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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案が扱う絶滅危惧空間は、携帯電話の普及により日常利用が減少し、都市から撤去されつつある公衆電話ボックスである。特定の一地点ではなく、市街地ではおおむね1km四方、市街地以外では2km四方を基準として配置されてきた既存の公衆電話網を対象とする。内部の通話機能と街角の小さな空間を残しながら、周辺の生活圏に接続する公共拠点として再編する。提案先は、公衆電話を維持・管理するNTT東日本・西日本を中心に、設置場所を管理する自治体との連携を想定する。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
携帯電話の普及によって、公衆電話の日常利用は大きく減少し、電話ボックスは「使われていない設備」として都市から姿を消しつつある。しかし災害時には、基地局の障害や通信集中、停電、端末の充電切れなどにより携帯電話が利用できなくなる可能性があり、公衆電話は誰もが利用できる公共の通信手段として再び価値を持つ。
つまり電話ボックスは、日常的に使われるためではなく、必要な瞬間に備えて都市に残されているインフラである。しかし、平時に利用されないほど、その存在意義は市民から見えにくくなり、「必要だが残す理由が見えない」という矛盾を抱えている。
一方で、電話ボックスは既存の通信回線を持ち、街角に分散配置された小さな建築空間でもある。単なる通信設備ではなく、周辺の生活圏と接続する最小単位の公共空間として捉え直すことができる。
本提案は、この既存の配置と構造を生かし、平時にも地域で利用される役割を重ねることで、非常時の通信機能を残したまま、街の日常と災害をつなぐ都市基盤へ更新することを目指す。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案では、既存の公衆電話と電話ボックスの内部空間を残したまま、その外側に雨水を「受ける・集める・貯める・使う」機能を付加する。
電話ボックスの上部には、傘や葉のように広がる集水面を設ける。これまで人を雨から守るだけだった屋根を、街に降る雨を積極的に受け止める集水面へ変異させる。集められた雨水は支柱や側壁を通って足元の貯水槽へ導かれ、外部に設けた蛇口や手動ポンプから取り出せる。水位は外部から確認できる構造とし、街に蓄えられている水を可視化する。また、簡易的な応急手当用品などを収めた緊急キットも併設する。
平時には、この雨水を植栽への散水、街路の清掃、打ち水などの非飲用水として地域で日常的に利用する。水が使われることで次の雨を受け止める余白が生まれ、「集める・蓄える・使う」という循環が繰り返される。防災設備を非常時まで閉じておくのではなく、日常の中で使われ続けることで、地域の人々は電話ボックスの位置や給水設備の使い方、緊急キットの存在を自然に共有することができる。
災害時には、内部の公衆電話は緊急通報や安否確認などの通信手段として機能し、蓄えられた雨水は生活用水として利用される。既存の給水拠点が飲料水を担うのに対し、本提案は発災直後、その場で必要となる非飲用水や初動対応を補完する身近な拠点となる。
集水面や貯水槽、給水設備などは既存の電話ボックスへ外付けする改修方式とし、新たな用地を必要とせず段階的な整備を可能にする。街に点在する電話ボックスがそのまま地域の防災拠点として連携することで、一つひとつは小さくても、都市全体では生活圏を支える分散型インフラのネットワークとなる。
この提案は、公衆電話を保存するために新たな機能を付け加えるものではない。平時に雨水を集め、地域に使われるからこそ残り続け、その結果として災害時の通信機能も守られる仕組みへ更新する提案である。これまで価値を生まないと考えられてきた「使われない時間」を、都市を備える時間へと反転させることで、公衆電話ボックスを地域の日常と非常時を支える複合インフラへ変異させる。
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電話ボックスのマチ仕事 ―平時と非常時を支える小さな都市基盤―
使われなくなった電話ボックスを、雨を蓄え、地域の日常と非常時を支える小さな公共インフラへ変異させる提案。通信機能を残したまま、雨水利用を重ねることで、平時に使われることが結果として災害時の備えにつながる、新しい都市基盤をつくる。
