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どの絶滅危惧空間を扱うのか(300文字以内)
本提案が扱うのは、急速に姿を消しつつある「レンタルビデオ店」である。
個人の偏愛・フェチズムが集積するアングラなサードプレイスである。 -
なぜその絶滅危惧空間を扱うのか(600文字以内)
きっかけは、絶滅寸前のレンタルビデオ店で目撃した光景だった。静まり返った店内の奥、迷いない足取りで暖簾をくぐる人々の気配や、棚越しに聴こえる作品を真剣に吟味する息遣い。「誰もいない」と思われた暗がりにこそ、濃密な人間の実存と欲望が集積していた。
一方で、現在の介護・福祉空間はどうか。高齢者は「ケアされる対象」として一律に扱われ、個人の趣味嗜好や性的な関心、誰にも邪魔されないプライバシーといった「生の熱量」は管理の対象として抑圧・排除されがちである。
さらに都市的観点においても、ロードサイド等で空き店舗化するレンタルビデオ店と、既存ストックを活用して居抜き開設される介護施設の急増は、すでに建築的な親和性を示している。
動画配信サービスに取って代わられ絶滅に向かう「個人のフェチズムの避難所」を、クリーン化された「介護施設」に接続・変異させること。それは、管理・延命の福祉から「一人の人間としての尊厳と実存の肯定」へとケアのあり方を転換し、クリーンな現代都市に「欲望の聖域(Sanctuary of Desire)」を取り戻すために不可欠な試みである。 -
どのようにその絶滅危惧空間を変異させるのか(1200文字以内)
実店舗の状況や介護施設の形態に合わせて、以下の3つのパターンで空間を挿入・接続する。
• Case 1:居抜き複合型[ビデオの中に、介護]
余剰フロアを持つ既存大型ビデオ店を改修。旧文具コーナー等をデイサービス空間に転用し、拡大した通路と座面棚によって「ビデオ店の中に福祉が同居する」状態をつくる。
• Case 2:後付け内包型[介護の中に、ビデオ]
サ高住や特養などの施設内にある未活用スペースや死角に、ビデオ屋をモジュールとして挿入・寄生させる。
• Case 3:エリア連携型[介護と、ビデオを繋ぐ]
近隣に実店舗が存在する場合、店舗への移動自体をリハビリ動線として組み込む。
福祉的効用と文化エコシステムの循環
• 記憶の活性化: デジタル画面とは異なる「物理パッケージの手触り・匂い・装丁」を手で探す体験は、認知症予防や記憶を呼び覚ます。
• 対等なコミュニケーション: 「支援者/被支援者」の文脈を離れ、同じ趣味やフェチズムを共有する「個人」として、非意図的でたわいもない会話が生まれる。
• マイノリティ文化の還元: 1回100円の貸出システム等を通じ、絶滅寸前のVシネマやインディーズ映像クリエイターへ直接資金が回る循環構造を構築する。
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Sanctuary of Desire
動画サブスクの普及で途絶えつつある個人の偏愛やフェチズムが集積するレンタルビデオ屋を、介護施設へと接続する提案。介護空間に、高齢者が一人の人間として生の実存と欲望を肯定できる欲望の聖域を取り戻す。
