CREATIVES

  • 40

給油から、給余白へ。

その他
I
全国で減少を続けるガソリンスタンド。その役割を終えた後にも、壁を持たず道路に開かれた巨大なキャノピーは都市に残る。

本提案は、この大屋根を「車のための設備」ではなく、都市に残された最後の軒下として捉え直す。既存キャノピーの下に人の身体寸法に合わせた低い木架構を挿入し、可動ルーバーで光・風・視線を調整する。アスファルトを土間、芝、雨庭へとひらき、壁で用途を固定せず、ベンチや大テーブルなど最小限の家具だけを据える。

そこでは、休憩、雨宿り、待ち合わせ、子どもの学習、朝市、地域活動、防災時の一時利用など、異なる時間と行為が同じ屋根の下に重なる。

これは全国すべてのガソリンスタンドを一律に転用する提案ではない。燃料供給を維持すべき地域を除外し、都市部・郊外で廃業または余剰化する敷地のうち、地下・土壌・構造の安全性と地域運営の条件を満たす場所を選ぶ。

給油所を別の施設へ置き換えるのではなく、消費や移動のためにつくられた都市のインフラを、何もしなくても居られる公共的な余白へ変異させる。車のための屋根が、ようやく人のための軒下になる。

前へ