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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
「裸地」を絶滅危惧空間とした。裸地とは、植物なども生えていない何もない土地である。例えば、砂浜や埋立直後の土地、洪水で氾濫したあとの何もない冠水地や建物が取り壊された直後の空き地が裸地である。資本を生み出さない裸地は放っておくと建物に埋め尽くされてしまうため、切実な絶滅危惧空間であると考える。
夏にオーストラリアから飛来するコアジサシなどの一部の野鳥は裸地がないと繁殖ができないし、東京に住む人々は海のすぐそばに住んでいながら、砂浜の上を歩くことはほとんどない。資本主義社会において非常に儚い存在である裸地を、提案によって守り作る。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
都市において裸地はすぐに開発や緑化の対象となる。しかし、何もないことこそが、生物に余白を与えている。利潤が目的化されている現代社会だからこそ、それでは掬いきれない何もない土地である裸地の持つ意味を再考する必要があるのではないだろうか。
例えば草の生えない丸裸の土地でしか産卵ができないコアジサシはかつて、洪水で氾濫したあとの何もない冠水地や砂浜で繁殖をしていた。しかし、治水や埋立によってそういった裸地は失われ、彼らはいま空き地や埋立直後の裸地を彷徨っている。都市に暮らす人間もまた、空き地や砂浜といった用途の決まっていない何もない空間の消失によって、コンクリートの中を彷徨っているのかもしれない。
裸地の消失は、鳥の繁殖環境だけでなく、人間が都市に主体的に関わる可能性の消失でもある。経済合理性では掬いきれないREDSPACEとしての裸地を捉え直し、何もない状態を保持することを都市の豊かさとして提案する。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
都市の代謝に伴って発生した土砂は、一度ゴミとして集められ、その一部は再び都市の建設に利用される。この提案では、ゴミになった土砂を裸地を作る原料として砂に改良し、波と海流の力によって、埋立地に裸地としての砂浜を形成することを試みる。
敷地A「東京都建設発生土再利用センター跡地」では、余剰な建設発生土を砂浜に最適な砂へと改良する。その砂を近くの海岸に積み上げ砂地を形成する。砂地は夜間に北側から打ち付ける波によって徐々に削られ、ちょうど草が繁茂するころには縮小しきり、また新しい砂が積まれる。こうして永続的な裸地が形成され、そこに鳥たちが営巣することができる。この手法では波と海流の力を利用して裸地の循環を促す。そうして流された砂の一部は海流に乗って海を漂い、敷地B、Cにたどり着く。
敷地B、Cは隅田川流入による平均流を考慮し、コアジサシの営巣地から砂が流れつくであろう地点を対象にした。ここでは敷地周辺の漂砂(河口に堆積しないで海中に流れ出し、岸近くを漂う砂)を一時的にとどめ、あたらしい砂浜を形成することを試みる。砂浜は波と潮流によって常に形を変えるため、土砂の流入と流出のバランスが取れていない人工の砂浜の場合、継続的な管理(養浜)が必要である。この手法では、敷地Aから一定の砂が海流によって供給されるため、養浜のコストが削減できる。
またここでは砂浜を形成する領域内にあえて波を招き入れ、配置された十字礁(十字形の構造物)によりその速度を落とすことで砂の堆積を誘発し、曖昧な輪郭線をそのままに砂浜が形成されていく。敷地Bでは、既存の砂浜(つばさ浜)を囲う堤防の外側に十字礁を配置することで、その輪郭を描きかえを試みる。敷地Cでは、堤防を切ることで内側の水域を海と繋げ、内と外を干渉するように十字礁を配置する。いずれ埋め立てられる都市の輪郭を、あらかじめ崩しておくための操作である。
こうして、「砂が海流によって運び込まれ、また去っていく」という地形が持つ動きや循環を肯定することで、あたりまえにあると思っている自然がたしかに構築されていく様を感覚させるような風景がつくられる。
REDSPACEを類型化された空間ではなく、個々の空間の終わりとして認識すれば、例えば家主が引っ越した家が解体されるように、都市では日々絶えずREDSPACEが発生し、絶滅している。この作品の裸地の構成要素である建設発生土は、かつて都市を構成したREDSPACEであったが、その原型がわからないほどに断片化され、ゴミとして扱われたのち、再び都市を構成する粒子として転生したものである。ここでの提案は、その粒子たちが再び都市に戻るまでの時間を限りなく遅延させるものである。コアジサシの雛を育むゆりかごとして働いた後、海流に乗ってゆっくりと流された砂たちは、その余生を子供の作る城の原料として過ごすだろう。
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裸地と砂浜
都市には何もない土地が必要だ。裸地(=何もない土地)は資本を生み出さないため無価値とされる。しかし、都市に生きる鳥の産卵や、太陽を好む快活な人間には裸地が切実に必要だ。この提案では、都市においてゴミとなった砂を集め、それを海流に乗せることで埋立地の海岸に裸地としての砂浜を作る。埋立地の直線的な輪郭を少しだけ揺らがせるような試みである。