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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
扱うのは、戸建住宅に付随し、土や植物、生き物と関わる「現代の庭」である。国内では、福岡市郊外の住宅地で建替え時の敷地分割が多く確認されている。また、全国600人を対象とした調査では、回答した戸建住宅居住者の24.5%に庭がなく、庭のある人の多くが自然との接触や草花・野菜の栽培をその役割として挙げた。庭を、住宅更新と高密化のなかで失われつつある、暮らしと自然をつなぐ絶滅危惧空間として扱う。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
近代化や分業化、住宅の工業化が進むなかで、食料生産や資源循環は生活の外部へ委ねられ、私たちは自然環境に直接働きかけなくても暮らせるようになった。その結果、土に触れ、植物を育て、収穫し、食べ、残渣を土へ戻すといった、自然の循環を身体的に理解する機会が日常から減少している。ある論文では、自然との接触の減少が、自然への関心や親しみ、保全意識を弱め、それがさらに自然から遠ざかる「経験の消失」の循環を生むと指摘されている。自然との関わりが消費や鑑賞に限られるほど、気候や土、生き物の変化を読み取り、自ら暮らしを調整する知識や感覚も継承されにくくなる。庭は、住居に最も近い場所で、栽培や採取、堆肥化、雨水利用などを通して、人が自然の恩恵を受けるだけでなく、自ら手をかけ、環境に働きかけることのできる空間である。しかし、敷地の狭小化や住宅の高密化、駐車場化によって庭が失われることで、こうした小さな実践の場も失われつつある。庭の減少は、単なる緑地面積の減少ではなく、人が暮らしと自然環境のつながりを実感し、大地に住む当事者としての意識を育む機会の減少でもある。だからこそ庭を、生活を自らつくる生存自律力を回復し、自然との関係を日常の中に結び直すための絶滅危惧空間として扱う。
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どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
庭を、各住宅の敷地内に閉じた私有の空間から、街の公共部に開かれ、複数の人が関わる共用の菜園へと変異させる。提案する「Attach Fields(あ!タッチフィールズ)」は、メインとなる作物を育てるレイズドベッドと、補助植物を育てる「あ!タッチウォール」からなる小建築である。失われた庭をそのまま復元するのではなく、現代の住宅地に残る通路や広場などの公共的な余白へ移し、所有する庭から、関わる庭へと更新する。
レイズドベッドは利用者全員で管理する共用の畑とし、水やり、手入れ、収穫、作物の変化を観察する行為を街に表出させる。地面から土を持ち上げることで、舗装された場所にも設置でき、土の状態を調整しやすく、子どもや高齢者を含む多様な人が作業しやすい。また、作物を人の目線に近い高さまで持ち上げることで、植物を足元にある対象ではなく、正面から向き合う存在として感じられるようにし、人と植物の心理的な距離を縮める。周囲には腰掛けや作業面を設け、栽培に参加しない人も休憩や会話を通して、植物の成長や季節の変化に触れられる場とする。
一方、あ!タッチウォールには、コンパニオンプランツやバンカープランツを育てる小さな着脱式ユニットを取り付ける。共用の畑だけでは関わり方が一様になりやすいため、各ユニットは個人で管理し、メイン作物の状態や季節に応じて付け替えられる仕組みとする。利用者は自分の小さな庭を持ち寄り、装飾やカスタムをする感覚から畑に参加できる。個人が育てる花やハーブが、害虫を遠ざけたり、天敵となる虫を呼び込んだりして共用の作物を支えることで、植物、人、虫の関係も目に見えるものとなる。個人管理と共同管理を重ねることで、参加への負担を下げながら、少しずつ関わりを深められる庭をつくる。
社会実装された際には、宅地の細分化や住宅更新を止めるのではなく、現在の都市構造の中へ庭の機能を移植できる。庭を持たない人にも、土に触れ、育て、食べ、他者や生き物と関係を結ぶ機会を開き、自然環境との関わりを特別な体験ではなく日常へ戻す。庭を面積や所有によって成立する空間から、人々の行為と関係の集積によって育つ空間へ変異させることで、暮らしが大地の恵みに支えられ、自らもその利用と循環に関わる当事者であるという「大地に住む意識」と、生存自律力を街の中に育んでいく。
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Attach Fields
Attach Fieldsは、失われつつある私有の庭を街の公共部へ移植する共用菜園である。人の目線に植物を近づけるレイズドベッドと、個人が持ち寄る着脱式の小さな庭によって、自然と関わる日常を街に取り戻す。
