RUNNERS BOX
RUNNERS BOX 使用シーン
RUNNERS BOX APP
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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
公衆電話ボックスを扱う。
携帯電話の普及で日常利用は激減し、一般公衆電話は2002年度の約58.4万台から2020年度は約14.6万台へと18年で約43.9万台減少、1台あたり通話回数も約2,000回から約200回へと落ち込んだ(総務省)。
2022年には設置基準も緩和された。
一方で災害時の通信手段として最低数の設置が法的に義務づけられ、市街地では約1km四方に1台が維持される。
街から消えつつあるが、災害インフラとして制度的に残り続ける。
この「使われないのに、なくならない」矛盾を抱えた空間を対象とする。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
公衆電話は、機能を失いながらもインフラとして残存する、特異な絶滅危惧空間である。
多くの絶滅危惧空間が「不要になれば撤去される」のに対し、公衆電話は災害用として最低数の維持が義務づけられ、赤字でも街に残る。
市街地で約1km四方に1台という密度は、単なる残骸ではなく、街全体に張り巡らされた均質なネットワークとして今も生きている。
ここに着眼した。
この1kmおきという分布は、ランニングのチェックポイントとして再解釈できる。
ジョギング・ランニング人口は約758万人(笹川スポーツ財団2024)。
公衆電話をつなぐだけで任意の距離のコースが組め、その位置は走る距離の目安にもなる。
さらに本質的な価値がある。
走って公衆電話の場所を体で覚えることは、災害時に「どこにあるか」を覚えるということだ。
日常のランニングが、意識されないまま自発的な防災訓練として働く。
使われないことが問題だった空間を、使われないまま価値を持つ空間へ、機能の空白を、防災リテラシーを育てる余白として捉え直せるからこそ、この空間を扱う。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
公衆電話を「ランニングのチェックポイント」に変異させる。手法は、ハード(RUNNERS BOX)とソフト(連動アプリ)の二層で構成する。
ハードは、公衆電話ボックスにストレッチ器具を組み込んだ新しいボックスである。
ランナーは走行の合間に立ち寄り、好きな高さに足を掛けてハムストリングやふくらはぎを伸ばせるラダー、立位で太ももを伸ばすスタンディング・クワッド、上部を掴んでの側屈など、複数の部位のストレッチができる。
走りっぱなしになりがちなランニングに、1kmおきの公衆電話が「体を整える区切り」として挟まる。
ストレッチを走りのルーティンに組み込むことで、ケガの予防とパフォーマンスの維持につながり、ラン全体の質が上がる。
普段はめったに使われない公衆電話ボックスが、ランナーのための身近なストレッチ・ステーションとして機能する。
電話機能はそのまま残し、災害インフラとしての役割は損なわない。
ソフトは、連動アプリである。
ユーザーは走りたい距離を選ぶだけで、公衆電話をチェックポイントとしてつないだランニングコースが自動生成される。
走行中は次の公衆電話までの距離が表示され、チェックポイントに到着するたびに記録が進む。
公衆電話のネットワークを活用することで、街そのものをコース化し、ゲーム感覚のランニング体験を実現する。
走る動機づけと、ボックスでのストレッチが一連の体験としてつながる。
社会実装された時の価値は、三段階で立ち上がる。
第一に、ランナーにとっての価値。
ただ走るのではなく、目的地と休息(ストレッチ)のあるコースが街中に生まれる。
第二に、公衆電話にとっての価値。
使われないことで存在意義を問われていた設備に、日常的に人が立ち寄る理由が生まれ、街のインフラとして再び認知される。
第三に、そして最も重要なのが、まちにとっての価値。
走って公衆電話の場所を体で覚えることは、災害時に本当に必要になった時、「どこにあるか」を体で知っているということ。
個人の運動という私的な行為が、その副産物として、まち全体の防災リテラシーを育てる。
走る・覚える・備わる。この三つが一本の行為の中で自然に重なる。
私的な運動が、意識されないまま公共の防災に変わる。
RUNNERS BOXは、消えゆく公衆電話を、走る人と街の防災をつなぐ結節点へと変異させる。
