UNIMALL構想_表紙
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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案では、大学キャンパスそのものとイノベーション・コモンズ(共創拠点)を扱う。文科省が推奨する共創拠点化は個別の拠点だけではなくキャンパス全体も指すためである。そこで扱う絶滅危惧空間の理由も二重になる。第一に企業の共創空間はこの10年、短命に終わるケースも見られた。第二に大学自体が絶滅危惧種である。財務省は2040年までに私大250校の削減が必要と示し、すでに私大の53%が定員割れにある。初期リサーチ対象には、名古屋市千種区/東山〜星が丘を挙げる。2つのキャンパス更新が同一区内で進み、駅前に遊歩道型の商業施設が隣接する。事業主は大学・学校法人を想定するが特定しない。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
第一に、規模と時限性。1兆4千億円が投じられ、5年で整備は終わるものの、助成が切れた後の自走設計を持たない拠点も多い。自走・変異の条件を解明し、次の5年以降にも教訓を継承したい。
第二に、短命の原因がすでに実践の側から分析されている。運営がイベントで終わり経営上の仕組みにならない、競合を避けた異業種連携に甘んじる、エコシステムとエコトーンを長期で育てる視点を欠く、と指摘される。実例もある。九州大学いとLab+では、商圏の弱い郊外に立地するなか、核であった蔦屋書店が2026年4月に閉店した。
第三に、この空間にはポテンシャルがある。大学の共創拠点はアウトリーチ中心か、もしくは「学び・共創」の動機を持つ人にひらかれた場である。言い換えれば、プレイヤーはいても観客がいない。空間を生きた場にするには、人が集う仕掛け(戦略企画とコンテンツ)が不可欠である。地域・社会・経済のハブとしての大学構想が語られるいま、演者と観客が交わる場として、その可能性を引き出したい。
大学はいま、18歳人口減という構造的危機のなかで「経営体」と「社会の公器」とのバランスを取りつつも、知を蓄積・継承する象徴的存在である。大学キャンパスを含む共創拠点を絶滅危惧空間と捉える着眼は、日本の知的インフラの再編集・再設計という課題に重なる。ゆえに空間の維持・変異の条件を探るリサーチプロジェクトとして、この二つを対象に選んだ。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
三つの仕掛けの組み合わせ可能性を提案する。
①商業化=空間UIの変異。スーパー、温浴施設、運動できる公園など、知とは無関係な日常的欲望を満たす機能を誘致し、人流そのものを発生させる。
②魔術化=体験UXの変異。人流の動線上に「知」を配置し、消費行動を知的好奇心の誘発へ変換する。中核は独立書店「知脈書店」。その大学固有の知のネットワークと地域の日常・文化を編集し、「ここにしかない・来る理由」を提供する。ジョージ・リッツァは、消費社会が大学を新しい消費手段・空間へと変えるショッピングモール化を指摘し、モールを魔術化された「消費の大聖堂」として論じた。本提案はこれを引き受け、再魔術化の技法を大学の側が握る構想である。
③観客創造=メディアの変異。観測・批評メディア機関「METAP」を置く。場・組織を回す事務局にとどまらず、コンテンツを制作し販売する主体でもある。キャンパス内外の自治の軋みを観測し、埋もれた対立軸を「見える関係性」へ翻訳して発信する。有事からエンタメまで扱い、本音で語れる場を醸成する。
初期のアウトプットは三つ。第一に、大学が現代日本社会で成立している条件(社会構造・制度・空間地理・政治経済)と、モールと商圏が成立している条件(商圏人口、アンカーテナント、回遊動線、テナントミックス、新陳代謝)を並べて読み、その重なりに設計要件を見出す。初期リサーチは名古屋市千種区を中心に行う。名古屋大学のComoNe開設と椙山女学園大学の星が丘キャンパス更新が重なり、星ヶ丘駅前には遊歩道型の商業施設がある。キャンパスと商圏が隣接する稀有な条件が揃う。
第二に、自走モデルの検証。不動産・場貸し(BtoC)、メディア・コンテンツ(BtoC)、クリエイティブ伴走支援(BtoB)の3回路を設計する。①の人流が②の観客を生み、②の外部性が③の信頼を高め、③の収益が①の新陳代謝と②の制作費を支える。
第三に、METAPによる発刊。リサーチのプロセス自体を観測・編集し、ZINE第0号として発信する。
社会実装されたときの価値は、施設ではなく人に残る。外から演者を呼び込み、その接点に立つ編集人材が、URA・広報・教職員・学生を横断して育つ。彼らは大学の内では研究者のことばを社会に届く形へ翻訳し、外では自然と学びたくなる刺激を日常のなかに置く。そして自治の兆しを観測しつづけることで、危機や有事に際して、ここはことばをゆるく、本音で交わせる場になる。
本提案は、大学を商業に譲り渡すのではなく、あそびと責任を行き来できる土壌へと変異させる構想である。
