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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案が扱うのは、携帯電話の普及に伴い、都市から減少しつつある公衆電話ボックスである。電話ボックスは、約1平方メートルの床面積、透過性のある壁、扉、照明、通信設備を備え、駅前、公共施設、商業地域など、人の移動経路上に設置されてきた。誰でも利用できる公共性と、都市の中で一時的に身体を隔てられる個室性を併せ持つ点に着目し、不安や感覚過敏を抱える人のための小規模な都市インフラへ変異させる。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
電話ボックスは、他者と「声」でつながるためにつくられた空間である。一方、不安症、パニック、感覚過敏、選択性緘黙などを抱える人にとって、声によるコミュニケーションは、常に容易なものとは限らない。助けを求めたい状況であっても、電話をかけること、状況を言葉で説明すること、知らない人と会話すること自体が大きな負担になる場合がある。
また、都市には、音、光、匂い、人混み、広告、移動、他者の視線など、多量の刺激が存在する。しかし、それらの刺激から一時的に退避し、身体と感覚を落ち着かせるための公共空間はほとんど整備されていない。
電話ボックスは、都市の動線上に点在し、外部から視認できる安全性と、外界から一時的に距離を取れる個室性を備えている。その小ささは、閉鎖性ではなく、自分の身体の境界を回復するための適切なスケールになり得る。
声の通信装置として役割を終えつつある電話ボックスを、話すことを求めない支援装置へ変える。それは、失われつつある空間を保存するだけではなく、ニューロダイバーシティを前提とした都市の新しい公共性をつくる試みである。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
QUIET CALLは、既存の電話ボックスを、不安や感覚過敏を抱える人が一時的に利用できる「感覚調整・非音声コミュニケーション拠点」へ変異させる。
内部には、利用者が自分の状態に応じて環境を調整できる機能を設ける。照明は明るさと色温度を段階的に変更でき、外部の騒音は完全に遮断せず、安全に必要な音を残しながら軽減する。壁面には、深呼吸の速度を示す光、視線を落ち着かせる緩やかな映像、身体の状態を確認するための簡潔なガイドを表示する。
利用者に会話や複雑な操作は求めない。入口付近のボタンまたはタッチパネルから、「少し休みたい」「静かにしたい」「家族に連絡したい」「駅員や施設職員を呼びたい」「医療・相談機関を知りたい」などの項目を、文字、色、ピクトグラムによって選択できる。選択内容は、利用者の同意がある場合に限り、登録された家族や施設管理者へ定型文として送信される。
緊急性の低い不調に対しては、外部へ通報せず、まず本人が落ち着くための時間を確保する。一方、利用者が明確に支援を求めた場合には、現在地と必要な支援内容を、声を使わずに伝達できる。これにより「助けを求めるために、まず会話しなければならない」という障壁を低減する。
外観は、従来の電話ボックスの姿を可能な限り残す。電話機の位置には非音声インターフェースを設置し、受話器は必要に応じて、握ることで呼吸のリズムを伝える触覚装置へ転用する。かつて声を届けていた受話器が、利用者自身の身体へ落ち着きを返す装置に変わる。
運用は、鉄道事業者、自治体、大学、商業施設、医療・福祉機関との連携を想定する。初期段階では大学や公共施設内に実証機を設置し、当事者、支援者、専門家とともに、照明、音、表示、滞在時間、通報方法を検証する。将来的には駅前、商業施設、学校、文化施設、避難所などへ展開する。
QUIET CALLは、特定の診断を持つ人だけの設備ではない。疲労、混乱、悲嘆、災害、育児、認知症、言語の壁など、一時的に言葉を失うすべての人が利用できる。電話ボックスを、声の通信インフラから、沈黙を受け止める都市インフラへ変異させる提案である。
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QUIET CALL ― 話さなくても、都市とつながる電話ボックス ―
かつて電話ボックスは、遠くにいる誰かと声でつながるための都市インフラだった。しかし、携帯電話の普及によって、その役割は失われつつある。
本提案は、電話ボックスを「声を発して他者とつながる場所」から、「声を発さなくても社会とつながれる場所」へ変異させる計画である。
不安症、パニック、感覚過敏、選択性緘黙、対人コミュニケーションへの困難などを抱える人にとって、都市は音、光、人の視線、情報、予測できない出来事に満ちている。QUIET CALLは、既存の電話ボックスを、都市の刺激から一時的に退避し、呼吸と感覚を整え、必要に応じて文字や図像によって支援先へアクセスできる「小さな公共避難所」へと変える。
電話をかけるための箱は、話すことを強制されない箱になる。
本提案は、電話ボックスを「声を発して他者とつながる場所」から、「声を発さなくても社会とつながれる場所」へ変異させる計画である。
不安症、パニック、感覚過敏、選択性緘黙、対人コミュニケーションへの困難などを抱える人にとって、都市は音、光、人の視線、情報、予測できない出来事に満ちている。QUIET CALLは、既存の電話ボックスを、都市の刺激から一時的に退避し、呼吸と感覚を整え、必要に応じて文字や図像によって支援先へアクセスできる「小さな公共避難所」へと変える。
電話をかけるための箱は、話すことを強制されない箱になる。
