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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案では、地域の銭湯を対象とする。
家族風呂の普及や燃料費の高騰、後継者不足などを背景に、多くの銭湯が閉業している。しかし銭湯は単なる入浴施設ではなく、世代や職業を超えた人々が自然に出会い、交流する地域の社交場であった。本提案では、この失われつつある銭湯文化に着目し、現代社会に求められる新たな価値を与えることで、地域に開かれたコミュニティ空間として再生する。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
現代では、家族風呂の普及によって銭湯は「不要な施設」と考えられがちである。しかし、銭湯が担っていた役割は入浴だけではない。同じ湯に浸かることで年齢や職業といった肩書を越え、地域の人々が自然につながる社交の場であった。
一方、現在の交流は学校や職場、SNSなど所属や目的によって形成されることが多い。知らない人同士が偶然出会い、緩やかな関係を築く機会は減少している。公民館のような交流施設も存在するが、「交流すること」を目的として集まるため、参加には心理的なハードルがあり、気軽に人とつながることが難しい場合もある。
銭湯はこれとは異なり、人々はあくまで入浴を目的に訪れ、その結果として自然な会話や交流が生まれる。この「偶然性」は、他の公共施設にはない銭湯特有の価値がある。
銭湯が失われることは、単に一つの施設がなくなるだけではない。地域の何気ない出会いや、人とのつながりを育む文化そのものが失われることを意味する。本提案は、その文化を現代に適応した形で再構築し、銭湯を「身体を温める場所」から「心を温める場所」へと進化させることで、新しい地域インフラとして再生することを目指す。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
銭湯を「身体を温める場所」から「心を温める場所」へと変異させる。その核となるのが、「縁札」「縁の間」「湯印帳」の三つの仕組みである。
まず、来館者全員に木製の「縁札」を配布する。縁札にはロッカー番号と同じ座席番号が記されており、入浴後はその番号の席がある「縁の間」で過ごす。座席をあらかじめ決めることで、一か所への集中を防ぎながら、偶然同じ席になった人同士が自然に会話を始めるきっかけをつくる。交流への参加を強制するのではなく、入浴後の余韻の中で自然に人と出会える環境をデザインする。
「縁の間」は、交流だけを目的とした空間ではない。畳やローテーブル、本棚、将棋、牛乳を楽しめるスペースなどを設け、一人でも複数人でも思い思いに過ごせる「居場所」とする。同じ時間を共有する中で、自然と会話が生まれ、人との距離が縮まっていく。公民館のように「交流しに行く場所」ではなく、「銭湯に来た結果として交流が生まれる場所」であることが、本提案の特徴である。
さらに、継続的な利用を促す仕組みとして「湯印帳」を導入する。来館日を日付印で記録し、その日に出会った人や会話した内容、感じたことを自由に書き残すことができる。また、来館回数に応じて牛乳サービスや入浴料割引といった特典を受けられる。湯印帳は単なるポイントカードではなく、人との出会いや思い出を積み重ねていく「縁のアルバム」として機能する。
この三つの仕組みによって、銭湯本来の文化である偶然の出会いを現代の暮らしに適応させる。人と人との関係を無理につくるのではなく、「同じ湯に浸かる」という体験の延長に交流を生み出すことで、地域に新たなつながりを育み、銭湯を持続可能なコミュニティの拠点へと再生する提案である。
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湯縁―身体を温める場所から、心を温める場所へ
銭湯で失われつつあるのは、浴場ではなく「人と人とが自然につながる文化」である。
本提案では、縁札によって偶然の出会いをデザインし、銭湯を「心を温める場所へ」と変異させる。地域の新たなコミュニティインフラとして、銭湯文化を未来へ継承する。
本提案では、縁札によって偶然の出会いをデザインし、銭湯を「心を温める場所へ」と変異させる。地域の新たなコミュニティインフラとして、銭湯文化を未来へ継承する。
