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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
高度経済成長期に全国で大量供給された団地を対象とする。ケーススタディは、東京都調布市の「多摩川住宅」を想定した。多摩川住宅は南向き住棟が規則的に配置された典型的な団地であり、人口減少や建物の老朽化、住民の高齢化など、多くの団地が抱える課題を象徴している。一方で、広い屋上、連続する南面ファサード、豊かなオープンスペースなど、都市では得難い空間資源を持つ。本提案では、この既存ストックを解体・建替えではなく更新することで、「住宅供給のためのインフラ」から「都市の気候を支えるインフラ」へと変異させる。
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なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
団地は高度経済成長期に不足する住宅を大量供給するための社会インフラとして整備された。しかし現在は人口減少、高齢化、空き住戸の増加、建物の老朽化により、その役割は急速に失われつつある。
一方で、日本の都市は新たな課題に直面している。猛暑やヒートアイランド現象、集中豪雨、エネルギー価格の高騰、災害への備えなど、これからの都市には「住む場所」ではなく「気候を制御するインフラ」が求められている。
団地には規則的に並ぶ長大な南面ファサード、広大な屋上、オープンスペース、豊富な緑地が残されている。これらは都市の中では希少な環境資源である。
本提案は、団地を保存することでも建て替えることでもない。かつて住宅を大量供給した団地を、都市の熱・水・エネルギーを制御する新たな都市インフラへ更新し、人口減少時代における団地の新しい存在価値を提案する。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
本提案では、団地の南面全体を「Climate Facade(環境ファサード)」へ更新する。
このファサードは、発電、遮熱、自然換気、雨水循環、壁面緑化を統合した環境インフラであり、建物と都市の間に新たな環境層を形成する。
南面には外付けのフレームを設置し、建物の性能に応じて複数のユニットを組み合わせる。
Energy Unit:壁面一体型太陽光発電(BIPV)により電力を生産する。
Green Unit:壁面緑化により日射を遮り、植物の蒸散作用で周囲の気温を下げる。
Ventilation Unit:上下開口を備えた通気層を形成し、煙突効果による自然換気を促進する。
Rainwater Unit:地下貯溜タンクに集めた雨水をファサード内へ循環させ、散水や壁面緑化、雨庭へ利用する。
これらは住戸ごとではなく、日射量、風向、周辺環境などの環境条件に応じて建物全体で最適配置される。
屋上では太陽光発電を行い、発電した電力は共用部やポンプ、環境制御設備、非常用電源として優先利用し、余剰電力は地域へ供給する。
地上部には雨庭や透水性舗装を整備し、雨水の浸透と蒸発散を促すことでヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の回復、防災機能の向上を図る。
本提案は、住戸プランを大きく変更するものではない。既存の住宅を活かしながら外側に環境インフラを付加することで、建物を長寿命化し、居住性能を高めると同時に、都市へ新たな環境価値を提供する。
1960年代、団地は住宅を供給するインフラだった。
2050年、団地は都市の熱を制御し、エネルギーを生産し、雨水を循環させ、生態系を育み、防災拠点として機能する「気候インフラ」へと変異する。
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DANCHI CLIMATE 住宅ではなく、気候を制御するインフラへ。
住宅を大量供給した団地を、都市の熱・水・エネルギーを制御する新たな都市インフラへ更新し、人口減少時代における団地の新しい存在価値を提案する。
