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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案では寺院、仏間、墓地などの供養建築を扱う。人口減少が加速する地方において、供養はどんどん簡素化・省略化されているのが現状である。檀家数減少に伴い寺院や墓地の運営の実体は深刻化しており、多くの住職は兼業を余儀なくされている。また、赤字経営の寺も少なくない。特に、対称としている福井県では人口に対する寺院の数が非常に多く、これからも多くの寺院が淘汰されていくことは自明である。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
私は田舎の寺の三男として生まれ育った。大学生になると寺の手伝いをするようになり、毎年秋頃には、週末に檀家さんの家に行き仏壇の前でお経を唱える。お茶を飲みながら檀家さんとお話をしていると「子供はもう出ていったのにお墓や仏壇をこの先どうしていけばよいのか。」という不安の声をちらほらと聞くようになった。それと同時に「お寺さんは男の子が三人もいて安心やね。」と言われることも多い。何も安心はできない。家には立派なお寺がある。このお寺の行く先を考えると少し怖くなる。もう今の代で関わりが途絶えるという檀家は多く、年々檀家の数が減っていっているのをこの四年間で実感した。私が小学生の時に寺の改修工事をしたときは二億円ほどかかった。もちろん檀家さんからお金を寄付していただくわけだが、その時でもぎりぎりで、無事集まったことが奇跡らしい。もう次は無理だろう。仏間がなくなり、墓がなくなり、寺がなくなり、どこに行けば故人に出会えるのか。人が少なくなったからといって、誰かの供養を諦めていいとは思わない。供養の当事者として、地方の供養インフラを再考する。縮小する共同体において、供養の未来に少しでも希望が持てるように。
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どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
これまで味真野地区では、14の寺の共同体がそれぞれの寄代を管理していたが、檀家数の減少により厳しい運営の実態となっている。本提案では、寄代を地区全体で共有し維持管理するしくみとする。現存する「味真野仏教会」のつながりを強化し、14の寺共同体が寺院、墓地、仏間などを共有する。
本提案は供養の在り方を再編するものであるが、おおまかな供養の流れ自体は尊重している。むしろ現在省略されつつある営みが、建築側を操作することによってこれからも維持していけるように計画している。地元で手に入れられる材料やホームセンターの規格材を適切に取り入れることや、材を再利用できる寸法を設計することによって、持続可能性を高めている。
また供養の段階によって、それを支える建築や空間は異なる。それぞれの供養の大きさを受け入れるように敷地を選定し建築を計画する。供養の流れとともに地元の風景を巡りながら、故人と出会い直していく。扇状地を縦断するように供養建築を計画し、時間をかけて丁寧に供養を重ねることで、故人の存在を目の前の棺から地元の風景へと徐々に昇華させていく。共同体の規模にとらわれない供養の在り方を提示することで、供養建築はこれまでのような強い造形である必要は無くなり、いかに風景とつながれる空間であるかが求められる。供養の流れの中で現れるふるまいの先に、風景が連続するように寸法を設計した。手を合わせるとき、正座するとき、歩くとき、その視線の先に風景があり、またその先にいる故人を見つめられる空間を目指した。
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風のよりしろ -縮小する共同体における供養建築の在り方-
私は田舎にあるお寺の三男として生まれ育ちました。檀家数は減少し供養はどんどん簡素化・簡略化されていっているにも関わらず、実家には相変わらず立派な寺やお墓があります。こんな現状を目の当たりにして、地方における供養の将来に不安を感じています。また、人口が減ったからといって、供養という営みを諦めてはいけません。そこで本提案では、縮小していく共同体でも維持可能な供養建築の在り方を考えました。
