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肉体は言葉と思い出の家でしかない

その他
魂が抜け役目を終えた肉体は、空っぽになり誰も住まなくなった家のようである。

祖母が亡くなったとき僕は人の死に際を初めて目にしました。その年の夏が始まったばかりの六月の頃、祖母は自宅のベッドの上で息を引き取りました。死の前日と亡くなった翌朝の彼女の姿を見たときのことは、くっきりとした輪郭をもって今も記憶に残っています。ベッドの柔らかい布の手触りも、窓際に置かれたブラウン管のテレビや部屋の家具の配置もすべて、目の前にあるかのように思い出すことができます。祖母の肉体を自分の目で見ているのに、彼女の不在を確認している。居るのに、そこには居ない感覚。これは僕が日頃、ポートレートを描くとき、ささやかに思うことと重なっているようです。歴史に残るような特別さはまるでない、日常の中の静かな出来事です。

「sleep」 227×227mm oil on panel 2017

「Wedel's child 」 182×257mm Watercolor on paper 2017

「 le vent du destin 」 277×277mm oil on panel 2017

「ヴィオロンの子供」 277×277mm oil on panel 2017

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