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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
1970年代、交通戦争を背景に全国へ整備された歩道橋を対象とする。歩行者の安全を守る都市インフラとして大量に建設された歩道橋は、設置から50〜60年が経過し、老朽化が進んでいる。また、高齢化に伴うバリアフリー化への対応が求められる一方で、エレベーター設置には多額の費用を要することから、撤去される事例も増えている。本提案では、役目を終えつつある歩道橋を単に更新・撤去するのではなく、「都市の中で煙が許容される公共の場」へ変異させ、新たな都市インフラとして活用する。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
歩道橋は、交通事故から人命を守るために生まれた高度経済成長期の象徴的インフラである。しかし現在では、横断歩道や信号整備、バリアフリー化の進展によって、その役割は徐々に失われている。一方で都市には、別の意味で居場所を失った存在がある。それが喫煙所である。
受動喫煙防止や分煙政策によって路上喫煙は厳しく制限され、喫煙所は街の隅へ追いやられた。その結果、喫煙場所を見つけられないことによるポイ捨てや禁止区域での喫煙が発生し、一部の行為が喫煙者全体の印象を悪化させる悪循環を生んでいる。
法で認められている行為を排除、縮小するのではなく、適切な場所を与えることでフラットな関係で共存できるのではないかと考える。映画の喫煙シーンが美しく見えるのは、喫煙という行為そのものではなく、日常の一場面として切り取られているからである。地上から少し離れた歩道橋は、都市の中でその距離感を自然につくり出せる場所である。歩道橋という絶滅危惧空間と、社会の中で居場所を失いつつある「煙」という行為を重ね合わせ、新しい都市風景を生み出したい。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
歩道橋を「都市の中で煙が許容される公共の場」へ変異させる。
現在までの歩道橋は、人が通過するためだけのインフラである。本提案では、一時的(短時間)滞留する喫煙所(煙を扱う場)として活用する。新たに大規模な建設を行うのではなく、既存構造を補修・延命することで宙に浮かぶ都市ストックを活かす。歩道橋は地上より風を受けやすく、煙が拡散しやすいため、煙が滞留しにくい環境をつくることができる。また、歩道橋は人の視線から適度に距離があるため、喫煙という行為を過度に隠すのでも、街中へ露出するのでもなく、都市の風景の一部として受け止めることができる。
さらに、吸い殻は専門事業者によってリサイクル資源として回収され、その売却益や分別後できる肥料などを歩道橋周辺の植栽や街路樹の維持管理へ還元する。煙が地域のみどりを育てる循環をつくることで、喫煙という個人の行為が公共空間へ価値を返す仕組みを組み込む。歩道橋は、煙を排除する場所ではなく、煙を地域資源へ変換する装置となる。
また、喫煙に限らず煙というのに抵抗がある人もいる。しかし、煙は焚き火や炊事、祭りなど、人間の営みを象徴してきた風景の側面もある。本提案では歩道橋を「煙を受け止める都市インフラ」と位置付けることで、現在だけでなく将来的に煙を伴う多様な行為も許容できる公共の場となると考える。
歩道橋は交通戦争の時代に「命を守るインフラ」として生まれた。そして半世紀後、社会から居場所を失った行為を受け止め、地域へ価値を還元するインフラへと役割を変える。全国に1万以上ある都市インフラのためどこでも実施可能なプロジェクトである。
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