、制度設計、都市計画、アート・リサーチなど、多様な領域を横断しながら、空間の形だけでなく仕組みや使われ方まで含めて再設計する提案を求めます。

◾️対象例
その他の絶滅危惧空間はRED SPACE WEBSITEを参照ください。
◾️変異計画事例

過疎集落を結ぶ赤字路線に、「医療」「福祉」「教育」などの公共サービスを乗せることで、生活機能を維持可能にし、沿線全域を「交流圏」に変える、移動式公共インフラの提案。
<ライフスタイルの転換> 自動車に依存した定住型の暮らしから、移動施設を使った移動型のライフスタイルへ変えた。
Proposed by
-Kei Hiraguri(RED SPACE)

LANdLine
一定の密度で点在する電話ボックスを、地域の心理的情報を集約し、AIとともに来場者が街に対する議論へ参加し投票できる「Neighborhood Intelligence Infrastructure(近隣知性インフラ)」へ転換する提案。
<テクノロジーの転換>電話通信設備を、AIを通して市民が都市の公共的議論に参加可能にするインターフェースへ変換した。
Proposed by
-Tim Wong(FabCafe Taipei)
-Jetsada Wongwanjaroen
-Paul Yeh

ニューヨークのハイライン(The High Line)
NYのハイラインでは30年間使われなかった鉄道高架橋が年間500万人以上が訪れる公園に変わった。
<制度の転換>高架上の開発権を、同じ特区内の空中権に移転できるゾーニング制度を変えた。
※写真素材 Shutterstock

瀬戸内国際芸術祭
使われなくなった産業遺構、空き家や施設などの既存資源を活用し、年間195億円を生むアートツーリズムへと転換し、新たな観光産業へと発展した。
<ビジネスモデルの転換>工業・輸送業を観光業へ変えた。
※瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局 画像提供

本アワードは、受賞で終わる場ではありません。
絶滅危惧空間を社会実装へと接続していくための、最初のフェーズとして位置づけています。
ここで生まれた提案は、その先の研究、議論、プロトタイプ制作、実証実験へとつながっていく可能性を持っています。

我々RED SPACEが本当に集めたいのは、優れた提案だけではありません。
同じ問題意識を持ち、この問いに本気で向き合う仲間です。応募者には、アワード後に立ち上がるコミュニティ”RED SPACE COLLECTIVE”へ招待します。変異計画書を提出した人々とともに、事業者や有識者、地域住民を巻き込みながら絶滅危惧空間の未来とその社会実装について継続的に議論していきたいと考えています。

審査員

馬場 正尊
オープン・エー代表取締役/建築家 /東北芸術工科大学教授
絶滅危惧種という言葉は、イリオモテヤマネコのように大切に保護しなければいけない対象を指す一方で、「そんな服着てるやつ、もはや絶滅危惧種だろ」みたいに使われる場合もある。それは時代に取り残され寂しげだったり、ユーモラスだったりする。一方でヴィンテージと呼ばれれば熟成されて味わい深くなったり、新しい見方や使い方、意外な組み合わせによっては、別物に生まれ変わったりもする。
このコンペによって、技術やアイディアを掛け合わせることでRed listから空間を救い出すだけでなく、価値の大逆転劇が起きるのを見てみたい。

松島 倫明
『WIRED』日本版 編集長
コンデナスト・ジャパン
リジェネラティブな都市や建築への視座が、日本においては昭和メタボリズムの正当な後継者になり得る面白さ!
絶滅危惧空間を変異させることが、建築物でなく本当は何を再生成することになるのか、を突き詰めたプランを楽しみにしています。

林 千晶
株式会社Q0代表取締役社長
「絶滅危惧空間リスト」を眺めると、変化がこれほどまでに常態化しているのかと突きつけられる。電話ボックスを最後に見たのはいつだろう?一方で、コインランドリーや銭湯は「変異」を経て、新たな共創の場へと更新されている。そう、問うべきは変異を起こせるかどうか。その起点は、むしろ偏った好みかもしれない。あなたの偏愛がどんな“場”を再定義するのか、議論させてもらうのを楽しみにしている。

石川 由佳子
アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー
一般社団法人 for Cities共同代表理事/Dear Tree Project主宰 / 一般社団法人ソーシャルグリーンデザイン協会理事 /watage ディレクター / nae ディレクター / 女子美術大学非常勤講師
なくなっていく空間やインフラの背後には、社会の変化や価値観の移ろいとともに、その時代の暮らしの風景や、人と人、人と環境の関係性の変容があります。だからこそ、単なる機能の置き換えではなく、そこに宿っていた関係性や文化をすくい上げ、現代の中で編み直すような提案に出会えることを期待しています。同時に、これからの都市の暮らしや、経済的な発展だけでは測れない豊かさとは何かという問いに対する、しなやかな視点が提示されることも楽しみにしています。

松井 創
株式会社ロフトワーク Chief L AYOUT Officer
人新世の地層には、私たちの生活を支えた空間の記憶が堆積している。ガソスタ、電話BOX、銭湯——それらは絶滅を待つのではなく、突然変異する可能性を秘めた種だ。生物進化が示すように、変化はある瞬間、一気に起きるらしい。たった一つの変異計画が、都市という生きた構造さえも書き換える。その引き金を引くアイデアが集う機会にワクワクしている。
賞について

提案をご応募いただいた参加者には、アワード終了後にRED SPACE COLLECTIVEへご招待する予定です。
さらに、最優秀賞・優秀賞を含む上位5作品については、実装に向けた次段階の支援プログラムへの接続を予定しており、現在以下のような機会の提供を検討しています。
・RED SPACE展示会での作品展示機会
・提案の具体化に向けたエスキースワークショップ
・絶滅危惧空間を持つ事業者
・自治体への提供機会
・審査員または有識者との少人数レビュー
※プログラムは都合により変更になる場合がありますので予めご了承ください。
RED SPACE MUTATIONS #01 キックオフイベント 【オンライン】の開催
このイベントでは、このアワードへの応募を検討している方やRED SPACEという取り組みに興味をお持ちの方に向けて、RED SPACEが目指すビジョンや、絶滅危惧空間に“変異”を促す視点を、具体的な事例とともに紹介します。
開催日時:2026年6月1日(月) 19:00~20:00
▼イベント参加URL
https://redspacekickoff.peatix.com
▼イベント詳細はこちらから
https://awrd.com/award/red-spa...00003
スケジュール

※プログラムは都合により変更になる場合がありますので予めご了承ください。
主催
『RED SPACE』は、社会の要請と需要に応じて同時代に大量に作られ、共通認識とした存在した空間の大量絶滅という社会課題に対して、空間仕様、分布、個体数、脅威、保全活動についての情報を提供するプラットフォームです。さらにそれらの空間の発生した社会的要因、物理形態、分布状態、制度的制限の情報を参照し、次の社会へ適応した空間種に変異させるための提案プラットフォームとして機能させ、社会へ実装するための活動を行っています。
すべての人のうちにある創造性を信じ、オープンコラボレーションを通じてWeb、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー。グローバルに展開するデジタルものづくりコミュニティ「FabCafe」、素材の新たな可能性を探求する「MTRL(マテリアル)」、オンライン公募・審査でクリエイターとの共創を促進する「AWRD(アワード)」などのコミュニティやプラットフォームを運営。様々な才能と共創することで、幅広いクリエイティブサービスを提供します。



