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妖怪「盆綱曳きの鬼」

その他
筑後の「盆綱曳き」は久富区熊野神社という
神社で行われる100年以上も続く行事で内容
は小学生がススで全身を真っ黒に塗り黒鬼に
なり、長さ20メートル、直径30センチの大綱
を持って「ワッショイ」「ワッショイ」と
地区内を駆け回るというものです。

さて、この行事、神道思想ではなく仏教思想
の意味を持ち 餓鬼道に落ちた人たちをお盆の
間だけでも綱で引き上げて その苦しみから
解き放つ意味がこめられています。

つまり、この場合の綱引きの綱は力比べの
ものでなく霊の乗り物としての意味を持ちます。

また、黒鬼の役割をになう子供は年齢制限があり
12~13歳の子供とされていました。
(現在は、少子化であまり規制はなくなってる
と思います)
その理由は、昔この地が飢饉のときに この年頃
の子供が多く亡くなったからという理由だそうです。

この行事に込められた、飢饉の悲劇というメッセージと
黒鬼の衣装の面白さに惹かれて今回の鬼を描きました。

というわけで、今回は鬼の存在は悪としてではなく
餓鬼道に落ちた人たちを綱で引き上げ救うという
善の性質をもっています。
鬼の表現の多方面さを現す一例ですね。

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